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��橋恵「防犯の視点から住みよい街づくりについて考察する」

　　　　　　　　

１、はじめに

　私の地元は大変田舎で、それに比べ宇都宮市は大変都会である。50万人都市であり、飲食店、ショッピング施設、文化会館や大学など地域の中核となる施設が充実している。それにここ数年は人口が上り調子にあって、地方ブランドの餃子やカクテルも知名度があり好調である。しかし人口が多い分、犯罪が起きやすいのも問題点である。自転車でまちづくりを行っているだけあり自転車の普及率がとても高いが、自転車の窃盗や変質者の出現が大学の周りではよく起きる。このような現状を踏まえて本レポートでは宇都宮市の犯罪状況、現在行っている防犯活動、考察、改善法等を記し、より住みよい宇都宮市に近づくにはどうしたらいいかを考えていく。

２、宇都宮市の犯罪の実態

宇都宮市で起こる犯罪は市民の身近なところで発生するものが多い。宇都宮市生活安心課防災グループが示したデータによると、平成20年宇都宮市全体の犯罪件数9485件のうち窃盗が約7割を占めている。その窃盗の中でも内訳は主として自転車窃盗24.9%（1643件）、車上狙い13.7%（905件）、空き巣7.6%（506件）となっている。平成16年のデータだと、自転車窃盗21.2%（1919件）、車上狙い20.6%（1858件）、空き巣8.7%（504件）、（その他は置き引き、オートバイ盗み、部品窃盗などがある。）のようになっているため、全体的な数を見ると減少傾向にあるが、平成20年のデータだと1日に約4.5台の自転車が盗まれていることがわかる。自転車が盗まれやすい場所として駐車場駐輪場があげられる。宇都宮駅周辺は特にそうで、平成20年は1643件のうち1155件が駅周辺で起きている。大学構内においても非常に多い。また大学生の目線から、宇都宮大学のすぐ近くにある平松町も犯罪の発生率が高い場所としてチェックされている。そして犯罪にあう年代は13~19歳が各世代と割合を比べたとき多い結果が出ている。中学生高校生は、少しの時間駐輪するときや、学校に乗って行ったとき施錠をしないまま放置する人が多いのが原因にあげられる。これに比べ筆者の地元洋野町は平成20年の犯罪総数は37件でそのうち乗物盗は6件、11.1％。人口2万人弱で約2%の犯罪率である。そして6件の侵入窃盗が続き、これは人口の減少による空き家の出現や、お年寄りが多くなり、家にいる時間が少なくなったりきちんと施錠をしないで侵入される不注意などが原因と考えられる。ここから市町村によって犯罪の出現には特色があることがわかる。

変質者がよくでるのも聞くが、宇都宮市は都会でありながら一本通りがかわると街灯が急に無くなったり、住宅地が多く見通しが悪い場所が増える。これは加害者側にとって闇夜や物陰に隠れる場所が出来るのであまりいい環境ではない。以上がおおまかな宇都宮市の犯罪実態である。

３、どのような対策・防犯活動を行っているか

　宇都宮市全体で取り組むものとして、第2次宇都宮市安全で安心なまちづくり推進計画（条例）というものが打ち出されており、住民と市が共同で防犯活動を実施している。２で自転車の窃盗について主に述べたが、市は呼びかけを中心に犯罪の防止に立ち向かう。ほんの少しの時間離れる時でも必ず施錠すること。なるべく2つロックして盗まれにくくすること、防犯登録をしておくことが挙げられる。違法駐輪車を正規の駐輪場に移動してしまうのは、その場所を利用する人に迷惑にならないようにするためだけでなく、盗られやすい放置自転車とみなされないようにするためでもある。このような犯罪は個人の注意で防げる可能性がぐんと上がるので、町のルールや道徳心にのっとった行動をすることが求められる。変質者への対策は、夜遅くに一人で出歩かない。街頭がある道を選ぶなど、人の目が届く範囲で行動することが望ましい。あまりに高い木は切ったり、各住宅の塀は低いものにしたり、町全体の死角を減らすことも大切である。また街頭による防犯活動を行っているところもある。宇都宮市山本町では青色の街頭を導入している。イギリス発祥のライトで、これによって犯罪率が減少する結果がでている。夜になると住宅地の道路が青く優しい光で照らされる。これらは山本町住民らの協力により導入を実現したもので、自主的な防犯活動を推進している一例である。またこれ以前に、街頭が派生したもので大阪府柏原市で青い光の踏切が導入され、自殺者の数が激減したという。色による人間の犯罪心理の変化は確かなものであり、防犯に有用であることがわかっている。この他、義務教育の期間にルールは守らなくてはいけないという啓発を行ったり、色々な施設で防犯セミナーを開いたり、犯罪被害者に対しての支援機関を設けるなど、宇都宮市は取り組むべき施策を打ち出し市民一人一人の防犯力の向上を目指している。こうしてまちづくりを行っていく中で住民たちが信頼できる空間が出来ていくのだと思う。

４、考察・改善法

宇都宮市の犯罪防犯活動はかなりしっかりしているものに見える。上記の取り組みに加えて夕方の交通量が多い時間帯は大きな交差点には警官がでていたり、住民パトロールが行われたり、小学生に防犯ブザーを貸与し、集団登校、集団下校をさせている。実際に過去のデータと比べ、最近の犯罪総数は減ってきているのだがしかし、依然として約7割の市民が日常生活において、何らかの犯罪被害にあう不安を感じている状況である（H21年度データ）。確かに自転車盗のような直接危害を被るわけではないけれど、安心して普段の生活を過ごすには周りの人間を信じきれないような環境があると思う。それは今の時代どこの市町村でも同じだと思うが、人口が多い分一人一人の責任と行動によって周りの人々に大きく影響し生活が左右されるのではないか。自転車盗のみならず、空き巣、ひったくり、置き引きなど毎日どこかで犯罪は起きているのが現状だ。現在、日本には「防犯」に対する法律は存在しない。各自治体によって条例や推進計画に基づいて事業を展開しているため、自治体間で大きな差が生まれている。北関東エリアで同じ、群馬県の前橋市も似たような犯罪の傾向がある。このように犯罪は、災害と違い人が起こすものだから、意識の問題が大きい。性悪論のように自然と悪い方に流れてしまう人もいれば、善良な人でも何かの問題で事件を起こしてしまう人もいるだろうし、もしかしたら犯罪と思わないで「犯罪」を犯している人もいるかもしれない。人間だから迷うときもあるのは仕方ないが、迷ったまま行動に移すことを決して許してはいけない。もちろん犯罪を犯す人に非があるのだが、その犯罪の標的にならないように行動することもとても大切である。宇都宮市の地域特色に応じて、一人一人が気をつけて犯罪を未然に防ぐ行為を日常化すること。起きた犯罪はたとえ軽いものであったとしても許さないこと。町全体で防犯の目を張り巡らせて次の犯罪を起こさないことなど、住民全体で予防に努めることがまず第一に重要である。そして起きてしまった犯罪へのアフターケアも今後さらに充実させ、街に生きる人々が自分たちを守っていくことが、市民と行政の強い結束力を生み出すとともに、住みよいまちづくりにつながるのではないだろうか。今後、どのように防犯活動が行われていくのか、防犯は安心して暮らせる日々のために、目立つポジションではないが改めて注目していくべきポイントだと学んだ。

５、参考

・平成22年度宇都宮大学前期授業「実践・宇都宮のまちづくり」

平成22年5月26日資料

・岩手県各警察署管内別市町村犯罪認知件数（洋野町）

・追い出せ、犯罪！！〜ブルーライト大作戦〜

gyosei.mine.utsunomiya-u.ac.jp/2008machi/2008machiaoiro.ppt

・命救う“青”ＬＥＤ　踏切自殺が激減（毎日新聞、神戸新聞） [2009年02月06日(金)]　

http://blog.canpan.info/dogenkasenaika/archive/1048

・青色防犯灯で犯罪が激減？（最終閲覧日平成23年1月16日）

http://www.blue-diet.com/hanzai.html

・群馬県前橋市／安全で安心なまちづくりを目指して！

http://www.city.maebashi.gunma.jp/ctg/03500167/03500167.html