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佐々木彩「買い物弱者の現状と取り組み」

 

1、はじめに

私は最近、買い物弱者について特集しているニュースを見た。買い物弱者とは移動手段がないため買い物にいけない人のことで、そのほとんどは高齢者である。私はこの番組をみて、祖父のことを思い出した。私の祖父は運転免許を持っているため、近所の高齢者を車で買い物に連れて行ったり、病院に連れて行ったりしていた。私の住んでいた町は近くにスーパーや薬局など生活必需品を売っている店が割と多いので祖父がほかの高齢者を連れて行くことは多いわけではなかったが、周りに店がない高齢者は果たしてどのように買い物をしているのか気になった。また、買い物弱者を救うためにどのような取り組みを行っているのか調べてみようと思った。

 

2、買い物弱者の現状

 経済産業省によると、買い物弱者は全国で600万人にのぼる[i]。その原因は、高齢化や人口減などの影響で、身近な場所から買い物をするための店が撤退する地区が増えたこと、そのうえ、高齢のために自動車が運転できない等の理由で遠くの街まで出かけることが困難になってしまったからである。私が見た番組の高齢者も運転免許を持っていない一人暮らしの女性で、運転免許を持っていないためになかなか買い物に行くことはできない。そのため自分の畑で作った野菜を食べて自給自足の生活をして、本当に買い物が必要なときは自転車で30分かけて買い物に行くと言っていた。しかし、高齢者にとって自転車にのることは危険である。その女性も転んでけがをしていた。私はよく自転車に乗っている高齢者を見かけるが、ふらふらしていて、決して安全とは言えない。このような人が全国にはたくさんいるのだ。

 

3、対策

 経済産業省は3つの対策を提案している。[ii]

l  身近な場所に店を作ろう

l  家まで商品を届けよう

l  家から出かけやすくしよう

「身近な場所に店を作ろう」とは、生活に必要なモノやサービスを提供できる店を身近な場所に作ろうというものであり、「家まで商品を届けよう」とは身近な場所に提供できないモノやサービスを移動販売車や仮設店舗、宅配などで届けるというものである。また、「家から出かけやすくしよう」とは家まで乗合タクシーで送迎したり、気軽に乗れるコミュニティバスを運営したりすることによって外出しやすくするというものである。

加えて、買い物弱者を継続的にサポートし続けるためには、できるだけ事業(ビジネス)としてサービスを提供していくことが大切である。その工夫として7つの項目があげられる。[iii]

l  利用者のニーズの把握:買い物弱者マップ作成、地域ごとの課題への対応

l  運営基盤づくり:輸配送ルートの効率化、ITの活用、

遊休設備や公的設備の活用

 

l  サービスの開始と継続:住民主体での運営、支援制度の活用

「買い物弱者マップ作成」とは買い物弱者がどの地区に何人くらいいるのか、なるべく定量的に、視覚的に把握することで、利用者のニーズに的確に対できるサービスを提供しようというものだ。「地域ごとの課題への適応」とは地域の大きさや人口によって問題を把握し、適応しなければならないというものである。また「輸配送ルートの効率化」も大切で、無駄をなくすために企業との連携も重要となる。「ITの活用」は様々なニーズに対して最適で柔軟なスケジュールを管理したり、変化する様々な商品・サービスの予約を管理したりする。これは複雑な処理が必要で、このような複雑であるがお客さんの目に見えない「裏方」の処理については、IT基盤を使うことが良いとされる。「遊休設備や公的設備の活用」は周りに目を向け、使われていない施設などで使えるものがないか把握することを提案している。たとえば、車両や公民館、空き店舗などが利用できる。「住民主体での運営」は買い物弱者の苦労が一番わかるのは住民自身であることから、自分たちで率先して取り組め、最後まで粘り強くできるのではないかと提案している。「支援制度の活用」に関しては、現在国はさまざまな事業に対し支援を行っているためそれを最大限利用するべきである。

 

4、具体例

取り組みの主体はさまざまなものがある。県や市が行うもの、NPO法人が行うもの、企業が行うもの、またそれらが共同で行うなどさまざまなかたちがあると言える。ここで、さまざまな主体によって行われる取り組みを提示する。

 

地域住民を中心として設立されたNPO法人を中心に〜三重県四日市市〜

これは、「家から出やすくしよう」という対策案に基づくものである。三重県四日市市では「生活バスよっかいち」というバスが運営されている。この地域は路線バスが運行されてきたが、利用者の減少に伴い廃止となってしまった。市に対して存続を要請したが、地域にとって満足な結果にはならなかったため、地域住民の手で存続の道を探ることになった。平成14111日に無料の試験運行を開始し、その成果を踏まえて12月にNPO 法人認証申請、翌153NPO 法人認証と路線バスの許可を取り41日より運行開始となった。事業の成り立ちは主体が地域のNPO法人であり、四日市市は補助金を出し、協賛企業も協賛金を出す。そしてバス会社に委託するかたちをとっている。運行経路はスーパー、病院、駅をまわり、15.5往復、週5日運行している。1日に約100人が利用している。この取り組みは地域住民が主体となっているため、身近に利用しやすいのではないかと考える。また、たとえ自分で車をもち、移動できる人でも関係ないという考えが生まれにくいのではないかと思う。また、NPOがコミュニケーションをとりながら利用者の要望を吸収しやすいのではないかと思う。

 

コンビニと自治体の取り組み〜セブンミール〜

これは「家まで商品を届けよう」という対策案に基づくものである。高齢者や働く主婦など、買い物に不便を感じている住民に対して、お店から自宅に便利でおいしく安心な食事を届けるサービスである。セブン-イレブンの弁当・惣菜の開発・製造技術、物流と店舗網のインフラを活用し、管理栄養士の指導の下、栄養バランスと利便性に配慮した宅配用商品を独自に開発し、食事宅配サービスを全国に展開している。事業内容は(株)セブンミールサービスが(株)セブン‐イレブン・ジャパンに商品開発や企画を提案し、会員はセブン‐イレブン加盟店に注文し、加盟店は受注情報をセブン‐イレブン・ジャパンに送り、加盟店から会員へと宅配される。これは、いつも同じ加盟店からの店員が宅配してくれることによって安心を持って商品を受け取ってもらうことができ、また直接コンビニを利用するひとが増えるというメリットがある。これはセブン‐イレブンの物流網と店舗網によって全国に早く展開することができたのだと考える。

 

5、おわりに

 私がこの買い物弱者に関して知ったのは最近のことである。しかし、インターネットで検索してみるとたくさんの記事が投稿されており、とても大きな問題なのだとその時初めて知った。なぜかと考えると、私にとってやはり身近でないという理由が大きいのだと思う。私が一番印象に残ったのは地域が主体となって取り組むということである。それは前述したように、自分や自分の周りにいる人が対象だからこそ真剣になって取り組むということが大きいのではないかと思う。買い物弱者の支援に関して三つの対策があり、また七つの工夫を学んだ。それは地域ごとに求められるものが異なり、できることも異なるためこのようにたくさんの対策が出るのだと思う。それぞれの地域は何が必要かしっかりと認識し取り組まなければ意味がないのだということがよくわかった。また、県や市などで取り組めることは限られており、今回紹介したNPO法人や企業が加わり、協力し合っていく必要がある。そのためにも利益を得ることは必要であり、それが長く続く秘訣なのだと思う。地域の問題は地方自治体が解決するものだと考える人もいると思う。私も地域で問題があれば地方自治体が何とかするべきだと思うことがあるが、今は企業が活躍することができる。住民に喜ばれ、企業も利益を得ることができるサービスができることが実現されやすくなった今、さまざまな視点から物事を見て、企画する力が必要となってくるのではないかと思う。



[i]http://www.meti.go.jp/press/20101210002/20101210002-2.pdf

経済産業省 買い物弱者応援マニュアル 平成23年1月現在

[ii]上に同じ

[iii]上に同じ

 

参考文献

生活バスよっかいち 平成23年1月現在

http://www.rosenzu.com/sbus/

セブンミール 平成23年1月現在

http://www.7meal.com/contents/0000/index.html