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野々下三四郎「自転車のまち宇都宮‐現状と展望‐」

 

1.はじめに

 

 現在、私の住む宇都宮市は、宇都宮を元気な街にすべく、さまざまな角度からアプローチしている。ざっと思いつくもので自転車の街・カクテルの街・ジャズの街・餃子の街などの取り組みが挙げられる。本レポートでは、今後、宇都宮の街おこしの柱となるであろう「自転車の街宇都宮」にスポットを当て、宇都宮のポテンシャル、そして展望を考える。

 

2.宇都宮の街おこし ―現状―

 

前記のように宇都宮市はまさにあの手この手で宇都宮を売り出そうとしている。しかしその反面、どれも中途半端であり決定力に欠けているのではないか。カクテルの街・ジャズの街は、私たち宇都宮市民にすら認識は薄い。また、現在の宇都宮の観光の柱「餃子」においては、近年同じ「餃子の街」と銘打ち町おこしを始めた浜松町に株を奪われつつある。しかも、両者の競争の指標となっているのは1世帯当たり(2人以上)の餃子の年間支出額であり[i]、おいしさではないところにも問題がある。なので、私自身も宇都宮に訪れた観光客に餃子のおいしいお店を尋ねられると困ってしまう。このままでは宇都宮がナンバー1と誇れるものはなくなってしまうのではないか。

 

3.ジャパンカップサイクルロードレース

 

ジャパンカップサイクルロードレースとは(以下「ジャパンカップサイクルロードレース」を「ジャパンカップ」と呼ぶこととする)、国内で唯一、ツール・ド・フランスなど本場欧州で活躍する世界トップクラスの選手が一堂に会するUCI(国際自転車競技連合)公認の大会である。1990 年に宇都宮市で開催された世界選手権自転車競技大会を記念して、1992 年より毎年開催されており、全国から多くのサイクルロードレースファンが集まる。[ii]このジャパンカップが宇都宮で行われるのには、コースとして使用される栃木県宇都宮市森林公園の景観の良さ、また最大の見所で毎年名勝負が繰り広げられる標高差185m の古賀志林道の上り坂などの地形的要因が挙げられる。経済効果は約6億円にも上る。[iii]

 

4.ジャパンカップに対する宇都宮市の取り組み

 

全国から7万人強の人々が訪れるジャパンカップ。宇都宮の知名度の向上にとってはまたとない機会である。本項では20101023/24日に行われたジャパンカップに対する宇都宮市の取り組みについて述べてゆく。今回のジャパンカップで宇都宮市は今までのロードレースファンに加え、新たなファン獲得に努めたと言える。その取り組みの一つは宇都宮市ホームページ上での「初心者でも楽しめるジャパンカップの楽しみ方」と称した初心者向けのページ開設が挙げられる。ここでは、そもそもサイクルロードレースとは何か、レースの見どころ・楽しみ方解説している。もうひとつ、今年から設けられたクリテリウムこそがジャパンカップ成功の大要因だったのではないかと私は考える。長い距離のコースで争われることが多いロードレースに対し、市街地に設定された短い距離の周回コースを走るレースがクリテリウムである。宇都宮市街中心部に設定されたジャパンカップ・クリテリウムはコースが約1.6kmと短く、20周で争われる。そのため、コースが見渡せるので展開が分かりやすく初心者にとってはわかりやすい。毎年行われるジャパンカップでのファン増加は、そのまま宇都宮への経済効果上昇に繋がる。そのため宇都宮市は今以上に初心者へのソフト面でのサポートを充実させねばならないと言える。

また、これだけ多くの観光客が訪れれば、当然レストランや娯楽施設の利用も多くなる。そこで宇都宮市は「サイクルシティうつのみやサポート店」として11000円で加盟店を募り、加盟店でしかもらえないオリジナルグッズの配布、また、豪華賞品の当たる優勝チーム当てクイズを企画(加盟店からのみ応募可能)[iv]し、これは、ジャパンカップは市民一丸となって行うイベントであるという色合いを強めた。もちろん加盟店はジャンル分けされており、同時に「カクテルの街」「餃子の街」「ジャズの街」の発信に繋がっている。

 

5.映画の舞台

 

あまり知られることはないが、毎年ジャパンカップが行われる栃木県宇都宮市森林公園はスタジオジブリ制作の映画「茄子 スーツケースの渡り鳥」の舞台になっており、宇都宮市内のサイクルショップにはその紹介や、グッズも販売されている。

 

6.宮サイクルステーション

 

宇都宮市は「自転車の街うつのみや」の実現に向け、2010102日に宮サイクルステーションをオープンさせた。建物は平屋で広さ55平方メートル。無料で利用できる男女別のシャワーやトイレ、自転車の修理洗浄スペースを完備している。営業時間は午前7時から午後8時までなので、出勤前にシャワーを浴びることができる。郊外からの自転車通勤者の増加が見込める。また、休日などに輪行[v]で訪れた人に対しては森林公園方面や小来川方面でサイクリングを楽しんでもらい、帰りにはシャワー、走行中は荷物の預かり等を行う。

 栃木のプロスポーツチーム「宇都宮BLITZEN」とも連携して自転車フィットネス教室などのイベント実施している。

 

7.まとめ

 

「自転車の街宇都宮」が目指すべきは自転車先進国オランダであろう。市内にはスポーツサイクルに乗っている人は確かに多い。しかし、現環境ではオランダのように自転車専用道がある道路は少なく、宇都宮線にはサイクルトレイン[vi]は無い。世界でも有名なサイクルロードレースが毎年行われ、ジブリ映画の舞台となるだけの景観も持つ宇都宮。ポテンシャルとしては十分である。今後の展望としては、宮サイクルステーションの利便性、宇都宮BLITZENの活躍により「自転車の街宇都宮」のますますの発信、道路環境の整備が求められる。

宇都宮の郊外には日本で一番と呼べるほどのサイクリングに適した環境があり、かつ輪行者にとってありがたい施設があるとなれば輪行者・観光者が増加し、JR宇都宮線にサイクルトレインができ、宇都宮が自転車乗りにとって素晴らしい街となり、街が活気づく。そうなれば宇都宮は胸を張って「自転車の街宇都宮」を掲げられるだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 



[i] http://www.yomiuri.co.jp/atmoney/news/20100217-OYT1T00047.htm 読売新聞2010217

[ii] http://www.japancup.gr.jp/2010/node/241 JAPAN CUP CYCLE ROAD RACE大会概要

[iii] http://www.shimotsuke.co.jp/news/tochigi/region/news/20101208/425182 下野新聞2010128

[iv] http://www.utsunomiya.cc/support/form.html サイクルシティうつのみや

[v] 輪行(りんこう)とは、自転車の乗員が自転車を公共交通機関(鉄道〜船〜飛行機など)を使用して運ぶこと。

[vi]自転車をそのまま持ち込める電車