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根本由布子「日立市教育委員会 教育研究所 教育研究所報 りさーちについて」

 

 今日社会問題化している、不登校について地方自治体ではどのような対策をとっているのか興味があり、地元について調べることにした。わたしの妹も、また、妹の友人も学校に行けないという状態を経験していたし、クラス、または学年に1人以上は不登校になっている児童生徒がいたように思う。実体験を基に考えると、不登校というのは身近であり、個人で解決するには時に困難を要するものである。また、本人だけでなく、身内も不登校という悩みを内に抱えやすい。なので、外部からの支援が必要だと考える。

 

 地元の不登校対策を調べるために、まず、インターネットで教育委員会のホームページにアクセスした。すると、日立市教育員会の下部機関にあたる教育研究所が教育研究所報として発行している『りさーち』のなかで、不登校対策支援授業の報告やお知らせを行っていた。その他にも、義務教育課程の不登校児童生徒や生徒を、公立学校と同じ時間、過ごせる場所が存在することもわかった。わたしが、妹のことで悩んでいたときには、インターネットを使って、何か助けになることを調べてみようとなんて思わなかったが、ちょっと調べてみようとすれば、様々な情報が得られることに驚いた。身近な人に相談できなかったとしても、パソコンというメディアからの手助けが存在するのだなと感じた。これは時代に合った情報提供の形であり、大変有効であると考える。

 

 さらに分析するために、不登校対策支援授業を調べるにあたって、様々な情報を提供している媒体であると考えたので、日立市教育委員会の教育研究所が発行している『りさーち』を視ていくことにする。

 

 『りさーち』のなかでは主に日立市の公立小中学校で働く、教職員向けに不登校対策支援事業の紹介を行っている。内容を大きく見ると、支援授業の一環として行われている、野外学習の報告や告知、不登校生徒児童に関しての教師への悩み相談やアドバイス、不登校の児童生徒と向き合うための手助けとなるような書籍の紹介、教育相談員の紹介などである。以下でさらに詳しく内容を紹介しつつ考察していく。

 

 野外活動の報告について

『りさーち』のメインとなっているのが、この野外活動の報告である。野外活動は教育研究所が運営している『ちゃれんじクラブ』という、不登校となってしまった小中学生の生徒児童をあずかっている機関から参加してくる子や、学校の担任の先生に勧められて参加する子が主である。茨城県にある、大型テーマパークの海浜公園でサイクリングを行ったり、地元の川で川遊びをしたり、りんご狩りや笠間陶芸を体験するなど、地域の特性を生かした内容となっている。自然豊かな茨城県北部で、遊びを通して他の友人と交流を深めることや、外に出て遊ぶ楽しみ、忘れていた笑顔を取り戻すことができることが体験者の感想を読むことでわかった。いきなり、通常の学校に行かされるよりは、同じ悩みを持った仲間と触れ合うことで、全ての他者が自分を傷つけるわけではないとわかるだろう。そして、1人よりも、喜びを共有する仲間がいるほうが楽しいことを知ることができると考える。わたしも、このような感想を持てる前向きな報告内容であり、不登校の生徒児童を募るにはよい方法だと考える。

 

 不登校生徒児童に関しての教師への悩み相談やアドバイス

学校に来てくれても、教室からいなくなってしまう、話を聞いてくれないなど、不登校の児童や生徒をもつ教職員の悩みにアドバイスをしている。自分だけだの悩みだと思っているものは、実は他者も悩んでいることであったりする。悩みを共通化することのできる、場であるという評価ができる。

 

 不登校の児童生徒と向き合うための手助けとなるような書籍の紹介

紹介し、さらに教育研究所で貸し出しも行っている。悩んでいるだけではなく、行動を起こすというステップの手助けとなると考えられる。

 

 教育相談員の紹介

教育相談員とは、教育委員会から各学校に派遣され、児童生徒の悩みを聞いたり、相談

に乗ったり、教師とともにその子に合った対策を考えていく職員のこと。学校で専門家の相談を気軽に受けることができ、学校への復帰支援をしてくれる。生徒児童だけでなく、

保護者や教師らの助けにもなる存在であるだろう。『りさーち』に教育相談員の紹介を載せることで、普段一緒に働いているわけではないが、その存在を再確認でき、ともに協力していくという考えや行動のきっかけに繋がると考える。

 

 以上、細かく分析してきたが、ひとつひとつ分析してみると、それぞれに意味があることがわかった。こういった、小さな積み重ねが、不登校対策には必要であるのだなと感じた。日立市教育委員会の下部機関の教育研究所が出している、広報だけでこれだけの支援が行われていることがわかった。さらなる、支援の拡大として、そのことを、積極的に教師から、家庭に伝えることができれば有効活用されることだろう。

また、不登校対策だけでなく、地方自治、国政、どんな分野においても、最初の一歩を踏み出すきっかけや、手助けから支援していくことが必要なのではないだろうか。不登校支援について調べてきて、ひとつの物事には様々な側面があり、それらを支援する様々な試みがある。地方自治とは特に、他では手の届かない、小さなところからのバックアップをしてくれる存在なのかもしれない。

 

 

 

参考文献

日立市教育委員会ホームページ

http://www.city.hitachi.ibaraki.jp/viewer/subgenre.html?id1=2&id2=1&id3=4&level=3&idSubTop=8 2010/01/10検索

日立市教育委員会 教育研究所 教育研究所報『りさーち』 216217219220224225より考察。