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前田かおり「八戸市都市計画〜まつりんぐひろば開発にあたって〜」

 

 近年は国から地方への補助金が削減されるなど地方行政にとっては運営しにくく厳しい状況にある。その中でいかに資金を市のため、市民のために有効に使うかがカギとなってくる。住民にとって利用頻度が高くかつ地域活性化に繋がる交通網や公共施設を設ける必要があると考える。そのためには市民の意見を広く取り入れ繁栄させ、十分に検討したうえで着工すべきである。不正などはもってのほかである。

そこで、まず私がこのテーマを選んだ理由・動機として、第一に八戸市民としてなぜまつりんぐ広場が建てられることになったのかということだ。まつりんぐ広場とは、平成19年に完成した公共施設で、約17憶円の予算を投じて建てられた。広場内には、ベンチやテーブルが置かれとり人々が会話を楽しむことができ、休憩できるスペースがある。それらには、屋根が付いているところもあり雨や雪の日にも対応している。また、水飲み場やトイレも3か所設置されており、イベントのときにはあまり混雑せずにすむと思われる。そして、子供用の遊び場もあり休日には家族連れで、平日には近所に住む子供やお母さんたちが利用できるようになっている。あとは、駐車場も多くはないがあり、21時まで無料で開放されている。利用目的としては、旧八戸市と旧南郷村の合併記念私設として旧市村民がお祭りやその他のイベント、レクリエーション活動を通じて交流するためである。

私が初めてこの広場を見たのは平成19年の8月下旬ごろだった。つまり、完成してからまだ日もたっていないころだ。それにもかかわらず人数は少なく利用されている気配が感じられなかった。また、第二にデザインがいいとはいえなかった。景観も周りと一致しておらず、その場だけぽっかり浮いてしまっているようだった。後にも記すが中心街を活性化させるために造られたのではなかったのだろうか。それに伴い、中心街と関係が薄く、季節や時期によって利用者の数や利用頻度にかなりの差がでていると感じる。これらの点が疑問となり、私は近所でもあるこのまつりんぐ広場について調べてみようと思った。

 

初めに、八戸市の現状と、まつりんぐ広場ができるまでの過程について記したいと思う。人口は245,955人(平成19年度)で、面積は305.17平方q。主な産業としては水産業と臨海工業である。八戸市は水産食品加工や全国屈指の漁獲高を誇っている。臨海工業では、1996年に輸入促進地域=FAZに認定され、国の開発計画などの地域指定の中心地として発展してきた。新幹線も開通し、お祭りの時期などには県外からの観光客も増えてきており、新たに観光面での発展がうかがえる。

以下がまつりんぐ広場できるまでの過程を簡単に記したものである。

平成3年   新病院先移転場所決定

平成9年   市民病院移転

平成13年  八戸芸術パーク構想として、旧市民病院跡地が候補となる

平成15年  「青森県財政改革プランH16~20年度」により大規模な施設の新規着工は見合わせになり、八戸芸術パークは休止状態となる

平成16年  市民からの意見募集(期間8月2〜31日まで)

*平成15年から5度にわたる庁内検討委員会がひらかれる。平成17年から旧跡地にて工事着工(建物の取り壊し)

平成19年  まつりんぐ広場完成(81日)

 

以上のことを詳細に説明していきたい。八戸としては、この広場を媒体として中心市

街地の活性化や交流人口の拡大を目的としていた。その点から言うと、プラス要因として広場の建設場所は市街地から400メートと近く、建設予定地付近では朝市が毎朝行われている。土地面積も17.100メートルと十分な活用スペースがある。マイナスの 要素としては広場の周辺は市街地から近いといっても民家が主であり、空き店舗が多い。    

そして、八戸芸術パーク案が無くなった理由として、『大人たちが芸術に興味がなければ子どもたちも興味を持たない。そのため、普段から足を運ぶ人は少ないだろう。』『すでに郷土博物館や他の美術・芸術関係の建物があるのだから必要ないのでは?』といった住民の声があったことがあげられる。それから、H16年に行われた市民からの意見募集は、市公報やホームページ・各支所・公民館・新聞・ラジオ等で募集していたそうだ。意見の一部としては『お祭り広場関係・憩いの場所や多目的イベントスペース・産地直売センター関係』が出た。一方、庁内検討委員会の案としてはH163月時点で『産地直売センター・文化や芸術活動等のイベントスペースやお祭りの山車展示スペース・憩いの広場』などという案があった。それらの意見から結果として今の広場が造られた。

 

しかし、完成後の住民の反応はどうだろうか。一部からは不満の声も出ている。よって、

ここからは問題点と改善点について書いていきたい。

 病院移転から10年たってからようやくその全貌をみせたまつりんぐ広場だか、この間の長期間なぜほったらかしになっていたのだろうか。行政は旧市民病院が移転する以前から明確な案を立てていなかったのか。そのため、病院は廃墟となり約10年そのまま取り壊されもせず残っていた。近隣住民や道路を通る人たちからすれば不気味で恐怖感をあおるものだったろう。また、青少年らによる建物への不法侵入があり夜間には遊び場や集会場所になっていたことがあるそうだ。そのたびに、警備員や見回りをする人が必要なので、それらを考えたら何を立てるかは別として取り壊しだけでも先に行うべきだったのではないだろうか。そこには予算の関係もあって難儀していたところもあるはずだが、街の景観や今後の発展にかかわる地域を明るいイメージに持っていくには早急な対応が必要だったと考える。

 他方では、朝市や夕市の場として提供されていて好評の声もある。今までより朝市が開かれていたエリアが拡大したので、買い物客(利用者)だけでなく出展者側の増加もうかがえそうだ。そういった面では地域に貢献しており、市場の活性化や拡大に役立っていると考える。しかし、そうはいっても夏期の三社大祭の時期や冬季のえんぶりの時期を除くと利用者の数には差がみられる。日常・日中での利用者は私がこの冬に行った時には5〜6人ほどしか見られなかった。冬休みということもあり家族で旅行中なのか部活動があったのかもしれないが、それでも少なすぎる。また、冬の寒い時期でもあったので外で遊ぶのを避けていたのも大いに考えられるが広場の光景は夏でも人がたくさんいるというイメージはなかった。

中心街の活性化には日々人が集まることが条件としてあるはずなのに、これでは政策倒れになってしまう。年中を通して人が集まれる場所を提供することが大事だ。そこで、平成16年に市民の意見を募集していたが、意見募集はたったの一度きりというところが、妙に引っ掛かる。住民の意見を反映させるならば、八戸芸術パークの構想が上がる前から市民に意見を募集すべきだったのではないか。投稿が少なかったのならば、第二回、三回と行ってもよかったと思う。私はその募集が行われていた当時は追う高校生で、毎日朝はラジオ局のすぐ前のバス停から乗って通っていた。しかし、その募集に関する放送を聞いた記憶がない。そのため、この資料を集めているときに初めて知ったのだ。もちろん、私だけが個人的に知らなかったのかもしれない。

そこで、考えたのは「旧市民病院跡地をどうするか?」ということを市内の中高生に授業として考えてもらうことだ。ゆとり教育の導入でそういった時間を持てるだろうし、社会科の授業としても良いと思う。学生たちがまずは、自分たちがあってほしいものを考え建物や外観をデザイし、それが八戸市の中心街に適合しているかどうかを見分けつつ案を練っていくというものである。これによって、地域行政、市の成り立ちや地元に詳しくなるだろう。教えられるだけではなく、学生自らが動くことでとてもいい勉強にもなり、市にとっても良い案が得られる。

そのほかにも私が提案したいのは、広場をコンクリートで敷き詰めるのではなく芝生の部分を設けるということだ。その方が子供たちは広く動き回ることもでき、転んでも安全である。サッカーや、野球は禁止となっていているのは近くを大きな道路が通っているので安全面で考慮したというのもあるだろう。しかし、それでは子どもたちにとっては魅力不足に映ってしまう。せめて、バスケットボールができる場所を確保するだとか、広場の一角としてスペースを作ってはどうだろう。決して、若者がメインとなる広場を作ろうというのではなく、人が集まりやすくするためにはどうすればいいのか、という案を考えていきたいと思っている。近代的だけれども緑を多く自然に囲まれた広場で、人々が集い賑やかに過ごせる場所であってほしい。土日の休日にはフリーマーケットを開くなど気軽に出店できる機会を増やす場であったりしても良いと考える。それには、駐車場や駐輪所を確保する必要がある。そういった面は、活動規模が拡大するにつれ発生する今後の課題となるだろう。

このように、もっと最初から構想をねり、中間報告を市民にして反応を窺うことが必要だったと考える。まつりんぐ広場ができるまでの過程を多少急ぎすぎた感があったと思う。行政は住民のニーズに応えるように計画し、また住民側も行政に一方的に頼りすぎず疑問点があったら自ら行動していくことが今後の社会では必要となってくる。まつりんぐ広場はできたばかりなので、中心街の活性化のためにも今後の活動に注目していきたい。

 

 

 

参考文献・URL

・都市機能の高度化と地域対応 八戸市の【開発】と<場所の個性>

 高橋英博 佐藤利明 今野裕昭 武笠俊一 佐藤直由 武田共治 著 (東北大学出版)

city.hachinohe.aomori.jp/index.cfm/.../801/20070815-161552.pdf

Eグループ:旧市民病院跡地の活用と周辺のまちづくり 中間発表)

www.city.hachinohe.aomori.jp/index.cfm/9,3812,c,html/3812/05.pdf

(八戸市中心市街地活性化基本計画〈素案〉)