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            阿部優子「道の駅」

 私はよく県内県外を問わず、ドライブするのが好きだ。途中に「道の駅」があると休憩とトイレを兼ね、何か面白いものがないかとほとんどの「道の駅」に立ち寄る。トイレに関しては女性である私には本当にありがたいものである。しかし、何か面白いものがないかという期待にはあまり応えてくれる「道の駅」は少ない気がする。この頃はあるのが当たり前になりつつある「道の駅」について本来の目的や運営の主体、財政的な問題、今後の課題等を考えてみたい。

「道の駅」は自家用車の普及で女性や高齢者のドライバー、長距離運転者が増加し、交通の円滑な流れを支えるため、一般道路にも安心して利用できる休憩のための施設が求められているとして造られ始めた。 「道の駅」には道路利用者のための駐車場・トイレ・電話の休憩施設が不可欠であり、さらに観光地情報など市町村の情報発信機能を持つ施設が道路利用者、地域の人々のために用意される。そして「道の駅」 をきっかけに町と町とが手を結びあう地域の連携機能が期待されている。以上の「道の駅」の目的ではあるが、具体的にどのような規模や施設を造るかは「道の駅」の運営者である地方自治体等に任されている。  「道の駅」は平成3年に国土交通省道路局により登録され、試験的に始められた。平成5年に正式登録第1号が山口県阿武町の「道の駅」と言われているようだが諸説あるようだ。その後、現在までに全国887か所が「道の駅」として登録されている。栃木県内では現在まで15か所が「道の駅」として登録されている。また、「道の駅」の登録は市町村が国道、県道それぞれの管理者と市町村の一体型で造り、登録する場合と市町村が単独で造った後に申請し、「道の駅」として認められ登録される場合がある。一体型ではトイレや休憩所、駐車場については国が造る。その他にも国からの補助金がいろいろな名目で出される。今後も県内数か所の自治体が「道の駅」を造ることを検討中であるという。

具体的な「道の駅」については、栃木県内で14番目に「道の駅」として登録された「道の駅・思川」について述べる。         

この「道の駅・思川」は2006年4月に国道50号線沿いの小山市街地から離れた畑や田んぼの中に造られた。この「道の駅・思川」は国から助成金が出ているトイレ、駐車場を除いて総工費15億円で造られている。開設当初から建物等の規模も大きく、また運営は民間感覚を大事にしたいと県内百貨店から支配人を招くなど話題になった。その時の新聞記事によると小山市は「百貨店での経験を生かして、客に喜ばれる施設にしてもらいたい。」と期待しているとある。運営主体は第3セクターの株式会社とし、資本金約5千万円の7割を小山市が出資し、残り3割を小山農協、小山商工会議所等と市内の金融機関が出資した。小山市独自の「小山ブランド」を作り、農畜産物、食品、菓子、酒等々の中から選定し、例えば「おやま和牛」「開運おやまたまご」「おもいがわ米うどん」「思川桜だんご」等命名し、「道の駅・思川」から発信、発売している。また、地元産にこだわった農産物が好評であり、土、日曜日などには野菜売り場はお客で一杯である。また、レストランなどで使用する野菜などの食べ物も出来るだけ地元産に拘るなど地元小山市を前面に出した運営が功を奏しているようだ。 併設されている研修室も予約待ちが出るということで有効に使われている。展示会や

音楽会なども開かれ「道の駅・思川」は小山市が期待していた当初の目的は達しているという。  雇用の面でも野菜等の直売生産者約 150人を含め300人以上の人が何らかの形で働いている。 さらに財政面でも19年度は小山市が第3セクターに出資している金額より、270万円が黒字となり小山市の一般会計に繰り入れられたという。                  

小山市の担当職員は今後の課題としては駐車場が狭いので拡充の問題と運営が営利主義にならないように小山市として監督、修正していくことだと言う。                                      

次は「道の駅・はが」を紹介したい。「道の駅・はが」は主要地方道宇都宮茂木線沿いにあり、「芳賀温泉ロマンの湯」と「ふるさと交流体験センター」にトイレ、駐車場がある。「芳賀温泉ロマンの湯」は温泉施設であり、町民の兼好、福祉の増進が目的で平成7年に造られている。                              「ふるさと交流体験センター」は地域農産物、特産物の新しい流通機能構築、加工品研究、研修、販売促進、都市と農村の交流と経済の活性化の目的で平成13年に開設されている。その後平成13年に「道の駅・はが」として登録される。運営主体は第3セクターである「芳賀町ロマン開発株式会社」に指定管理者制度による委託を行っている。芳賀町は90%を出資しており 、町長が代表取締役を兼ねている。「芳賀温泉ロマンの湯」の総事業費約9億800万円と「ふるさと交流体験センター」の総事業費6億5000万円。合わせて15億円である。この「道の駅・はが」に関わる人は職員も含め100人前後と推定される。芳賀町から管理委託料として「芳賀町ロマン開発株式会社」に管理委託料として毎年880万円が支払われる。          

今後の課題としては「ロマンの湯」では建物が建築後13年を経過しているため改修、修繕が必要で21年度の一般会計から6,000〜7,000万円が必要なこと。周辺浴用施設との競争に勝つための独自性の創出、現在町内利用者の利用率が町外利用者の利用率がより低いので、「ロマンの湯」は町有財産であり、町資金が投入されている施設なので町内利用者を増やしたいとあげている。また「交流センター」においては野菜等の売上の伸び悩みがあるのでテナント料の減収がみられる。県道宇都宮茂木線のバイバス化による交通量の減少が確実視されており、利用者の減少が懸念される。イベント、体験教室のマンネリ化の打破を担当職員は挙げている。

  偶然ではあるが私が調べた2つの道の駅「道の駅・はが」と「道の駅・思川」は大きく違いがあった。「道の駅・思川」は一体型で最初から「道の駅」として総合的に考え、運営している様子が分かる。「道の駅・はが」の方は同じ場所にたまたま温泉施設と地元産の野菜売り場があったので「道の駅」に登録をしたというところのようだ。その違いと市と町の規模の違いもあり、「道の駅」の規模が違い、売上等にも大きく影響しているようである。ただし「道の駅・はが」特にロマンの湯は健康増進、福祉目的であると位置づけており、比較することがそもそも間違いであろう。                                 

このように一言で「道の駅」 と言ってもいろいろな「道の駅」があり、いろいろな問題をそれぞれが抱えている。「道の駅・思川」はその問題をより少なくし、積極的に市ブランドを作り、発信、販売していくこと等で県内上位3番までの中に入る売上高になっていると考えられる。「道の駅・はが」は他にはない恵まれた泉質の温泉を持つという特質を持ち集客に繋げている。しかし、他の多くの「道の駅」にも言えることだが一番大きな問題は財政的なものではないだろうか。「道の駅・はが」の今後の課題で担当職員が言うように施設は建設後年数が経てば経つほど改修費、修繕費がかかる。「道の駅・思川」にしても現在黒字であっても総工費15億円を小山市に返して、独立採算していけるほどの黒字ではない。勿論この事業を計画した段階から、そのようなことは考えていなかっただろう。公共事業は・・、公共性のあることはお金では測れない。「道の駅・思川」の場合も小山市の名前が売れ、小山ブランドが創られ、みんなに知られ、販売されれば15億円などには代えられないということになろう。私も小山市の担当者から話を聞く限りでは賛成である。 

でもそのような「道の駅」ばかりではない。同じ栃木県内の「道の駅」でも客が殆どいなくて、閑散としているところも多い。また、ほとんどの「道の駅」のメーンである地元産の野菜の販売についても、冬場は地元で採れる野菜が少ないのだろうが、手に取ってみると遠い他県のものが置いてあることもある。農家みんなで出資し、プレハブの野菜売り場で数千万円の売り上げを挙げている例を聞くと、なぜそれではいけないのだろうと考えてしまう。なぜ「道の駅」で売らなければならないのだろう。                                                                                                                           

近年、大きな政府から小さな政府になり、最近はやはり大きな政府の方がいいという声も聞く。私も福祉等等を切り捨てての小さな政府は困ると考えるがさりとて以前のように公共事業という箱物ばかりの大きな政府は、これからの日本そして子ども達のことを考えた時には賛成できない。この「道の駅」事業のために2002年時で我々の税金がもう既に10000億円以上も補助金として使われているというのを聞くと「道の駅」は公共事業としてやることはやめようと提案したい。

最後にご多忙の中、それぞれの「道の駅」についてご説明いただいた各市町の担当職員に謝意を申し上げたい。

 

 

                          

参考、引用文献

www.ktr.mlit.go.jp/utunomiya/nandemo/michinoeki/index.htm - 19k

www.tv-asahi.co.jp/scoop/update/director/20020126_010.html - 5k -

http://www.michi-club.jp/column/stationmaster/stationmaster28.php

ja.wikipedia.org/wiki/道の駅 - 105k

www.ktr.mlit.go.jp/kyoku/road/eki/search/map_tochigi.html