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横澤光祐「住田“い”町のまちづくり〜住田町の合併と将来について〜

 

テーマにもある住田町は、岩手県にある私の故郷である。今回、私はこの講義の「地方自治」という言葉においてまず一番に思い浮かんだ一番身近な存在であるこの住田町について考える。

 

合併については、町は「当面合併はせず、自立・持続」という方針である。これは住民の大半も同様の意見である。また、合併してもしなくても、自治体の財政状況は厳しいが、現在の町の財政状況は比較的健全であるということもあり、自立を選び、地域の特性を活かした町づくりをしていくこととした。ただ、永遠に合併をしないということではなく、合併はこれからも重要な課題であるとしていて、住民や議会、状況の変化などによっては再検討もありうるとしている。さらに、ごみの処理などについては広域連合により他の自治体との連携で対応もしているなど、他の自治体との連携をとらないというわけではない。

 

より詳しく理由を述べると、

・合併の相手先。

合併の相手先として考えられる自治体は、大船渡市、陸前高田市、遠野市、奥州市、一関市があるが、地域的、社会的交流、歴史的な背景から考えられる現実的な相手先は、大船渡市、陸前高田市、との21町の合併⇒気仙広域(旧気仙郡の範囲)となり、住田町はいずれにしても周辺地域となる。

・産業構造の違いがある。

大船渡市、陸前高田市は海、漁業中心の産業体系であり、住田町は農林業中心の産業体系であり、産業構造、産業振興の形態が異なる。もし合併すればどうなるのか先が見えない。住田町の地理、人口規模から見ても中心部とはならないので。

・合併したら住田町の現在抱えている課題の解決は出来るのか。

過疎化、高齢化、少子化は地方の小さな自治体の多くが抱える問題だが、合併しても解決できない。

・コンパクトな行政と住民との協働での町づくり。

 課題が解決出来ないのであれば、住民との協働により今までどおりの、小さな自治体ならではの、住民に密着した行政サービスを行っていく。

・住民への説明、協議

 地域経営レポート、中期財政計画等を住民に提示、地域住民説明会を開催し住民との話し合い、協議、アンケート調査の実施。

・当面「自立・持続」の選択

 説明会、アンケートの調査等により当面「自立・持続」を選択。

・当面「自立・持続」とは。

 何が何でも合併しないで「自立・持続」ではない。住民の意識が社会情勢等の変化で、合併を選択するのであれば合併もあり得る。

というものである。

 

町づくりにおいて、住田町は、プロジェクトS[Sは、Sumita(住田)、Soft(ソフト事業)、Sustainable(持続可能)という言葉の頭文字からとったもの]という3つのプロジェクトを構築した。その3つのプロジェクトとは、「森林・林業日本一の町づくり」プロジェクト、「宿場・賑わいルネッサンス」プロジェクト、「地域協働システム構築」プロジェクト、である。

 

今回は、「森林・林業日本一の町づくり」プロジェクトから、その活動が全国的に注目されている木質バイオマスエネルギーの活用について挙げる。

 

住田町は、町の面積の約90%を森林が占めている。さらに町有林は国内最大規模である。また、森林・林業日本一とは、森林を有効活用し、人と自然の共生を図っていこうというもの。経済を優先し環境を無視した乱伐を行うのではなく、かといって環境保護に固執したものでもなく、環境と経済の好循環により、地域の発展を目指すという考えだ。さらに2004年の34日にはFSC森林認証・森林管理認証を取得した。

 

FSCForest Stewardship Council: 森林管理協議会〕森林認証は、世界的な森林減少・劣化の問題と、グリーンコンシューマリズムの高まりを背景として生まれた、「適正な森林管理」を認証する制度であり、「森林管理のためのFSC10原則と基準」に基づき、適正に管理された森林を認証する。認証された森林の木でできた木材製品には、FSCのロゴマークがつき、消費者に対し、認証された製品であることを示す。認証された製品が市場に増え、購入が進むことにより、適正に管理される森林が守られ、森林の破壊や劣化を招くことなく木材消費が進むというシステムである。森林管理認証は、生態的、経済的、社会的側面などを評価する、「森林管理のためのFSC10の原則と基準」及び、原則を元に作成される地域に適した森林管理基準に基づいて、適正に管理されている森林を認証する制度である。森林管理認証の10の原則と基準とは、1. 法律とFSCの原則の遵守2. 保有権、使用権および責務3. 先住民の権利4. 地域社会との関係と労働者の権利5. 森林のもたらす便益6. 環境への影響7. 管理計画8. モニタリングと評価9. 保護価値の高い森林の保存10. 植林 である。

 

住田町はこれらの特性を生かし、木質バイオマスエネルギーの活用をしている。この木質バイオマスエネルギーの活用は岩手県で取り組んでいることでもある。岩手県が住田町をモデルに、木質バイオマスエネルギー利用に関して調査に入っているのである。

 

木質バイオマスエネルギーの活用として、住田町は木質ペレット(製材過程で発生する余材・端材や、間伐材、おがくずなどを粉砕して高圧で固めたもの。木質ペレットを燃やすときに出る二酸化炭素は、木のときに吸収した二酸化炭素だけなので、化石燃料のように大気中の二酸化炭素を増加させることがない。)を使ったペレットストーブなどを導入している。そして、環境によいだけではなくコスト・採算についても考えている。廃材を利用できるのはもちろんだが、例えば、輸送コストでは、原材料は製造工場に隣接する工場の端材や木屑を利用するので効率的であり、加えて製造コストでは、木材の加工工場ではすでに木材を乾燥させているため、ペレット製造工程での乾燥を必要としないのである。そのペレット製造ラインの設置に関しても、すでにある工場内に置けたのでコストが削減された。このようにして本来なら15千万円といわれたペレット製造ラインを8000万円で実現したのだ。また、ペレットストーブでは、ストーブが高価(40万円ほど)なせいか、満足な普及には至っておらず、補助などの対策を検討し、町から県や国への働きかけをしている。ペレットの価格面では輸入品のペレットに比べて相当安く押さえられていて、実際には使い方にもよるが、灯油を利用した場合との経済的負担はほとんど違いがないという。

 

住田町は木質ペレットを事業にするという「新エネルギーの事業化」を進め、町内経済の活性化、新たな町内雇用の創造を目指している。

 

―結論―

私は、合併をせずに地域の特性を生かした町づくりで発展していって欲しいと思う。ここ宇都宮市で暮らしていると、都会と田舎の差、つまり都市と地方の格差を感じることが多々ある。しかし、都会を真似するような町づくりではなく、それとは違った住田町独自の発展を望みたい。市町村それぞれにある良さを殺して画一的な都市化をするのが正しいとは思えない。今のままで町づくりが行われていければ、合併をしなければいけないという状態になることはないだろう。事業が波に乗り、利益が多くなれば、財政の改善、行政サービスの充実、ひいては人口減少(現在6600人程)や議員定数の減少(最初の26人から現在は14人に)などの解決の活力にもなれるかもしれない。そして、環境・エネルギーは世界的な問題である。これからは環境とエネルギー問題に大いに貢献できるような成果を出していき、成功の代表例となれたなら素晴らしいことである。グローバルな視点とローカルな視点を持って、グローバルな問題をローカルな活動で解決していけるのだ。これは国際化の今日において、自治体の理想の形のひとつではないだろうか。私たち町民だけではなく、町内外の人が「住田“い”町」と思ってくれるような町になって欲しいと私は思う。

参考資料

http://www.town.sumita.iwate.jp/

(住田町HP

http://www.town.sumita.iwate.jp/pjt-s/h15-2-6sisei.htm

「市町村合併に対する基本姿勢について」

http://www.town.sumita.iwate.jp/pjt-s/pjt-s2.html

「地域経営に関するレポート」

http://www.town.sumita.iwate.jp/kakuka/sangyou/rinsei-kakari%20top/shinrin-home.htm

「林政係」

http://www.town.sumita.iwate.jp/kakuka/sangyou/nihon-ichi%20%20top/newpage1.htm

「森林林業日本一の町推進係」

 

http://neps.nef.or.jp/case_02_sumita.html

NEPS:導入事例《自治体関連》木質ペレット製造(岩手県・住田町))

http://www.fairwood.jp/printdoc/prdc_mel23_02.shtml

FAIRWOOD.JP | フェアな木材を使おう)