051212jichi 講義メモ

 

以下は、20051210日(土)第8回塩谷広域行政組合ゴミ処理検討委員会で、焼却と溶融について、こうした見解もあるという意味で、あくまでも一資料として紹介したものである。溶融炉については今後、これを推奨するなどの他の見解も含めて勉強していくつもりである。

 

 

http://www.geocities.co.jp/NatureLand/5757/youyuro/gaskayouyuronanda-jou.htm

「ガス化溶融炉って何なんだ!(上)」(津川敬)より→

 

☆<焼却と溶融の違い>(下線中村。以下同)

 

ごみの焼却とごみの溶融、この二つは何がどう違うのか――。これもポイントを三つあげておきます。

 まず、「温度が違う」、第二に処理したあと「出てくるものが違う」、第三に「受け入れるものが違う」の三点です。

 第一点の「温度が違う」とは何のことでしょうか。ごみ焼却の場合、温度の上限(燃焼室出口)は八五〇度・なりせいぜい九〇〇度どまりです。それが一〇〇〇度に近付くといろいろ不都合が起きる。まず炉そのものが保ちません。特に耐火レンガが保たないのです。

 つぎに温度が一〇〇〇度を越えるとごみの中のプラスチック類が溶け出して炉の内壁にべったりくっつく現象が起きます。これを「クリンカーが付く」といいまして、これが起きると炉内空気の通りを阻害して燃焼効率を悪くします。そしてこれがいちばん重要なことですが、温度が高くなればなるほど窒素酸化物や低沸点の重金属類(カドミウム、鉛、水銀など)が盛大に掛散します。つまりごみの焼却では一〇〇〇度以上の高温は普からタブーだったのです。

 これに対し、ごみの溶融では逆に一三〇〇度以上、機種によっては一八〇〇度ぐらいにする。いわばタブーを破るわけですが、物質はそうした高温に出会うと“液状化現象”を起こし、溶け出すのです。テレビなどで製鉄の現場などがよく紹介されます。鉄鉱石が灼熱した炉の中で真っ赤に溶け、炉の下にしたたり落ちる、おなじみの光景です。ごみの溶融では“鉄”の代わりに“ごみ”がしたたり落ちるのですが――。そして最後に、灼熱したごみの流れは炉の下にある水槽にぶちこまれて破裂します。なんでそんな荒っぽいことをするかといえばただひとつ、「高温になればなるほどダイオキシンが分解する」という言い分がメーカー側にあるからです。だが、それは本当でしょうか。

 二点目の「出てくるものが違う」ということですが、焼却炉から排出されるのは「焼却灰」です。一方、溶融炉から出てくるのは,溶融スラグ"という黒い粒状の物質です。焼却灰はさらに溶融して量を減らすか、そのままで処分場へ投入するかですが、スラグは路盤材など土木資材になるからリサイクル製品だ、というのがメーカー側の言い分です。それも本当でしょうか。

 第三点は「受け入れるものが違う」ということですが、焼却炉は文字どおり“焼却できるもの”“焼却しても大丈夫なもの”しか入れません。逆にいえば“焼却してはいけないもの”を分別するという作業が要求されるのです。全国的に起きている「プラスチックは焼却炉に入れない」運動はそのひとつです。

 これに対し、溶融炉は可燃、不燃、医療廃棄物、産業廃棄物など何でもござれ、のプラントで、しかもプラスチックなど高カロリーのごみは必ず入れる必要があります。いいかえるなら分別不要というより、分別してはいけない処理方式なのです。明らかにごみの資源化・減量化とはまったく逆の方向を目指している施設だということがお分りでしょう。

 以上、三点が焼却と溶融の違いです。」

 

 

http://www.geocities.co.jp/NatureLand/5757/youyuro/gaskayouyuronanda-tyuu.htm

「ガス化溶融炉って何なんだ!(中)」(津川敬)より→

 

  <溶融スラグの使い道>

 

「どのメーカーのカタログをみても「溶融スラグは路盤材など土木建設資材として使用できる」と誇らしげにいい切っています。

 しかし一九九八年に厚生省が出した溶融スラグの取り扱い指針ではかなり慎重な姿勢をみせている。すなわち「最終処分場の延命を図るため、その利用を適切に進めることは必要だが、焼却灰等は鉛等を含有することから生活環境への不安が溶融スラグの適正な利用を阻害する一因にもなっている。また溶融スラグの安定的な利用先が確保されないことが溶融固化の実施が進まない要因ともなっている」(一般廃棄物の溶融スラグの再生利用に関する指針〈案〉)といっています。

 それを裏付けるように、メーカーのモデルプラントから出たスラグも自治体の灰溶融炉から出たスラグも敷地の中に山積みされているのが実情です。千葉県下のA市クリーンセンターでは同じ市役所の土木や建設部門に頼み込んで溶融スラグを使ってもらっていたのですが、残量は一向に減っていません。同じ自治体でも「(環境汚染により)あとで責任を生じること」には手を出したくないというのが本音でしょう。」

 

「また、ある研究家の証言ですが、灰溶融したままの溶融スラグは無結晶のガラス体にすぎないため、酸性雨に曝されると重金属の溶出は避けられないそうです。そして骨材として砂利や砂の補助材に用いる場合、混入率一六%前後が限界だ、といいます。

 完全に重金属を封じ込め、骨材や路盤材にするためには再加熱もしくは徐冷などを行い鉱物結晶化(抗火石様のスラグ化)させねば無理なのですが、かなりのコストがかかります。この特許を持っているのは日本でただ一社とそのメーカーから技術供与を受けた数社にすぎません。ちなみに藤沢市ではこの徐冷式スラグで路盤材工事を再開しています。」

 

 

  <問題の多い灰溶融>

 

灰溶融炉がガス化溶融炉と違うのは溶融対象が焼却灰だけ、というところにあり、用いる熱源は大きく電力系と燃料系に分けられます。灰の性状にもよりますが、焼却灰は溶融することで元の量の半分になる、というのが全メーカーの一致した宣伝ポイントです。

 九六年に当時の厚生省が出した通達でも、処分場の延命のためといって、国庫補助を出す時のチェックポイントにしています。

 灰溶融で本当に焼却灰は半減するのでしょうか。ある清掃工場の関係者によれば、最近は燃焼管理や技術の高度化で焼却灰は砂のようにサラサラになっている。つまり熱灼減量のレベルが上がっているということです。

 熱灼減量とは焼却炉から排出された焼却灰を乾燥させ、電気炉内で強熱〈おおむね六〇〇度〉をかけたあと、どれぐらい元の重量から減っているかを計った値です。

 たとえば元が一〇〇グラムで、加熱後が九五グラムだったら熱灼減量は五%、九七グラムなら三%です。メーカーがいうように焼却灰の量が半減したとすれば熱灼減量は五〇%ということになる。分厚い電話帳の綴じ代など、燃え残り分が多いということで、それ自体が欠陥炉というべきでしょう。

 また分別の悪い地域では排出された焼却灰の中に針金や空き缶などが混入していることが多く、灰溶融炉に送る前に磁石で選別・除去せねばなりません。それを別途処理する手数を考えればメーカーのいう減容効果は大いに疑問があります。

 さらに何といっても灰溶融最大の問題は多大なエネルギーとコストがかかることです。まず焼却炉から出てきた灰は水分を含んでいますから、それを乾燥し、溶融するには膨大な熱エネルギーが必要となります。

 灰溶融炉の種類には、新日鉄のコークス方式を別にしてプラズマ、アーク炉、表面溶融と実に多彩ですが、どのタイプも大量の電力を食い、中都市レベルでも電力コストは数千万円から一億円のオーダーになるということです。

 その他のランニングコストもばかになりません。たとえばアーク炉方式の灰溶融炉で使う電極棒は一本一〇万円もするのですが、それを一日で消費するそうです。

 もうひとつ問題なのが飛灰の扱いです。九一年の廃棄物処理法改正の重要な柱のひとつが特別管理廃棄物制度の導入でした。すなわち「毒性。感染性・爆発性をもつ廃棄物」はその他の廃棄物と区別して処理することとなり、ばいじんもそのひとつに指定されたのです。ばいじんとは焼却工場等の集じん機で捕捉された灰(飛灰〉のことですが、その中には重金属はもとより、ダイオキシンが多量に含まれています。

 そこで飛灰を焼却灰と分離し、

@セメント固化A薬剤処理B酸による抽出C灰溶融のいずれかの処理を選択しなければ処分場への埋立てが計されなくなり、メーカーのいくつかは競って灰溶融炉の開発に力を入れはじめたのです。これを採用する自治体が多ければたいへんな市場になることは間違いありません。

 ただしこの時期はダイオキシン対策ではなく、重金属の封じ込めが飛灰処理の日的でした。そのためか灰溶融炉の普及率はいまひとつで、しかも飛灰の溶融処理にはまだまだ問題が多いことがわかりました。理由は飛灰の性状にあって、まず塩類が多いこと。焼却灰に含まれる塩類は一%程度ですが、飛灰には五%から七%も入っています。さらに飛灰は乾いた粉体のため、飛んだり崩れたりと扱いが厄介です。そのためよほどの高温にしないとうまく固まらず(スラグにならず)、そうなると低沸点の重金属〈水銀、鉛、カドミウム、亜鉛、ヒ素等)が蒸発・揮散し、低沸点の成分がダクト内に堆積するなど、連続運転を阻害するトラブルも多くなるのです。

 従って各地の自治体では、セメント固化か薬剤処理を採用しているところが多く、メーカーが期待したほど灰溶融は進んでいません。

 飛灰処理についてはセメント固化方式よりキレート処理の方が重金属封じ込めの効果が高いといわれていますが、難点はキレート樹脂がベラボウに高いことです。さらにそのキレートも強い酸性雨にあたれば壊れる可能性も皆無ではありません。

 だがそこに状況変化が起きました。灰溶融については飛灰だけでなく、焼却灰にも適用せよという通達が九六年六月、衛環第一九一号で厚生省から出されたのです。東京都はこの趣旨を受け入れ、都内六ヵ所の清掃工場を縮小して建替えた上、空いたスペースに灰溶融炉をつくる計画をたてています。東京都の動向が全国の動きを左右するといわれていますから、各メーカーの動きもまた活発化してきました。

 飛灰と焼却灰の混合処理もメーカーの売り物ですが、理論上はともかくトラブルが続出しています。そのため、飛灰だけを湿らせ、それをせんべい状に固めて溶融するなど、メーカーも結構苦労しているのです。

 最近では飛灰から重金属を取り出す、山元還元という技術も開発されています。これは酸やアルカリで亜鉛、銅などを抽出する技術ですが、製錬工場が少なく、輸送にコストがかかること、さらに製錬側でダイオキシン含有量が多い焼却灰の処理は請け負わないなど問題が山積しています。」

 

 

http://www.geocities.co.jp/WallStreet/1795/gomi-kankyou/990620TugawaKaiNewBook.htm

*上記HPのタイトルは不明

「厚生省が1日処理量100トン未満の焼却炉には国庫補助金を出さないという方針をだしているが、これは「いやがらせ」以外のなにものでもない。自治体の身の丈にあった小さな炉(当然8時間か16時間運転)でもごみの徹底分別、バグフィルター、触媒の取り付けなどでダイオキシンは十分規制値をクリアできる。」

 

日本のごみ政策は企業に甘く、市民や自治体に大きな負担を強いているのが現状である。ドイツでは政府が徹底的に企業と対決し、彼らの責任を追及した末に政令や法改正を行った。市民はその姿勢をみて細かい分別にも進んで協力している。