051114jichi 講義メモ
―三位一体改革をめぐる現状の議論―
05年11月10日付朝日新聞「三位一体改革 決着は」などより
○ 基本的な枠組み(小泉政権の公約):04年度、05年度、06年度の3年間で、
@
☆4兆円分の補助金削減
A 国から地方へ3兆円の税源移譲
B 地方交付税の見直し、
を同時に進める。
○ 自治体側は04年夏に3兆2,000億円、05年夏に1兆円の補助金廃止案をまとめた。(土地改良(04年度案)、河川改修(04年度案)、施設整備費=公共事業への補助金廃止(05年度案)など。これらは現段階では国に取り上げられず。義務教育費国庫負担金=義務教育における中学校教員分8,500億円の廃止のみが暫定的に決められた。*この義務教育費国庫負担金(公立小中学校教員の給与の半分)は現状で中学校分が8,500億円、小学校分が1兆7,000億円)。
○ *現段階で補助金削減の未決着分は6,000億円(生活保護?各省は官邸の割り当て・要求に対抗してゼロ回答?)
○ 財務省「(施設整備費を廃止しても)建設国債(借金)が財源だから廃止しても税源は移譲できない」(*財務省は約6,000億円の税源移譲をけちっている?)
○ 「自治体側が要求していない生活保護などの社会保障関連の負担率の引き下げ」の問題
○
*国(各中央省庁)と地方(地方自治体)という対立図式と、首相官邸と各中央省庁という抵抗図式。首相官邸は地方6団体の案を尊重する図式も。これに補助金廃止の対象となる行政サービスをめぐる裁量の幅の問題が絡み問題を複雑にしている。国民健康保健の補助率引き下げなども。
○ そもそも地方の補助金改革案の中身は→
<地方6団体による04年度案>:
・義務教育費国庫負担金(総額2.5兆円)のうち、中学校教職員8504億円(*「9番バッター」?)
・都道府県が事業主体の公共事業補助金5889億円
・公営住宅建設、社会福祉施設補助金など施設整備 5712億円
・私学助成、在宅福祉事業など奨励的補助金5741億円
・児童保護費、養護老人ホーム保護費など経常的負担金6437億円
総計3兆2283億円
上記に対して04年度の実際の実施内容は、
☆補助金削減が、公立保育所運営費など1.6兆円
税源移譲は、所得譲与税と税源移譲予定特例交付金で6,500億円
地方交付税は、対前年度1.2兆円減
<地方6団体による05年度案>:在宅福祉など社会保障関係や、廃棄物処理施設の整備費など合計約60項目、約1兆円分の補助金削減リスト。「昨年の改革案の中から削減が実現しなかった補助金から再び選んだ」
上記に対して05年度の実際の実施内容は、
☆補助金削減が、義務教育費国庫負担金(一部。暫定)と国民健康保健国庫負担金(負担率引き下げ)で、1.8兆円
税源移譲は、所得譲与税と税源移譲予定特例交付金で1.1兆円(+α?)
地方交付税は、対前年度比0.1%増(ほぼ現状維持)
したがって、上記(
☆残り6,000億円分の補助金削減が今(05年11月12日現在)、争点になっている。
また、税源移譲額は残り1兆2,500億円となる。
上記図は、
http://www.yomiuri.co.jp/atmoney/special/90/data010.htm
YOMIURI ONLINE 読売新聞 「データで読む争点(10)税源移譲」