051017gensei 講義メモ　（今回は地方自治論と共通メモ）

イラク憲法草案をめぐる国民投票 2005年10月15日

有権者は有権者登録を済ませた18歳以上の国民（約１５５０万人）

シーア派、スンニ派、クルド人。投票総数の過半数の賛成で承認。全１８県のうち３県以上で反対票が３分の２を越えると否決。

「石油と天然ガスは全国民の共有財産。その収益は人口比に基づき各地域に公正に分配さえるが、旧政権下で不当な扱いを受けた地域では、発展のバランスを取るため特段の配慮を行うことができる」（イラク憲法案の内容の一部）

―過去のイラクの経緯―

03年4月　バグダッド制圧でフセイン政権が崩壊

04年3月　イラク基本法制定。同年6月に暫定政府発足

05年1月　移行政府発足（シーア派主導）

　　　8月　憲法草案の成立

　　10月　憲法草案をめぐる国民投票（同年12月15日までに新憲法に基づく選挙実施。同年末までに正式政府の発足

http://www2.asahi.com/special/iraq/chart/050824.html

―イラクへの派遣部隊―（05年6月現在）

米国13万8,000人、英国9,200、ポーランド1,700、グルジア850、フィジー134、エストニア35、マケドニア33、アゼルバイジャン150、アルバニア71、モルドバ12、カザフスタン27、ウクライナ1,450、韓国3,300、イタリア3,000、デンマーク540、チェコ98、ノルウェー10、豪州1,370人、ルーマニア740、エルサルバドル380、モンゴル130、ラトビア120、リトアニア120、スロバキア107、アルメニア46、ブルガリア462、日本800（陸上自衛隊600、海上自衛隊200）。

http://www2.asahi.com/special/iraq/chart/050624a.html

＜05年10月14日付朝日新聞「連邦制　スンニ派反発」から＞→

「スンニ派の人口はイラク全体の約2割」「スンニ派が多数を占めるのは、中、北部のアンバル、ニネベ、サラフディン、ディヤラの4州。同派幹部によると、反米武装勢力が圧倒的なアンバルとサラフディン両州は「否決は確実」な情勢だという。クルド人も住むニネベ州、シーア派住民を含むディヤラ州の結果がかぎを握ることになる」

「中央と地方についても「権限が重複する場合、外交・防衛などの専権事項以外は地方側の法律が優先される」との規定がある。治安状況が不安定な中で各地方政府が独自の治安部隊や警察、情報機関を持てば分裂状態となり、中央政府が武装勢力と対決する上でも機能不全に陥りかねない」「地域でなく、民族や宗派に基づく分権になってしまった」「「イラクが失敗したのは中央集権支配のせいだ」と指摘。旧フセイン政権に弾圧されたシーア派、クルド人が憲法制定を通じて中央政府の権限縮小を目指すのは当然だと主張する」

＜関連HP紹介＞：共同研究「イラク戦争を考える」(慶應義塾大学 経済学部 延近 充 編著 (2004年9月25日公開))

http://www.econ.keio.ac.jp/staff/nobu/iraq/index.html

051015jichi 講義メモ　（今回は「現代政治の理論と実際」と共通メモ）

☆イラク憲法草案における連邦制度の導入：

イラクに連邦制を導入し、地方政府に広範な自治権を付与

以下、続「依田智治の主張　その15」

http://homepage2.nifty.com/tomoharu/shuchou15.htm#1.21

より一部抜粋（05年9月現在）→（＊下線・省略は中村）「（１）連邦制の問題

　憲法草案をめぐる最大の論点は、連邦制である。この点を強く主張しているのは、クルド人地域であり、･･･････クルド人勢力は、現在、イラク北部三県に認められているクルド人自治地域の権限の大幅拡大・連邦制の実現を執拗に要求するとともに、クルド人居住の多い産油拠点キルクークの自治区への編入を強く求めて来た。・・・・・・これを受けて、シーア派も、同派住民が多く、キルクークと並ぶ産油拠点である南部一帯の連邦化や、同派の聖地ナジャフ等の「特別な地位」を要求した。・・・・・以上両派の主張に対し、中部地域に住民の多いスンニ派は、「連邦制は、分国化につながる」と強く反対するとともに、クルド勢力とシーア派による北部及び南部に偏在する石油資源の独占を強く懸念し、連邦制絶対反対を唱えている。」

http://news.ft.com/cms/ce1947ba-1949-11da-804e-00000e2511c8.pdf

"Text of the draft Iraqi constitution"

Article (118):

1st -- The governments of regions have the right to practice legislative,

executive and jud 3600 icial powers according to this constitution, except in

what is listed as exclusive powers of the federal authorities.

2nd -- The regional authority has the right to amend the implementation of the

federal law in the region in the case of a contradiction between the federal

and regional laws in matters that do not pertain to the exclusive powers of the

federal authorities.

3rd -- A fair share of the revenues collected federally is designated to regions,

in a way that suffices their duties and (responsibilities), taking into

consideration the (region's) resources, needs and (the percentage of the

population in it.)

4th -- Offices for regions and provinces are to be established in embassies

and diplomatic missions to follow up on cultural, social and local development

affairs.

(5th -- The regional government shall be in charge of all that's required for

administering the region, especially establishing and regulating internal security

forces for the region such as police, security and guards for the region.)

＜05年10月14日付朝日新聞「連邦制　スンニ派反発」から＞→

シーア派とクルド勢力：「複数の州を束ね、独自の憲法と行政、司法、立法権、治安権限を持つ「地方政府」を設置する。」