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仲田圭吾「国際通り活性化への取り組み」
観光立県の沖縄にとって戦後復帰以後の苦しい時代からこれまで国際通りはもっとも重要なものであった。そして私達の世代にとっても国際通りは遊びや買い物に行ったなじみ深く、多くの思い出がある場所のひとつである。しかし、ここ数年国際通りの急激な衰退化が叫ばれている。戦後の沖縄を支えてきた国際通りの衰退化に対し地域、自治体の取り組みを調べることで、国際通りのこれからについて考えていきたい。
国際通りはこれまで奇跡の1マイルと呼ばれ県都那覇の中心に位置し沖縄観光の顔であった。また、その周りには平和通りや沖映通りなどの商店街もあり沖縄県民にとっても関わりの深いものであった。国際通り一体には那覇市の小売業商店の約36%が集中ておりその中には観光客をターゲットにした土産物屋なども多く含まれている。なぜここまで立地条件もよく集客率のある環境にありながらいま急激に衰退していっているのだろうか?
衰退化の要因はいくつかあるがその中でも最も大きな要因として商業環境の変化が挙がられるだろう。沖縄では最近、郊外地に大規模商業施設が続々できてきている。なかでも那覇新都心地区(那覇市おもろ町)の開発は大きなかぎを握るであろう。那覇新都心地区は元々アメリカ軍の軍用地であった土地が返還されとものを開発した地域であり、現在ここには映画館を併合した大きなショッピングセンターなど多くのショッピング施設がある。これらの施設は大規模な駐車場を持ち車社会の沖縄において大きな集客力がある。また、平成15年8月に沖縄の新しい交通機関として注目を集めている沖縄都市モノレールの駅もあることでさらに地域住民にとって近い存在となっている。それに加えて沖縄振興特別措置法の制定により国内では例の無い空港外の免税店の出店が可能となった。この事により地域住民だけではなく観光客の集客を可能にしている。これまで海外でしか買うことのできなかった免税品を国内で購入できることになれば、自然にそこに足を運ぶのも当然である。それだけではなく、これからの取り組みとして観光客だけではなく地域住民も購入できる制度を整えようという動きさえある。国際通りなどの中心市街地から少し離れたところにここまで好条件がそろったものがあれば注目を集めるのも当然であろう。このような商業環境の変化に対して直接対策をとるのは難しいことである。その他の要因としては交通環境や住環境の変化が挙げられるだろう。国際通り付近は道路の整備が十分でないために慢性的な渋滞が起こっている。また、急激に市街地が進んだため都市基盤がしっかりしておらず、コミュニティー道路の問題や防災上の問題など抱えている。その他にも密集地であるため建物は老朽化しているが建てかえを用意に行えないことや、公園などの施設が少ないといったような住民に直接かかわる問題も多いことも要因としてあげられる。
これらの問題を解決するには商店街の力だけではなく地域や自治体の協力が不可欠であり、そして何よりもその地域の住人が望むかたちで活性化が行われていくべきである。現在那覇市では那覇市中心市街地活性化計画を作成し国際通りの活性化に取り組んできている。この計画では、国際通りを中心とした中心市街地の活性化を第一の目標にし、交通の利便性をはじめ住人一人一人に配慮がいきとどいた街づくりを目指し多くの試みが行われている。その中の一つとしてNAHAぶんかテンプス事業がある。これは国際通りに面したビル跡地に多目的ホールやNPO支援センター、起業家の支援や人材育成のためのSOHO支援や沖縄の伝統工芸品を扱う店舗を入れるというもので民間との共同事業として那覇市が行っているものである。この事業はただ単に空きビルを再開発するだけでなく、地域住民をはじめ観光客までもが共に集うことができる画期的な場にすることを目指している。その他にも慢性的な渋滞を緩和し人々に楽しんでもらおうと国際通りトランスジェットマイルが試験的に実施された。これは国際通りのトランスジェットモール化に向けた取り組みで国際通りを歩行者専用道路とする交通規制をし、その一部にトランスジェットバス専用の通行帯を設けモノレール駅や周辺地域とを結ぶことで活性化を狙ったものである。トランスジェットマイル実施と共に商業活性化の取り組みとしていろいろなイベントが開催された。歩行者区間ではストリートパフォーマンスや特設ステージでのショー、NGO団体の活動紹介やセミナーなどのワークショップも行われるなど大規模なものであった。また、高齢者や障害者のための電動車椅子によるタウンモビリティーの実験も併せておこなわれた。国際通りトランスジェットマイルの実施中、実施後に訪れた人や商店街の方へのアンケートの結果として60%以上がトランスジェットマイルの導入が必要と答えた。また、多くの企画の中で中心市街地活性化に役立つものはという質問の回答の上位には路上休憩施設やストリートパフォーマンス、トランスジェットバスなどが上げられた。これらの企画からもわかるように国際通りにいま求められているのはゆとりと活気がある街づくりであるということがよくわかる。これらの企画では単に中心市街地の経済的な活性化という点だけではなく、国際通りが戦後、沖縄の中心となり常に人々の活気であふれ子供から高齢者、障害者といったすべての住民が楽しく集っていた活気あふれる街をもう一度作っていこうと考え、その第一歩として大きな成果を得ることができたと思う。
しかし、国際通り軒を連ねている店舗の大半は観光客を中心とした土産物屋であり、観光客の存在を考えざるを得ないのではないだろうか。沖縄を訪れる観光客からよく聞かれる声は、多くのお店で多種多様なものを置いているがどの店で買ったらよいのかわからないと言ったものや商品についての説明を十分しきれていないというものだった。確かに、その意見には一理あるように思える。沖縄には“テーゲー”という適当さをあらわす言葉があり、この言葉はたいていの沖縄の人に当てはまるとすら言われるくらいであるからだ。それらの意見から商店街組合では国際通りの活性化とサービスやマナーの向上を目指して推奨店制度を導入することを決めた。これは行政機関や学識経験者、中小企業診断士で構成される委員会によって選ばれるもので、商品の品質はもちろんサービスや衛生管理などを調査され優良だと認められた店舗が推奨店としての認証を受けることができるというものだ。認証店には認証マークが与えられ、店は玄関や店内のレジなどに張ることができ、観光客などにアピールできるほか、県や市、市観光協会のホームページや刊行物で広く紹介されるという特典もついてくる。このように観光客に対する取り組みを通して国際通りの活性化も行われている。
今、国際通りを中心とする中心市街地は地域住民や商店街、市や県の協力のもと新しい街に生まれ変わろうとしている。テンプスNAHAやトランスジェットマイル、推奨店制度などそれぞれの新しい試みが行われることで地域住民から観光客まですべての人が楽しく行き交うことのできる街が誕生するだろう。国際通りの活性化はいまや経済的な効果だけを求めたものではない。これを成功させることは地域住民が生き生きと生活できる街を作ることと直接結びついているのである。観光立県としての沖縄の特徴と暖かく心地よい街という二つの面を兼ね備えることで国際通りの活性化は成功するだろう。
《参照サイト》
那覇市役所http://www.city.naha.okinawa.jp
中心市街地活性化推進室http://chushinshigaichi-go.jp/followup/H15/instance/052-1.htm
財団法人沖縄建設弘済会 技術環境研究所http://www.okikosai.or.jp/kenkyusho/magazine/sima_29/sima29-6-14.pdf
沖縄タイムスhttp://www.okinawatimes.co.jp/edi/20020128.html
Yahooニュースhttp://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20041219-00000007-ryu-oki