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磯谷萌「八戸市+南郷村=新八戸市 -その経緯を探る-

 

なぜ市町村合併が必要なのか?これは大きく分けて5つの理由によるものだった。それは、@市民の通勤、通学、買い物、医療などの日常生活圏が拡大したことにより、この日常生活圏での一体的・効率的なまちづくりが必要になったこと。A少子・高齢化の進展による地域経済の活力が低下すること。またその社会を支えるための福祉体制を地域で確立すること。B住民のライフスタイルや価値観の多様化により、専門性・総合性の高い行政運営の必要性が生じたため。C地方分権一括法の施行や行政サービスの権限が地方に移行したため。D三位一体政策などによる厳しい財政状況で効率的な財政を行うひつようがあること。であった。

 

よって八戸市は八戸地域7市町村で合併を検討した。テーマは〜海と大地が響きあう人と自然の共生空間をめざして〜。八戸市、階上町は海に面しているが、他の町村は山の地域だ。7市町村とは、八戸市・階上町・福地村・南郷村・名川町・南部町・田子町のことである。八戸地域合併協議会http://www.hachinohe-gappei.jp/menu/menu.html 

さらに、青森県ではH17年3月31日までに合併した市町村に県単独の、合併支援特別交付金を与えていることもわかった。青森県市町村合併・広域行政ホームページhttp://www.pref.aomori.jp/gappei/

 

市町村合併によるメリットは次のようなことが挙げられる。

北東北随一の産業集積や陸・海・空の広域交通の拠点性、農林水産業、工業、商業・サービス業、流通、観光などの産業の多様性、地域固有の歴史・文化などの地域特性を合わせ持つことができることによって北東北地域の産業・文化を牽引する中核都市に発展することが可能になる。

地域に蓄積された技術や資源を相互に有効活用することで、地域基盤が強固になり、新しい産業の発展や、雇用の場が確保されることが期待できる。

広域的な観点から新幹線開業の波及効果を地域全体で受け止めながら、7市町村それぞれの魅力を連携・強化できる行政運営体制を整備できる。

合併特例債による財政支援を活用することで、施設や道路などの重点的な整備が可能になる。

スケールメリットを活かした行財政改革を進めることで、人件費などの行政経費の削減を図り、行財政基盤を強化することが可能になる。

 

 

しかし、八戸地域合併協議会は解散してしまう。その後、新たな枠組みによる市町村合併案が出された。以下にその経緯を示した。

 

H9年12月 第4次八戸市総合計画に地方分権の受け皿づくりとして「住民の合意を前提とした市町村合併の推進を図る」ことを盛り込む。

H137月 4市町村により、八戸市・階上町・福地村・南郷村合併検討協議会を設置。

       この協議会は任意のもの。

H144月 名川町、南部町および田子町が新たに加盟し、7市町村となる。名称を八戸地域合併協議会に変更。

 

H145月〜 地域将来構想を作成、各市町村で住民説明会開催。

H154月  新郷村を加えて8市町村で八戸地域合併協議会を設置。これは、法廷協議会である。

H154

H162月  協議会を8回、小委員会を12回開催。

H16年413日 階上町議会で合併に反対の議決→協議会離脱。

H1667日  第9回合併協議会において、630日を持って解散(法的には廃止)することが決定。

ここで、市町村合併自体をやめるのではなく「新たな枠組み」での合併案が出された。これは5市町村案であった。5市町村とは八戸市、福地村、南郷村、名川町、南部町のことであり、最初の8市町村から、田子町、新郷村、階上町を除いた5つの自治体で合併を進めていく案だ。この理由としてまず、三位一体改革による厳しい財政環境が挙げられる。これには3つ問題が生じている。1つ目は、水道施設の改修経費の問題だ。田子町、新郷村の施設には、クリプトスポリジウム対策のために施設の改修が必要なものがある。クリプトスポリジウムとは水道水の汚染原因の1つである寄生虫の一種で、感染すると食中毒に似た症状が出ることがあり、これを除去するために葉適切な浄水施設が必要とされている。7市町村の場合では水道事業のために20年間で58億円を新市の一般財源で負担しなければならないが、5市町村の場合だと6億4千万円で済む。その差は50億円以上だ。この改修が無ければ他の事業や住民サービスにお金をかけられる。理由の2つ目は行財政運営の問題だ。田子町の土地開発公社に対する3億4千万円の負債があり、新郷村にも負債がある。これは新市の財政の影響するのではないかと懸念されている。理由の3つ目は、議会の意見だ。5市町村のほうが、合併効果が大きいこと、財政面、田子町や新郷村は八戸市から離れているため地理的状況などを踏まえこのような結果になった。

 

 

しかしこの案は他の市町村に断られてしまい結局は、八戸市+南郷村の2つで新八戸市になることになった。南部町、福地村、名川町は、八戸市中心の合併協議会を離れ、新たに3つで合併することになった。八戸市役所ホームページ、市町村合併コーナー http://www.city/hatinohe.aomori.jp/gappeiより

 

八戸市と南郷村の合併は平成16年10月4日に第一回合併協議会が行われ、その後第3日まで行い、平成16年10月30日に合併協定調印式が開催された。11月1日、八戸市議会・南郷村議会において合併が議決され、5日には八戸市長と南郷村長の連名により県知事への合併申請が行われた。12月 県議会で合併が議決された。八戸市・南郷村合併協議会 http://www.hachinohe-nanngo-gappei.jp/より。

 

ここでH16年12月1日は新幹線「はやて」号開通2周年!!その効果はどうなのかと思って調べてみた。まず、時間の短縮だ。東京―八戸間を最速2時間58分で結ぶので、関東の大都市圏が近くなった。そのためか、観光客は開業前より28万3千人増えた。次に開業半年の直接的な経済効果は約133億円で、開業1年では約70億円、開業2年では約59億円だったことがH16年12月2日のデーリー東北の紙面よりわかった。八戸駅の新幹線「はやて」の開通を、市や経済界は積極的に飛躍の起爆剤としようとしているため、地元経済には好影響だ。

 

いろいろな紆余曲折があったが、これからは注目されている今を生かし、よりよい市を目指してほしい。南郷村は農業も盛んなので新市の農業産出額は年間42億円に達する見込みだ。産業別人口も第1次産業から第2次産業までバランスがとれる。南郷村も宇都宮市と同じくジャズの町として力を入れており、夏にはサマージャズフェスティバルがあり、全国からも観光客が来ている。八戸市と合併することで新たな観光客の増加も望まれる。私の故郷である八戸市の財政が三位一体改革などにより心配だが、合併することでいい方向に変われたらいいと思う。八戸市は周辺の自治体と不仲になったとも噂されているこの地域の合併は、八戸市の勝手で動いてきたようにも思われるが、最終的には仲良くなれることを祈りたい。

 

参照 デーリー東北、東奥日報

   広報「はちのへ」、市役所の合併協議会のパンフレット