041107jichi 講義メモ 市町村合併

 

19997月 地方分権一括法の公布

20004月 地方分権一括法の施行

 

この時の市町村合併特例法の改正内容―(*合併特例法の改正については、公布と同日施行。合併特例法は05331日までの時限法)→

 

(1)  合併協議会に係る住民発議制度の拡充住民投票制度の導入

 

「全ての関係市町村で同一内容の直接請求が行われた場合には、各市町村長に対し合併協議会設置協議について議会への付議を義務付け」

「合併協議会の設置に係る住民発議が行われても合併協議会設置に至らない場合が多いことに鑑み、自主的な市町村合併の推進という観点を踏まえ、地域住民の意向がより反映されるよう、住民発議による合併協議会設置の議案が議会で否決された場合に、長からの請求又はそれがなかった場合に行われる住民からの直接請求により、合併協議会の設置について、住民投票を行うことができることとし、過半数の賛成があった場合には当該議案について議決を経たものとみなすこととする」

 

(2)知事による合併協議会設置の勧告

 

「知事が公益上必要と認める場合に関係市町村に合併協議会の設置の勧告をする場合には、関係市町村の意見を聴き、勧告したことを公表」

 

(3)地域審議会の設置

「合併前の関係市町村の協議により、旧市町村の区域ごとに、新市町村長の諮問により審議又は意見を述べる審議会(地域審議会)を置くことが可能

 

 

(4)税制上の特例措置の拡充

@        不均一課税をすることができる期間の延長(3年→5年)と同期間における課税免除の特例の創設

A        事業所税の課税団体の指定の延期(最長5年)

 


 

―上記改正合併特例法における合併推進のための☆新たな財政措置―

 

1.普通交付税による措置

「合併後10カ年度は、合併がなかったものと仮定して毎年算定した普通交付税の額を保障。さらに5カ年度は激変緩和措置」

 

2.特別交付税による措置

 

☆3.合併特例債等による措置

@ 合併市町村のまちづくりのための建設事業に対する財政措置

「合併後10カ年度は市町村建設計画に基づく特に必要な事業の経費に合併特例債を充当(95(公営企業に係るものは100))元利償還金の70%を普通交付税措置」

 

上記@の合併特例債についての補足説明→

「合併年度及びこれに続く10年度に限り地方債を充当(充当率95)することができ、後年度において元利償還金の70%を普通交付税の基準財政需要額に算入する」というもの。

 T市の広報には、財政力指数について、

「市町村の財政力の強弱を表す指標です。普通交付税の算定に用いる基準財政収入額(標準的に収入できると考えられる地方税等による収入額で、標準税率で算定した収入額の75)を基準財政需要額(平均的水準で行政サービスを提供した場合に要する費用)で除した数値で、通常は過去3年間の平均値で示されます。財政力指数が高いほど自主財源(市町村が自ら調達できる財源)の割合が高く財政力が強いこととされています。財政力指数が1.0以上になると、その年度は普通交付税の交付を受けず、不交付団体と呼ばれます。

 この指数は、あくまでも標準的な需要と収入を前提として算定されるもので、自治体の貧富を判定することは適当でないとされますが、極めて客観性のある数値で、国の補助・負担割合を調整する際にも用いられます」とある。

 

総務省のHPで試算してみると、U地域の場合、

合計で約(以下約は略)644.6億円(標準全体事業費604.6億円と標準基金規模の上限40億円)

この標準全体事業費の95%が起債可能額で574.4億円

この起債可能額の70%が普通交付税算入額で402.1億円

*上記補足説明は0310月現在。

 

A 合併市町村振興のための基金造成に対する財政措置

「旧市町村単位の地域振興・住民の一体感醸成のため行う基金造成に対し合併特例債を充当(95%)。元利償還金の70%を普通交付税措置

 

B 合併推進のための建設事業に対する財政措置

「合併重点支援地域において合併に関係する複数の市町村が連絡調整して一体的に実施する公共施設及び公用施設の整備事業に対して合併推進債を充当(90%)。元利償還金の50%を普通交付税措置

 

C 都道府県が行う合併支援事業に対する財政措置

「合併重点支援地域等において都道府県が行う合併市町村の一体化を促進するために必要な道路、街路、農道等の整備事業に対して合併推進債を充当(90%)。元利償還金の50%を普通交付税措置

 

4. 国費による補助

 


 

―西尾私案02111日)―

(*西尾氏は当時の地方制度調査会副会長) 

 

「基礎的自治体が規模拡大することを踏まえて、基礎的自治体内部における住民自治を確保する方策として内部団体(法人格を持つものとするかどうかについては要検討)としての性格を持つ自治組織を基礎的自治体の判断で必要に応じて設置することができるような途を開くことを検討する必要がある」

 

「平成173月の合併特例法の期限までに、目指すべき規模の基礎的自治体に再編成されなかった地域が残る可能性もあり、これをどのように取り扱うかということが問題となる」

 

「現行の合併特例法の失効後は、同法と異なる発想の下に、一定期間さらに強力に合併を推進することとする。具体的には、合併によって解消すべき市町村の人口規模(例えば人口○○)を法律上明示し、都道府県や国が当該人口規模未満の市町村の解消を目指して財政支援策によらず合併を推進する方策をとるものとする」

 

     それでも合併に至らなかった場合、以下の2つ(ア、イ)か、あるいは両方を提案→

 

ア 事務配分特例方式

・一定の人口規模未満の団体について、これまでの町村制度とは異なる特例的な制度を創設することとする。

・この団体は、法令による義務付けのない自治事務を一般的に処理するほか、窓口サービス等通常の基礎的自治体に法令上義務付けられた事務の一部を処理するものとする。通常の基礎的自治体に義務付けられた事務のうち当該団体に義務付けられなかった事務については、都道府県に当該事務の処理を義務付けるものとする。これにより、都道府県はいわば垂直補完をすることになる

・都道府県は当該事務を処理する責任を有するが、その事務を近隣の基礎的自治体に委託するか、広域連合により処理するか、直轄で処理するかを選択するものとする。

・組織や職員等については、事務の軽減に伴い、極力簡素化を図ることとする。例えば、長と議会(又は町村総会)を置くものとするが、議員は原則として無給とすることなどを検討する。また、助役、収入役、教育委員会、農業委員会などを置かないことを検討する

 

イ 内部団体移行方式(包括的団体移行方式)

・例えば人口××未満の団体は、他の基礎的自治体への編入によりいわば水平補完されることとする。名称は、旧町村のままとすることも可能とし、一定期日までにこの編入先の基礎的自治体の内部団体に移行するものとする。編入先の選択については、当該市町村の意見を聴いて、都道府県知事が当該都道府県議会の議決を経て決定する

 


 

―合併関連三法案―

044月に合併関連三法案(新市町村合併特例法案、地方自治法改正案、現行合併特例法改正案)が衆院本会議で可決。

 

○新市町村合併特例法054月から5年間の時限立法。都道府県による市町村合併に関する構想の策定や、知事による合併協議会設置の勧告。合併に際し、法人格を持つ「合併特例区」を最大5年間設置可。合併による新市設置の要件を人口3万人(地方自治法では5万人)とする特例の継続。

 

○地方自治法改正:住民自治の強化を目的に、市町村内に「地域自治区」を設置可。

 

○市町村合併特例法改正063月までに合併する市町村について、合併特例債の発行など現行法を適用する経過措置。