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渡邉陽子「ごみ問題に関する仙台市と市民団体の取り組み」
ごみの分別に関して仙台市では面白いキャラクターがいる。その名も「ワケル君」。ひねりも何にもないキャラクターなのだが、彼の存在は大人は勿論のこと、小学生まで知っているようである。この親しみやすいキャラクターによって仙台市のごみ分別活動がより活発になったといっても過言ではない。
http://www.city.sendai.jp/kankyou/resaikuru/wakerukun/index.html
ではどのような経緯で仙台市はごみ処理へ取り組んできたのだろうか。まず仙台市は平成11年に「100万人のごみ減量大作戦」というキャンペーンを実施しごみの分別、リサイクルの推進を呼びかけた。その方法としては一戸に一通送られる「市政だより」に掲載したり、回覧板でしらせたりであったが、独身家庭や学生は関心が低く、始めのうちはリサイクル、分別ともに進まなかった。そこで仙台市のリサイクル推進課が広告代理店に依頼し、平成13年からワケル君がCMやポスターで登場。テーマソングを流し、ワケル君の素性を少しずつ明らかにしていったところ人気は更に上昇。市のインターネットサイトの中でもアクセス件数がダントツの180万件にも達した。ワケル君のキャラクターが年齢を問わずに親しまれた結果出ると考えられる。そして仙台市は市政だよりをワケル君のシールと一緒に配ったところ、小学生が喜んでランドセルをはじめ至る所に貼っていた、これはまさに小学生一人一人がキャンペーンを呼びかけているようなものである。このような働きかけによってごみの分別への関心が高まり、実際に生活ごみの排出量が7%も減少するという大きな結果を出した。
http://www.city.sendai.jp/soumu/kouhou/press/03-07-15/genryou2.200307171017.html
このほかにも仙台市はごみのポイ捨てを平成11年に「ごみの散乱のない快適なまちづくりに関する条例」を施行した。この条例は「ポイ捨てごみ」の問題を街づくりの問題と考え、市民や事業者と行政が協力をして、快適な街づくりに取り込むことを考えたもので。基本にあるものは市民一人一人の自発性である。そのためこの条例には罰則がない。「快適なまちづくりは」罰則によって人々を取り締まるものではなく、市民の「自発性」によって進められるべきことであると考えた結果であるだろう。
その条例に伴って、仙台市では小、中学生を中心に啓発活動に取り組んでいる。仙台市の小、中学校では授業の一環としてごみ拾いが行われている。その活動に対して仙台市は支援をしている。こうした取り組みは「ポイ捨てをしている人」ばかりでなく、市民の多くを占めていると思われる「ポイ捨てに怒りを持ち、何とかしたいと思っている人」に働きかけ、行動を促すものとして実施することにより、「ポイ捨て」を許さない社会的な雰囲気づくりを行うよう配慮した結果である。これによって作られたのが「アレマ隊員」である。この「アレマ隊員」には町内会や、市民活動団体や企業などがごみ拾いやキャンペーンに参加しています。
http://www.city.sendai.jp/kankyou/haikibutsu/t-beauty/11.html
リサイクルにしてもポイ捨てにしても市民がそれぞれ自覚しなければ、何も進まないし、成果を出すことはできない。そこで行政は、いかにして市民を巻き込んで、その問題に取り組んでいくかという、ビジョンを持つことが必要になる。住民と行政が一体となって取り組むことこそ、地方自治が成立している豊かな自治体になるのではないかと考える。