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瀧 純代「インターネットによる村おこし−富山県山田村を例に−」

 

 今回私はこのレポートを書くにあたり、以前から興味を持っていた山田村について取り上げることにした。というのもこの山田村は、10年ほど前までは過疎化が進行する日本の典型的な山村地域であったにも関わらず、1997年に本格的にインターネットを導入してからは、村を離れたがる村民が減っただけでなく、外から山田村に移り住む人も増え、減りつづけていた人口がついに増加するようになった村なのである。大都市への過剰な人口流入が問題となっている現代において、過疎化をいかにして食い止めるか、これは多くの地域で解決しなくてはならない問題であると考える。そこで、このレポートを書くことで、この山田村について理解し、成功した理由を考えていきたい。

 

 山田村は、富山県の南西部に位置する、人口1910人、世帯数542世帯(平成14年3月末現在)の村である。明治22年に市町制がひかれ、25集落に行政を区画して山田村はスタートした。しかし戦後になると社会情勢は変化し、過疎化が進行したことにより、4つの集落が廃村となった。とはいえ現在はUターン対策で造った公営住宅の2集落が増え、計23集落で山田村は形成されている。

 

 次に、なぜこの山田村にインターネットが導入されることになったのかについて、述べていきたいと思う。最初のきっかけは、外部から赴任してきた学校の先生から「パソコン通信用の回線を増設してほしい」という要望が出され、村役場がNTT富山に相談したことであった。また、山田村の助役の方々やその他多くの村人の熱意もあった。そして、国土省が平成7年度の補正予算において、「地域情報交流拠点施設整備モデル事業」として過疎地等の情報化に関する予算を確保し、全国の町村にその応募を呼びかけたことが次のきっかけとなったのである。他のものと比べて山田村の事業案はユニークであったこともあり、平成7年秋に採択された。

 

 採択された山田村の事業とは、『情報センターを拠点として、村民が自由に必要な情報を受発信できる環境を整備する』というものである。そのため、村民が自らインターネットに触れることができ、テレビ電話のためのシステムなども設置された情報センターが建設されただけでなく、いつでも誰でも利用できるように村内で同一の電送路を利用したり、各戸に貸与という形でパソコンを配置したり、様々な工夫がなされている。こういった工夫を上手に活用していくためには、村民がインターネットを利用できるようにならなくてはならない。そこで、村民にパソコンの使い方を教えるために次のような仕組みがある。

 

 山田村では一部を除く各戸にパソコンが導入されているが、村役場としてはパソコンの使い方は指導しないことになっている。そこで、二十数か所の集落ごとにリーダーを作り、その方がパソコンの操作を指導している。また、情報センターにおいて週に1回、パソコンに詳しい住民の方が希望者に指導している。他にも、村民の自主的なパソコン勉強サークルやボランティアなどもあり、村民がパソコンの使い方を勉強できる機会は多いようである。

 

 では、この山田村にパソコンが導入されたこと、インターネットで村中を結んだことによる効用とは一体どのようなものであるのだろうか。まず、高齢者が多い山田村にとって一番の効用といえるのは、パソコンを通じたテレビ電話によって医者にバイタルサインを送ることができるようになったことであろう。これによって高齢者が病院に行くことや、医者に往診してもらう手間が省けた。また、自宅にいながらにして仕事ができる人が増えたことや、小学生や中学生でもインターネットについてかなりの知識を持った子どもが多いこと、チャットという手段を使うことで家が離れた村内の人とでも会話ができること、などが挙げられるだろう。そしてやはり何といっても、人々のつながりが増えたことが挙げられるのではないだろうか。

 

 村全体にインターネットが導入されたことで、過疎に悩まされていたこの山田村は大きな変貌を遂げた。これまで村の外との関わりが比較的少なかった村民たちは、インターネットで情報を受信したり、また自ら発信したりするようになったことで、外部と関わる機会が数段に増えた。こうして村から外へ情報を発信することにより、それらを受け取った人が山田村に興味を持ち、村を訪れるようになった。村民にパソコンの使い方を指導するために山田村を訪問するボランティアの人達もいるほどである。つまりインターネット上だけでなく、村民は実際に村の外の人と交流する機会が増えたのである。そして、山田村に住みたいと外から移り住む人も増えた。こういったことを見てくると、インターネットは山田村に大きな変化をもたらし、活気を取り戻させたといえるだろう。

 

 山田村の成功をこれまで見てきたが、では、なぜ山田村はインターネットの導入によって成功したのであろうか。それにはいくつかの要因があると考えられる。まず、村というレベルでこの事業を行ったことが一番に挙げられるだろう。そして、集落が分散しているというデメリットを逆手にとって、情報センターの設置だけでなく、各戸にパソコンを配置したことも挙げられる。また、村民が自らパソコンの導入に意欲的であったことや、外部へ積極的に情報発信したことなども考えられる。

 

 村レベルでこういった取り組みをしている自治体は珍しい。だからこそ『住民みんながインターネットに参加できる自治体』として、これから先も注目すべき自治体であってほしいと私は考える。とはいえ、現在この山田村も全国的な市町村合併の流れを受け、富山市を中心とした富山地域合併協議会に参加している。山田村が合併した場合、現在のように市全体をインターネットでつなぐことは不可能に近いだろう。そうなれば、山田村がせっかく持っている特徴が失われてしまうのではないだろうか。そう考えると非常に残念な気がしてならない。

 

(参考文献)

Kathleen Yamane 山根繁 「ABC World News(4)」 2002年 金星堂

 

(参考ホームページ)

山田村役場ホームページ 「山田村の概要」

山田村の情報化について 「山田村訪問記その1」

山田村の情報化について 「山田村訪問記その2」

富山地域合併協議会事務局ホームページ