高田幸太「秋田県、大曲の花火大会から見る町づくり」
秋田県の「大曲の花火大会」は毎年8月第4土曜日に全国の花火氏たちが集まり、花火の美しさを競う日本一の花火大会とも呼ばれている。この花火大会は明治43年から開催され、現在ではその観覧者数が60万人を超える。普段の大曲市の人口は約4万人、その花火大会の日だけで人口がおよそ15倍にも膨れ上がり、その数も年々増加傾向にある。この花火大会に市はどのように対応しているのか、また花火の町としてどのような街づくりを行っているのかを考察する。
まず、この大曲の花火大会には問題点が数多く存在する。一つめとして上げられるのが明らかに市の人口容量オーバーであるということだ。もともと4万人の都市機能しか備えていないため60万人以上の観覧者を収容するにはかなりの困難がある。これが交通渋滞やトイレの不足などを引き起こす。交通渋滞に関しては、秋田自動車道において、県境を越え大曲から岩手の北上インターチェンジまで渋滞が続く。秋田自動車道は2車線ではないので渋滞が起こるのは必至である。そして会場付近の駐車場の不足。これが渋滞をさらに悪化させている。そのため会場まで足を運べない人や、かなり遠方から花火を観覧する人も存在する。トイレに関しては、圧倒的にその数が不足している。仮設トイレを400台以上設置しているということだが、常にトイレ渋滞が起き、且つすぐに故障してしまい利用不可能となる。花火大会会場となる金谷橋周辺には民家などが多く、公衆トイレはほとんどない。また、ゴミ問題も深刻である。花火大会当日のゴミの量は100トン以上にも及ぶということだ。ゴミのポイ捨てなども深刻であり、その処理に市はかなりの苦労を強いられている。
このような問題に市はどのような対策をとっているのだろうか。まず交通渋滞に関しては「大曲の花火渋滞対策委員会」を今年設置し、渋滞対策に乗り出している。ここでは「水上交通」や河川敷駐車場の設置、臨時電車の増発など様々な提案がなされているが、いまだ建設的な結果を見出されないでいる。座敷の増設や臨時電車の増発などの提案は「限界がきている」とし現実味がないということで実行に移せない。今年実施される花火大会までには採用案を実行したいということだが、今までの現状を見るとかなり難しいだろうと考えられる。また、あまり問題視されていないトイレ問題については仮設トイレの増設以外、議論はされていないようだ。個人的には最も改善してほしい問題である。これが最も観覧者を不快にさせる問題だと考えるからだ。会場の公衆トイレ増設及び新設を検討し、トイレ渋滞の緩和を図るべきだ。ゴミ問題に関してはゴミ集積場所を各所に設置、ゴミをそこに捨てることを呼びかけると共に、分別も呼びかけている。
また、花火の町として大曲市は「にぎわいのある商店街形成」の一環として、駅前の「サンロード商店街」を「花火通り商店街」と改名、『大曲花火屋』や『アトリエール花火庵』、『花火通り市』などを設置、花火を前面に押し出し商店街活性化を図っている。また、近年は道路の増設及び新設が進んでいる。花火大会の渋滞を減らすのが主目的というわけではないだろうが、渋滞の緩和につながることが予想される。しかし大曲市全体を見ると、全体で花火を盛り上げようという町づくりをしているわけではない。花火の町として活性化されているのは駅前だけであり、今ひとつ盛り上がりに欠ける。市の活性化のためにもより全体で花火をPRしていく必要があるだろう。
現在大曲の花火大会はNHKの生中継などを通して、全国的に認知度は向上しているだろう。花火大会は年に一度にしかない大行事だ。そのために市は効果的な対策をとることが困難となっていると考えられる。常に60万人の都市ではない。まず早急に検討すべきなのは秋田自動車道の二車線化、トイレ対策、駐車スペースの確保だ。そして、観覧者の立場に立った政策を実行することである。何が問題となっているのか、観覧者の立場に立って考えるべきである。多くの政策は限界に来ているということだが、その限界を超え、そして観光者がまた来たいと思う花火大会を提供するべきだ。
大曲全国花火大会 http://www.ldt.co.jp/hanabi/
大曲花火インフォメーション http://www.obako.or.jp/kaigisho/hanabi/hanatop.htm
大曲市役所 http://www.city.omagari.akita.jp/