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濱田孝子「鹿児島県姶良中央地区一市六町合併」

 

財政的な特別措置などがある合併特例法の期限が平成十七年三月末までとなっているため、鹿児島県姶良中央地区合併協議会(以下「協議会」という。)事務局が平成十五年四月一日に設置された。国分市、溝辺町、横川町、牧園町、霧島町、隼人町、福山町の一市六町は、通勤・通学、日常的購買などの面で関係が深く、すでにある一つの地域・地区として捉えることができるといえる。またこの合併には、少子化・高齢化による労働人口の減少やそれにともなう税金負担の問題、地方分権推進への対応の必要なども影響している。平成十五年六月から「姶良中央地区合併協議会だより」が各家庭に配布されるようになった。これは市町民に合併の進行状況を報告するもので、毎月配られている。「姶良中央地区合併協議会だより」では協議会の報告だけでなく、住民の合併に対する不安や期待などの意見や住民アンケートの結果も掲載されている。また各号には、カラー写真と説明文で各市町の公共施設などが紹介される頁も設けられている。最新号は第7号(平成十五年十二月)で、第十二・三回協議会内容や新市名の住民応募の結果などが報告されている。

 

市町村合併の主役はその地域の住民であると思う。住民自身が、より良いまちづくりのために合併を望むことが理想的だ。姶良中央地区合併協議会は、住民の立場に立った新市のまちづくりを目指している。協議会はこの一市六町が合併した場合、新たにどのような市を構築していくかを定める「新市まちづくり計画」の策定を進めていた。この計画に提言として住民の意見を反映させるため、各市町の住民から5名代表を出し「まちづくりフォーラム」を運営した。代表を、社会基盤・生活環境・教育文化・保健福祉・産業経済・コミュニティと、六つのグループに分け、合併後の新市のありかたについて議論された。この「まちづくりフォーラム提言」は住民意見による期待(課題)と不安(問題)を主にしてまとめている。期待(課題)は「職員数や議員数削減など行政内部の効率化が図られる」「各市町の公共施設を利用できる」「観光振興」などが挙げられる。不安(問題)は「中心部発展と周辺部衰退」「各地域の歴史・文化・伝統の消失」「市役所・役場の立地」「行政サービスの低下と料金値上げ」などの意見が多かった。これらの意見を反映した提言は同年九月に提出され、「新市まちづくり計画」(概要版)が同年十二月に配布された。概要版では、合併の経費や人口推計なども説明されている。例えば、普通建設事業費(通常行うべき土木・建築などの費用)は1,487億円(内合併特例債は400臆円)とされている。

 

現在、生活している宇都宮も合併の話が進んでいる。しかし、自分にとって馴染み深い市町村の合併は特別気になる。住民意見にもあったが、聞き慣れた地名がなくなってしまうのは悲しいことだ。それは合併に反対する十分な理由になる。今回一市民として姶良中央地区の合併について調べてみた。書籍やインターネットは使わず、市町から配布される資料だけでどれほどの情報が伝わるのかを知りたかった。確かに数字的な結果や予測、新市が目指していく方向などは理解できたが、実感はわかなかった。資料を読んでいると、確かに合併したほうがよさそうだと感じ、誰もが夢見る理想通りのまちが実現しそうだという気になった。しかし、発行している側が合併を推進する目的で書いているのならば、すべてを鵜呑みにしてはいけないだろう。実際、「合併だより」の号が進むにつれて承認される協定項目は増えているものの、圧倒的に未協議の項目のほうが多い。市町村合併は住民主体の問題である。住民は自分たちの合併であることを自覚し、関心をもって合併を迎えることが必要だと思う。

 

参考:姶良中央地区合併協議会『姶良中央地区合併協議会だより 創刊号〜第7号』2003 (aira-chuou1@po3.synapse.ne.jp

              『まちづくりフォーラム提言』2003.9.6

              『新市まちづくり計画(概要版)』2003.12