Uchiyamam011203    「地方自治論」レポート

「風力発電で町おこし」      k000108 内山 みちる

 

1,風の町

 山形県立川町は人口約7800人の過疎の町である。扇形に広がる平野のかなめの部分に位置する地形が災いし、山間部にたまった冷気が最上川沿いに一気に吹き下ろす。この局地的な東南東の強風は「清川ダシ」と呼ばれ、日本三大悪風の一つとされている。冬は大陸から吹き付ける北西風が最上川をさかのぼる。年間平均風速5.0メートル、1年を通して風がやむことはない。この厄介者の悪風を逆手にとって立川町が風力発電に取り組んだのは昭和55年のことだった。出力1キロワットの風車を設置し、温室による山菜や野菜の促成栽培を試みた。翌年は科学技術庁が全国10カ所で行った地域エネルギー実証調査のモデル地域に指定され、5キロワットの風車2基を養豚団地に設置した。そして豚舎の暖房とペレット化した畜ふんによる床暖房の実験を5年間続けたが、強風が吹くたびに故障が続出し、事業はとん挫した。

 立川町が再び風に目を向けたのは平成2年の「ふるさと創生事業」がきっかけだった。オランダ風の観光風車を国道沿いにたてて「立川」をPRしようと考えた。しかし、清水幸丸三重大学教授の「営業用の風車を建てるのだったら協力する」という提言を受けて館林町長は観光用風車から営業用風車への変更を決意した。

http://www.toonippo.co.jp/rensai/ren2000/kakunen/kak0708.html

2,風力発電

 風力発電とは、風の運動エネルギーで風車を回して電気エネルギーに変換するシステムで、風から取り出せる発電出力は風速の3乗に比例するため、風の強い場所に設置することが非常に重要である。

http://www.kosonippon.org/prj/evm/jirei/5-2.html

 再び風車を作ることになったのは、「ふるさと創生資金」による1億円の使途をめぐり、町民からのアイディア募集などで「1億円の看板風車を作ろう」という声が寄せられたことからである。立川町は今でこそ、環境を配慮した風力発電で知られるようになったが、当初は環境や発電ではなく、町のシンボルとしての風車を作ろうと考えていた。しかしどの自治体もやっていない風力発電なら地域興しになると考え、再び風力発電に踏み切った。平成5年、アメリカ製の1000キロワット風車3基を公園と自然実習館がある笠山に設置して「風車村」をつくった。これは自治体としては全国初の風力発電施設であった。出力合計300キロの電力は自然実習館の電気やバッテリーカーに利用し、余剰電力は業務用電気料金と同じ価格(1キロワット時約15円)で東北電力に買い取ってもらった。

 風という資源を求めて、風力発電機輸入の民間企業も参入してきた。エコロジー・コーポレーションやオリックスなどが平成8年に風力発電会社を設立し、平成10年には立川町も150万円を出資して第三セクターとした。そして、この風車の電力は余剰電力ではなく、最初から電力会社への売買が目的であったため、電力会社は従来のように業務用電気料金と同価格で買い取ることは出来ない、変電設備も無償貸与できないと通告した。しかし立川町が約1年かけて電力会社や通産省と交渉した結果、電力会社による17年間の長期買い取りメニューや、事業費の2分の1以内を国が補助する「地域新エネルギー導入促進事業」の創設へつながった。「地域新エネルギー導入促進事業」とは「地方自治体が策定した新エネルギー導入・省エネルギー促進計画のうち、先進性がありかつ他の地方自治体への波及効果が高いものを通商産業大臣が認定し、当該認定計画事業の実施に必要な経費を補助するもの。平成10年度よりNEDO新エネルギー導入促進部の補助事業となっている。対象事業は、新エネルギー導入事業者支援事業と基本的に同じですが、規模、補助率が異なっている。天然ガスコージェネレーションも対象事業の一つとなっている。」

http://www.nedo.go.jp/intro/shinnene/cogene/06-4.html

3,風力で町の全電力を

 立川町は風車と風力発電によって町を全国に知らしめるという目的を達成した。そして立川町は新たに、今後はまちの全電力を風力で賄うことを目標に掲げている。立川町の風力発電運転状況は、平成5年5月から運転されているシンボル風車(100kW×3基)は、年間平均発電量が約15万kWh、稼働率16%、利用率6.5%となっている。風車は小高い丘に建っているため、周辺の地形や樹木の影響を受けて風の乱れが強く、構造的にあまり稼働率はよくない。

 400kWの風車はっへ異性8年1月より運転されており、年間総発電量は当初よそくしていた、2台で120万kWh、稼働率55%、利用率17%を達成し、ほぼ順調に運転されている。また、600kWの風車が平成11年5月からうんてんされている。これは年間の発電量は1台約130万kWhを見込んでいる。

http://www.town.tachikawa.yamagata.jp/

しかし、風車の大型化に伴い、発電単価は大幅に低下した。また、電力会社と17年の契約を結んだものの、買い取り価格は1キロワット時あたり12円弱にすぎないため、国の補助金なしでは採算がとれず、投資額の回収には20年近くかかるという。

4,

1994年に、立川町と日本風力エネルギー協会の呼びかけで「全国風サミット」が始まり、1996年に発足した「風力発電促進市町村全国協議会」は60市町村をかぞえるに至った。ここでは、地域興しだけではなく、環境問題も含めた風力発電の必要性や重要性を広く認知させようと、世論の喚起を行っている。立川町町長は発足以来その会長をつとめており、立川町は名実ともに日本の自治体による風力発電推進の顔となっている。

5,まとめ

 現在の日本では、原子力発電が主流である。しかし、原子力発電所を建設するとなると、様々な危険性から住民から反対運動が起きる。立川町ははじめは過疎を解消するために、他にはない、立川町独特のものを、と考えて風に着目した。そして、風力発電を進めていくうちに、環境問題にきづいた。また、当初の目的どうり、風車村への観光客も増えた。住民の意識の中にも風力発電によって環境問題の先端をいっている、という誇りが出てきたという。ただ、国の対応がまだ不十分であるため、風力があまり広まらないのではないか、と思う。そして、風力は強力な風が吹かないと発電できないので、設置できる場所も限られてくる。そうなると、十分な電力は賄えないだろう。環境先進国といわれるドイツのアーヘン市では、各家庭の屋根にソーラーシステムを設置し、その電力をアーヘン市が買い取っている。しかし、日本では地域ごとに電力会社が決まっており、自由競争制ではないので難しいかもしれない。

<参照サイト>

Web東奥・連載/巨大開発30年の決算200000708

立川町の風力発電までの経緯がかかれている。

構想日本 - 環境

風が描くまち立川町公式ホームページ

エコロジートピックス

The Aachen Model

ドイツのアーヘン市のアーヘンモデル。英語でも見ることができる。