地方自治論レポート                     000137U 轟 暁子

 

私は去年から宇都宮市に住んでいるのだが、地元・前橋と比べるとずいぶん賑やかだという印象を受けていた。前橋は買い物といえば郊外の大型ショッピングセンターという形になっているようだ。しかし宇都宮も中心街の活力がなくなってきているというような話を講義で聞いて驚いたことがあった。たしかに中心街から離れたところに大型ショッピングセンター(福○屋とか)もできているようだ。宇都宮も前橋と同じような流れになるのだろうか?また行政面では中心街活性化の対策はなされているのだろうか?

 

●中心市街地の概要

(1)現状

車社会の進展や道路整備により、大型商業施設や飲食店等が郊外の環状線等に立地

し、また、中心市街地の商店街においては、店舗の老朽化、空き店舗の増加などに

より、魅力に乏しい商店街となり、来街者も減少し、宇都宮市における相対的な活

力の低下が見られる。 

(2)位置及び区域 

古くから市の顔として発展してきた二荒山神社を中心とした、都心環状線内の区域

に、御本丸公園から八幡山公園にのびる緑の軸を加えた区域。この区域には、JR

宇都宮駅、東武宇都宮駅、両駅を結ぶ大通り、県庁・市役所等の行政機関が含まれ

る。(右図)

 

 HYPERLINK "http://www.ias.biglobe.ne.jp/madoguchi-go/plans/plan061.htm" http://www.ias.biglobe.ne.jp/madoguchi-go/plans/plan061.htm 

 

 

 

 

市は市街地活性化に対するどのような政策を行っているのか調べてみた。

基本計画概要書()によるプラン

●基本的な方向

 宇都宮市中心市街地のまちづくりコンセプトを、「中核都市・宇都宮にふさわしい賑わいと多様性のまちの実現を目指す」こととし、次のような方針の下に、高い集客力をベースとして、自律的に発展できるまちづくりを目指す。

○中心市街地へのアクセス条件の改善等、交通機能の整備     ○宇都宮らしさが光る魅力的な都市空間の形成

○宇都宮都市圏にふさわしい高度で多様な機能集積の形成     ○賑わいと多様性を演出するサービス・ソフトの提供

 

●計画の特徴

 中心市街地の活性化に向けては、単に物を売るだけでなく、行政・業務機能、アミュ―ズメント機能などの複合化した機能集積、都市景観や来て楽しくなるような道路や公園などの都市基盤の整備、都心に人が住む都心居住、都市型観光やイベントによる集客が必要であり、都市経済、地域経済の活力増進と市街地環境の改善等を目指して一体的、総合的に取り組むために、事業推進機関の設立や市民の積極的な参画の促進などの実現化方策に基づき、特に重点的に取り組むべき7事業を戦略的事業として位置づけ事業の推進を図る。  HYPERLINK "http://www.ias.biglobe.ne.jp/madoguchi-go/plans/plan061.htm" http://www.ias.biglobe.ne.jp/madoguchi-go/plans/plan061.htm 

*1基本計画概要・・・市町村長が主務大臣宛ての文書として中心市街地活性化推進室に提出するもの。同室は法律に基づく事務手続き、市町村からの問い合わせを行う。

 

都市マスタープラン・・・市による「市町村の都市計画に関する基本的な方針」。土地利用の観点から、将来像と整備の方向を明らかにしたもの。彫心市街地の再整備については、次のように述べている。

●老朽建物が密集している地域・低密な土地利用がなされている地域…都市再生区画整理事業、再開発事業、共同建替えなどにより、土地の高度利用を推進。

●戦災復興土地区画整理事業の行われていない地区…土地区画整理事業により計画的に基盤整備を推進。

 

また、このプランでは次のような事も行っている。

 

シンボルロードの整備事業・・・うるおい豊かなまちづくりのため、都市の顔となる「シンボルロード」とし、地域や道路の特性に応じた計画をつくり、整備していこうとするもの。本市では、県庁と市庁舎を結ぶ中央通りを景観と緑化に配慮して、市民の憩の場、コミュニケーションの場、祭の場などシンボルとなる空間としての再生を図っている。事業内容は、地域性のある並木、歩道の拡幅、ポケットスペースの確保など歩行者空間の充実と沿道建物を含めた景観づくり、電線の地中化など、民間・住民の参加、協力をもとに実施しています。

釜川改修工事・・・本市では、市中心部を流れる釜川の改修計画にあたり、治水事業だけにとどまることなく、都心部において「水と語れる、さわれる、親しめる」水辺環境を、釜川という超ミニ空間に演出するために、二層構造河川を採用した。 整備にあたっては、川と道路、沿道建物などほかの施設と調和した面的な広がりを重視し、上段水路の護岸、護床部に自然石や草木を配置し、やすらぎとうるおい、ふれあいの場として釜川の水辺空間づくりを目指している。

 

このように計画を見てみると市街地再開発に力が入れられているように思える。しかし、次の資料を見ても分かるように、郊外移転は依然として進んでいるようだ。

image.gif左のグラフから分かるように、人口集中地区の面積は拡大しているものの、人口密度は年々低下している。このことは人口が郊外へ分散されていることを示している。

 

                                        

                     HYPERLINK "http://www.city.utsunomiya.tochigi.jp/plaza/index.html" http://www.city.utsunomiya.tochigi.jp/plaza/index.html 

 

 

 

 

 

また、

市の予算の面から見ると・・・平成一二年度下半期の特別会計(2)は、額の多い順に老人保健・国民健康保険・競輪・介護保険・鶴田第1土地区画整理事業・都市開発資金事業・城東土地区画整理事業・農業集落排水事業・中央卸売市場・駐車場・宇大東南部第1土地区画整理事業鶴田第2土地区画整理事業・育英事業・母子寡婦福祉資金貸付事業となっており、郊外開発に力が入れられていることが分かる(下線部)

 *2特別会計:特別会計は、国民健康保険や駐車場のように保険料、使用料などの収入があり、一般会計とは別に収支する必要のある仕事について設けている会計。

    ちなみに、一般会計は、市民の日常生活に深くかかわっている福祉、教育、道路、消防、公園などの仕事をする会計、公営企業会計は、事業収入により経営を行うものについて設けている会計で、会計方法を民間企業と同じ方法にしている。市の会計は以上の3種類から成り立っている。

http://www.city.utsunomiya.tochigi.jp/gj/gj_zs/jijyou/2000/201.htm

 

交通 事情の面から見ると・・・宇都宮市の都市計画のうち都市計画道路〔平成13 331日現在〕は計74路線合計261,400mの延長がされている(ただし決定権は県にある)。北関東横断道路・新4号国道・鬼怒テクノ通り・鹿沼宇都宮線・宇都宮芳賀線といった郊外へ伸びる幹線道路が圧倒的に数が多く、県庁西通り・駅東宿郷通りといった中心市街地の道路整備はわずかである。

http://www.city.utsunomiya.tochigi.jp/plaza/index.html 

                                     

 以上のようなことを踏まえると、やはり宇都宮市の都市計画は中心市街地の再活性化よりも郊外の新たな地区の開発に力を入れているようだ。しかし、古くから人・物の集まる要所として栄え、街としての基盤が整っている場所を再開発し、有効に利用すべきだというのが私の意見である。