『地方自治体における評価システムの現状と課題』  01M1009 高桑昭祥

 

 宇都宮市では昨年度から行政評価システムの一手法として事務事業評価の試行に取り組んでおり,全国でも今年7月末現在で43都道府県とすべての政令指定都市がこの行政評価制度を導入または試行していると総務省が発表している。(平成13116日付け下野新聞記事)行政評価とは,行政の事務・事業の目的やその目指すべき成果を明らかにした上で,当初の目的がいかに達成されたのか,成果があったのかを評価するシステムであるが,なぜ今そのようなシステムが必要になっているのであろうか。その大きな切っ掛けの一つとしては,地方自治法の改正(平成9年改正)により導入された外部監査制度により,その監査人から行政が投資したものに対しての効果やそれを評価する方法,また当初の目的,目標に対してどの程度達成されたのか,その達成度が求められているためである。いいかえれば,市民が行政サービスの価値を評価できるような方法を求めるようになってきたのである。

 

 行政評価の手法については,大部分の自治体で事務事業の評価に取り組んでいるが,それとは違った観点から評価している自治体があるので,着目してみたい。逗子市(http://www.city.zushi.kanagawa.jp/syokan/hyoka/cs/cs01.html)では,CS(顧客満足度)調査という民間企業でのマーケティングなどに用いられる手法により,顧客(市民等)の顕在的・潜在的ニーズを測り,限られた経営資源をどこに投入していくかという判断につなげていくために行う調査を実施している。調査の内容は,逗子海岸海水浴場の海水浴客であり,客の実態と意識を探り,逗子市の観光施策の方向を位置付ける基礎資料とすると書かれている。具体的にはアンケート調査によるデータ(数値)を把握する一手法であり,そのデータを分析することで海水浴客(顧客)が行政サービスをどのように評価しているか見極めるためのものである。当然のことながらこの調査だけでは行政評価にはなり得ず,行政評価をしていく過程の一助とするものである。

 

CS調査の概念

 

テキスト ボックス: 満足度
 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


    ●:サンプル

 

重要度

 
 

 

 

 


     重要度と満足度を対として考え,座標軸に落とす

     顧客が,重要度や必要性をどの程度認識しているか

     それに対する満足度がどの程度感じたのか

     概ね,右肩上がりで推移することが望ましい

 

A:重要度は低いと思っているが,内容は満足している

⇒ 過剰投資,過大サービス

B:重要度は高いと思っているが,内容には不満足

⇒ 投資不足,サービス不足

 

     一概には言えないものの,上記のような傾向がうかがえる

     不足するもの,過剰なものを見直し,整理し方向性を見誤らないようにする