sugawaram011203  「地方自治論」レポート

「景観を守るー仙台市の取り組み」k010126 菅原 径子 

 

はじめに

 私は今回地元の仙台に焦点をあてて取り組もうと決めていた。そして教育、財政のことなどの様々なことのなかから「環境」をテーマにすることにした。仙台市は杜の都と呼ばれ緑の多い都市である。私はその仙台の落ち着いた町並みが大好きなので、その街並みを守りさらによくするために行政がどのようなことを行っているのか今回調べてみた。

 

仙台市は仙台環境基本条例(平成8年三月制定)で定められた仙台市環境基本計画のひとつとして「杜の都環境プラン」を策定した。それは仙台市の環境づくりの最も基本となる計画である。「杜の都環境プラン」は4つの都市像と重点目標をかかげている。全体像として「杜に学び杜に生きる」を重点目標とし、4つの目標として1環境負担の少ない循環型の都市2自然生態系を重視する都市3地域の多様性・個性を生かしていく都市4生活環境が健康で安全かつ快適に保たれる都をあげている。仙台市はその「杜に学び杜に生きる」をさらにすすめるために 「百年の杜つくり行動計画」〜木を植えよう、杜をつくろう。100年後のこのまちのために〜仙台市では百年の杜つくりを進めるため2010年までの行動計画を策定した。基本理念 は自然と街がとけあうまちで、基本方針 は杜の都の緑と水を守り育てるという緑の保全、そして杜の都の緑の空間を作り育てるという緑の創出、杜の緑の文化を広げるという緑の普及の三つをあげている。そしてこの計画のなかで行政は「百年の杜つくり」は、行政(市民、事業者に情報提供)、市民(家庭で身近な取り組みをする)、企業(企業市民として緑つくりへ積極的に参加)それぞれが役割を認識し、協働による取り組みをすすめることの重要性をといている。その三つが協力しあって成り立つ施策、事業として次のようなものがあげられる。

     市民による「100万本の森づくり」事業・・・仙台市が植樹場所を用意し人生の節目の記念などに植樹する記念植樹など1年で1万本、100年で100万本の植樹が目標。その一環として誕生、結婚、会社の創立などの記念の木を公園や緑地に植樹する記念植栽事業が平成12年11月に市内の公園で行われた。また緑に親しむ機会の増加や、既存の優れた緑を再認識するため、景観的に優れている緑の名所を公募し、ガイドブックを製作したり、子供が小さいころから自然に親しめるよう市有林や公園を生かして自然体験学習林をつくったり、緑に関心のある市民が交流をはかり情報を提供しあうことができるように交流の場を設け支援したりしている。

     建築物助成制度・・・ 民間建築物等の緑化を推進し、潤いのある緑豊かな都市空間の形成を図るため、平成12年度に開始した助成制度である。助成の対象は市内の建築物等(国、地方公共団体、特殊法人又はこれに準ずる団体が所有しまたは管理する建築物を除く)の屋上壁面等において行う緑化事業についてである。例えば屋上の等緑化については木々、芝、地被類により建築物等の屋上またはベランダ−を三平方メートル以上緑化する場合、経費の二分の一に相当する金額(緑化面積一平方メートルあたり五万円を限度とし、その金額が三百万を超える場合にあっては三百万)を助成する。

このように企業、行政、市民が関わりあうような施策を立てることは大切なことであると思う。環境問題というのは行政だけが頑張っても解決できるものではなく皆の協力を必要とするものだからである。しかしこの施策はうまく機能しているのだろうか。建築物助成制度は平成十二年度に開始したばかりなので、街中に緑は多いがそれは街路樹や駅や県庁などの周りなど公共の場であり、まだまだ一般企業の建築物の緑化はすすんでいないと思われる。屋上にプランターをおいているビルもあるが、そんなに目立つほどではない。この不況のなか一般企業が緑化のために経費をさけるのかという問題がある。経費が二分の一支払われるれるといっても、わずかな経費も節約したいのが今の企業の現状ではなかろうか。現に地元のあるデパートでは徹底的な経費節減策がとられていて、電気の節約、人件費の節約をするためにさまざまな対策がとられているという。強制力をもたないただの援助制度ではあまり効力がない。企業が関係するとどうしても利害問題が生じてしまい、うまくことがすすまない部分があると思う。この利害問題というものはいろいろな場面で見られる。仙台では冬に「光のページェント」という木々に何個もの電球をつけ光のトンネルをつくるイベントがある。木々が多いのでそれは大変美しく毎年たくさんの人々が訪れ、街中がにぎわう。しかし木々が弱ってしまうという問題がある。一応いたまないように対策はとってあるようだが、十日間くらいの間何百、何千もの電球の光を浴びていれば多少なりとも悪い影響がある。これは「百年の杜つくり行動計画」の基本方針である緑の保全に反しているのではないかなと思った。それでもずっとこのイベントが続いているのは市民の要望があるだけではなく、街、市の活性化をねらって行政、企業(商業者)がバックアップしているからであろう。仙台市は観光名所も少なく、有名な行事といえばほかに七夕くらいしかないので、市の名物となるものが必要なのだろう。また街の中心部で行われるため、イベントに乗じて店に客がはいることを期待しているのだと思う。これについては、そんなにたいした問題ではないが、ある景観についての問題が地元新聞の市民の声をのせるページで議論されていた。それは、バスの車体広告についてである。仙台市交通では二、三年ほど前からバスの車体に民間の広告をペイントするようになった。その広告は原色をつかった色あざやかなものもあり、杜の都にふさわしくないという市民の声が多数あるのである。確かに昔のバスの緑系統のいろで街に溶け込んでいたものから、現在のはぱっと目をひくようなものに様代わりをした。仙台市交通では財政上、車体広告のぶんスポンサーから収入を得られるのでやめるわけにはいかないのだろう。昨今マイカーを持つ人が多く、公共の乗り物に乗る人が減ってきているため、そこで補填いようというのだろう。この前実家に帰ったときも、苦情きき入れられなかったのかバスはそのままだった。京都ではマクドナルドやコンビニやバスの色など街の日本的なところを壊さないように配色が決められているが、仙台ではそれについてはどのようになっているのだろうか。今度は景観に対する仙台の取り組みを調べた。

1景観に関すること  仙台市は「杜の都の風土を育む景観条例」を平成七年に制定して、仙台市の景観ずくりをすすめている。三つの原則として景観三原則がある。

1、基本原則―市、市民、および事業者は地域の自然や歴史的、文化的環境に配慮して杜の都風土を育む調和のとれた魅力的な景観の形成に努める。

2、市の責務―市は望ましい景観に配慮した、総合的な施策を実施する。その実施にあたっては市民および事業者の意見が十分に反映されるように努める 

3、市民、事業者の責務―市民、および事業者は自らが景観つくり主体者であることを考え景観つくりに努めるとともに市の実施する景観施策に協力するように努めることとする。

また景観七方策がある。1総合的な施策の推進―景観基本計画を策定し、先導的な景観推進方策をすすめる。2景観形成地区の指定―重点的に景観形成をはかる必要のある地域を指定する。3、大規模建築物等指針―周辺への影響を考慮し、景観との調和を図る。4、景観重要建築物などの指定―歴史的、文化的建造物の保全、整備をすすめる。5、景観協定の締結と景観形成協議会の認定、育成―自主的な地域の街つくりを景観形成に向けて支援する。6、表彰と助成などの実施―景観形成に寄与している建築物、活動を応援する。7、景観審議会等の設置―重要事項を審議する景観審議会と地域情報を得る景観推進会を設置する。

     景観基本計画・・・景観基本形成を総合的かつ計画的にすすめていくために、仙台市が平成九年四月に策定。

2屋外広告物に関すること 屋外広告物とは「常時、または一定の期間継続して屋外で公衆に表示されるものことで、その表示内容は個人や法人の名称、商店名などの文字表示から商標やシンボルマークなどの記号表示も含まれる。*広告塔、壁面広告、広告版、車体広告、電柱類広告、移動広告、電光ニュース、アドバルーン、はりがみなど。このような屋外広告は身近な情報を伝える手段としてわたしたちの生活に大きな役割を果たしているが、広告が無秩序に氾濫すると街の景観をそこなうことになるので、市では屋外広告物が適正に提出されるように条例により屋外広告物のルールである「仙台市屋外広告物条例」を定めている。それにより屋外広告物を提示する場合にはあらかじめ市長の許可を受けなければいけないことになっている。

 このように仙台市はきちんと景観について定めている。仙台交通のバスの車体広告は市の許可を受けているのだろう。景観三原則は市民、および事業者の意見が十分に反映されるように努めると定めているがこの場合は事業者の意見が反映されたようである。一方で市民の意見が反映された場合もある。あるカラオケボックスの建物の外観が原色使いの非常に派手なものであり街の景観から浮いていて市民からの評判もよくなかった。市からの命令によりそのカラオケボックスはおちついた茶色のビルに塗り変えられていた。仙台市はどのような基準で市民とん事業に意見とりいれているのだろうか。どこからどこまでが許される範囲の広告で、どこからが許されないのだろうか。その基準が市民、事業者にはよく理解できない部分であると思う。もしかしたらこの行政側もその基準を判断しにくいかもしれない。市民の声を聞く必要もあるし、また街の活性化のためにも事業を盛り立てる手伝いもしなければいけない。だから市民、事業者、行政が一体となって景観形成をすすめるために話し合う場である景観審議会があるのであろう。このような組織は三者の関係を潤滑にし、市を皆が気持ちよく過ごせるようなよりよい環境にするため大変重要な役割を果たすと思うので、これからより発展させた組織つくりが必要とされるだろう。ここでもうひとつ問題となってくることがある。全部の事業者が景観に対して協力的ではなく、むしろ、市民や行政と対立しているものがある。たとえば今問題となっているのは風俗などの宣伝をしているいわゆるピンクチラシである。無断で電柱や壁に貼っていき、子供の教育もよくないなどの理由から市民からの苦情も多い。行政も取り締まろうと見回りを行ったり、チラシをはがす活動をおこなったりしているが、なかなか原因であるである事業を取り締まることが出来ないので解決していない。今後もこれに対する対策を市民、行政、そしてそれを行っていない事業者が協力してさらに解決策を練っていく必要がある。市で生活している人々が一丸となって取り組む姿勢が必要と成る。

まとめ  今回景観について調べてきたが、自分が思っていた以上に仙台市は色々取り組んでいることが分かった。しかし施策はここ四、五年でできたものが多く、まだ新しく基盤がようやく出来てきた状態である。まだまだ景観の問題は山積みであるのでその施策をどのように活用していくのかが重要であると思った。また市民、行政、事業が協力しあうことが出来るように、三者が交流する場をもっと設けたほうがいいなあと思った。そしてその交流が一部の人のものとのみならないように、マスコミなどを利用していやでも知るような状況をつくれればいいと思った。

 

参考ホームページ・http://www.nippon-net.nejp  このサイトは全国の地方自治体のホームページにいけるようになっており、情報が探しやすいと思う。