Kigurea0001203 「地方自治論」レポート

「市町村合併における市と村の思案」 k0001125 木暮淳

 

私の生まれ故郷である富士見村は、後数年で隣接している前橋市に統合されてしまう。私は生まれてから大学に進学するまで、ずっとこの村に住んできた。富士見村について書かれている主なHPは下記の通りである。

富士見村役場ホームページ 富士見村非公式ホームページ

ここを読んでもらえば、この富士見村がどの様なものであるのかがわかると思うのだが、一応紹介しておく。この村は群馬県の中心より少し北にある赤城山の麓にあり、人口はおよそ2万人強である。最近は過疎化の問題が生じているが、群馬県の県庁所在地の前橋市と隣接している為に、それ程の影響は出ていない。実際、小学校で校舎を増設したのもある。しかし、高齢化問題は大きな問題であるように感じる。また、この村には大きな施設は存在しない為、近くの市や町への移動が欠かせないものでありその結果、若い人たちは良い環境を得る為この村を離れていってしまうのである。

下記に書いた富士見村広報によると、群馬県において、社会生活上の市町村間の関係を示す客観的データとして、@転入状況A転出状況B通勤状況C通学状況D入院患者動向E外来患者動向F買い物動向G自動車交通状況の8つを総合的に見て市町村の結びつきを表すと、富士見村と前橋市の関係が一番強く、800満点中400点をとっている。このように富士見村と前橋市の結びつきは強いものである事が伺える。

ここでは、町村合併について村の広報と市の広報を参考にしながら、そこからこの市町村合併についてそれらがどの様に考えているのかについてまとめてみたい。

以下の文章は前橋市広報と、富士見村広報を参考にしながら書いた。

それらは、前橋市市役所 http://www.city.maebashi.gunma.jp/

そして富士見村役場HPから見られるようになっている。

現在計画されている町村合併は「市町村の合併の特例に関する法律(合併特例法)」がもととなっている。

この法律はS40年に十年間の時限立法として制定され、その後S50年、S60年及びH7年と、十年事に延長、改正を経て現在にいたっている。H7年の改正では、期限の延長と自主的な市町村の合併を推進する事を目的に、手続きや財政措置などの面で、充実強化された。また、H11年に地方分権一括法による改正が行われ市町村合併を推進する為の新たな措置や既存の措置の拡充が図られ、H17年3月31日を有効期限とする合併特例法は合併した自治体に対する様々な支援策を設ける事を約束としている。

では、なぜ今市町村合併について計画が行われているのかについてみてみたい。

21世紀において市町村の大きな問題は「地方分権の推進」「少子高齢化への対応」「多様化する市民ニーズへの対応」「市民生活の広域化への対応」「厳しい財政状況への対応」とこれらの問題は緊急かつ適切に対応しなければならない。それとともに、今後の日本は人口減少の傾向におちいり、経済成長もこれまでのような成長は出来ないとされている。その一方で平均寿命が延び、私たちの世代がそれを助けてかなければならない。

その為には、1つの市や村の単独的な行動より、いっしょになってその問題に取り組んでいくべきなのである。

また、交通、情報手段の発達などにより通勤、通学、買い物、医療など、私たちの日常の行動範囲は行政区域を越えて拡大している。

そのためには行政においても、広域的に対応する必要が生じ、区域を越えてのまちづくりを進める事が必要となっているからである。特にわが国では高度経済成長による交通、通信手段の発展があったにも関わらず、市町村の数には殆ど影響がなかったことから、今市町村の広域化が要請されるようになったのである。また、H12年の「地方分権の推進を図るための関係法律の整備等に関する法律(地方分権一括法)の施行により、地方分権の推進は実施段階へと進んでいったのである。これによって、住民に身近なサービスの提供は、市町村の自らの判断と責任において決定し、実行する事(自己決定、自己責任の法則)がますます、重要となってきているのである。その為には、政策立案能力の充実や専門的な能力を有する職員の育成や確保が市町村には求められているのである。

上記に書いた問題において、「少子高齢化への対応」には福祉施設の整備、介護保険の導入に伴う事務などにおいて、財政力の強化や人材の確保など広域的な行政の取り組みが必要となる。また「財政基盤の強化」の対処法としては、市町村の規模を拡大しつつ、財政基盤の強化、行政の効率化を図る事などが必要とされている。

このような事が、必要とされているがこの市町村合併において、どの位のメリットがあるのかについて考えて見たい。

合併の協議に関する支援

有権者の50分の1以上の署名を集める事によって市町村長に※合併協議会の設置を請求できる「住民発議制度」が設けられている。これは住民の意向を尊重する為、住民からも池合併に向けて提案が出来るようにされたものである。

     合併協議会とは合併しようとする市町村は、合併の適否を含め、※市町村建設計画の作成やその他合併に関する協議を行う為設置されるものである。合併協議会の会長及び委員は関係市町村の議会の議員若しくは長その他の職員、学識経験者の中から選出される。

     市町村建設計画とは市町村の合併に際し、合併市町村の将来に関するビジョンを示し、これによって住民が合併の適否を判断するという、合併市町村の基本計画としての役割を指すものである。

合併後の市町村に対する支援

@     地方交付税交付金

これは国から地方公共団体ごとに財源不足額に応じて配分されている。これについては合併後すぐに減らされると思いがちだが、やはり経費の削減もすぐには行えないので合併後10年間については合併前の合算額を下回らないように算定し、その後、五ヵ年において段階的に増加額を縮減するようにしていくので、それ程影響はないのではないかと考えられる。

A     合併特例債

市町村建設計画に基づいて合併後のまちづくりを円滑に推進する上で、特に必要とされる公共的施設の整備、合併市町村の地域住民の連携強化のための基金積み立てに、合併後10年地方債を特別に当てる事が出来る。

B     地域審議会の設置

合併前の市町村区域を単位として地域審議会を設置し、合併後の新しい市町村長に意見を述べる事が出来る。これを設置する目的として合併後には行政区の拡大により、住民の意見が合併市町村の施策に反映されにくくなってしまうという懸念に配慮したものである。

C     地方税の不均一課税の特例

合併関係市町村の間に市長村民税や国民健康保険税などの地方税の賦課かんする著しい不均等が生じる場合が存在する。これを解消する為に、合併後3年に限り、不均一の課税を行う事が出来る。

D     災害復旧事業費の国庫負担金等の特例

合併後5年以内に発生した災害などに対する国の財政援助につき、合併市町村が不利益にならないように配慮するとされている。

E     中核都市による権限の拡大

市町村はその規模によって町村、一般市、特例市、中核市、政令指定都市などに分かれているが、それぞれの持つ権限が異なっており、そして権限が多ければ多いほど市民の期待に沿った行政サービスが出来るとされている。

今年4月に前橋市は特例市となり、一般市にない権限をもつことが出来、都市計画や環境保全の分野で更なる発展が期待されている。これから進められていく合併によって中核都市になれば、それよりも多くの権限をもつ事が出来る。それはつまり、県と同等の政令指定都市に準じた事務事業を行えるようになり、より一層市民の意見の反映が出来る様になると考えられている。

今現在の国と地方公共団体の長期債務残高は平成13年度末で約666兆円に達し、そのうち地方の債務は188兆円を超えている。今後は地方交付税の減額や人口減少による税収減少が考えられる事から、これからの国及び地方の財政状況は厳しい物になるとかんがえられるし、また現在のサービスが維持できるかもわからない状況であると推測される。

この状況の中でこれを維持していく為には個々の市町村だけでは対応しきれないだろう。

それぞれの特色を活用して、新しいまちづくりを進める良い機会なのかもしれない。

今までの枠にとらわれない地域振興策を越えた新しいまちづくりが可能になるであろう。

このようにこれからの時代にとって市町村合併はそれを受ける立場からしても、必要なものとされていることがわかる。私はこの計画が持ち上がったときすぐに反対していた。自分の生まれた村がなくなるのは絶対に許せなかったからである。しかし、今回のレポートで調べていくうちにこれは必要なものであると認識する事が出来た。これからは市町村合併に対し好意的な目で見るとともに、今の自分に何が出来るのかを考えていきたい。