akimotom011203  「地方自治論」レポート

「介護支援」 000101 秋元 麻里

 

 はじめに

 今、私の実家には、94を迎えた曾祖母がいる。今思えば、数年前までは自分のことは自分でやっていたように思う。その曾祖母も今では、介護を受けている。家では寝たきりになり、トイレも食事もすべて母が一緒である。そして、一日おきにヘルパーさんがやってきて、話をしたり身の周りの世話をしたりしてくれている。私は、家の曾祖母なら、きっと大丈夫だろう、という気持ちがあったのに・・・。高齢化社会といわれている現在の社会に、改めて目を向けてみようと思った。実際、確かに生活の中で、高齢者を目にすることは多くなっている。そして、いつかは、私の母もそうなっていき、私も年老いていくのだろう。自分の母は自分で面倒見ていきたいという気持ちがあるが、実際は難しいと、その母に言われてしまった。曾祖母の世話をしながらそう思ったと言う。一日おきに来てくれるヘルパーさんに非常に助かっているそうだ。そういった介護支援について見ていきたい。

 

1.高齢化社会

高齢化現象とは、その社会の人口構造が高齢化していく状態にある社会を高齢化社会と呼び、それが予測されたピークに達した後しばらくはその水準が持続し、やがて下降に転じるまでの間を高齢化社会と呼ぶとされている。人口の高齢化が生ずる一般的な要因は、その社会が近代化していく過程で出生率と死亡率の関係が変動することによって起こる。人口の高齢化はその国々によって、その要因や進行状況および高齢化のピークが異なる。わが国をはじめとして先進諸国は既に人口転換の最終段階に入っていると言われている。そして、これにより生ずる人口の高齢化は21世紀半ばまで続くであろうと思われる。

わが国の高齢化の程度は1990年代前半においては世界の中では中位グループに属していたが、70年代後半から急速に伸び、今世紀前半には世界のトップクラスの高齢社会になることが確実視される。

わが国の急速な高齢化の原因を端的に表現すれば、出生率の低下と死亡率の低下が同時期に、かつ、急激に生じた結果であると言えるだろう。

こうした現在の、人口の高齢化を契機に現れる高齢化社会での課題は、老後生活に欠かせない保健・福祉サービスや年金などの所得保障などの問題がある。こういった課題は高齢者問題にとどまらず、各世代の共通の課題として国民の共通認識の下で進めなければならないのではないだろうか。

 

2.老人介護

 「介護」とは、多くの場合、生活全般にわたってお世話することを言う。お年寄りの老化が進行するに従い、求められる介護の量もふえ、最終的には、1日24時間の介護を必要とする場合も出てくる。しかし、あくまでも介護は、お年寄りの心身の機能低下に伴い、不自由になったことに対して行うもので、老化が進行してもすべての能力が失われたわけではないのだ。残された能力を生かし、自立性を高めるような介護をすることが必要だ。

身の回りの介護 (日常生活動作;食事の世話、体の移動、トイレの誘導、オムツの交換、お風呂の世話、着替え、コミュ二ケーション                                生活関連動作;家事、通院の付き添い、看護的要素のもの、財産管理など)

少子化時代を迎え、子供の数が圧倒的に少なく、介護する側も高齢化している。こうなると、もう家族だけで老いた親の面倒をみるのは限界になってくる。そこで、社会全体で、高齢者の介護を支援しようという目的で生まれたのが「公的介護保健」なのだ。高齢者をかかえた家族が共倒れしないために、地域・社会全体の責任において必要な介護を行う目的で介護保険がスタートした。介護保険を運営するのは、市町村と特別区(東京23区)だが、国や都道府県が財政の援助など、多方面で支援する。

 

<介助者の手助けをする、ロボット:レジーナ>

日本の多くの介護支援者は女性だ。一般に女性が不得意とすることの1つが力仕事である。介護の場合、その不得意な力が強要される。お年寄りが移動するための機器は様々あるが、どれも必ずその機器の上に移乗しなくてはなりません。最も負担になると思われるこの移乗作業を助けるのがレジーナである。これからますます増える高齢者に対応するためには外国人介助者を受け入れる方法とロボット化しかないとだろうと専門家は考えているそうだ。しかし、言葉の壁は高齢者にとっては大きな壁と思われる。そこで、このレジーナは、介助者がレジーナを操作して、力仕事のみをロボットにさせ、心のケアは飽くまで人と人のふれあいで行うことを前提としている、決してロボット自身が介助をするのではないと考案者は言っている。

3.介護支援者

 ここでは、日本とイギリスの介護支援者について見ていきたい。

わが国では、被介護者のニーズについて論じられることはあっても、在宅介護者のニーズになると正面から検討されることもない。被介護者の生活の質については検討されることは多いにもかかわらず、在宅介護者における生活の質になるとどういう訳であろうか問題として指摘されることさえ少ない。だkらこそ、被介護者を援助の対象として拾い上げることはあっても、在宅介護者のニーズとその充足を政策課題として意識することも、これまで乏しいのである。介護者は、無償の介護労働をとして社会に多大な貢献をする。

 この日本とは逆に、イギリスは、在宅介護者にも目を置く数少ない国の1つである。全国規模の定期調査を実施するのだ。このイギリスは、アメリカとともに在宅介護者に関する実に豊富な調査研究を積み重ねてきた国である。ここに日本とイギリスを見たときの3つの相違点と思われるものを挙げたい。

(1)   介護者の範囲 −これはイギリスに限らず諸外国において広い。わが国において介護者とは、高齢の被介護者の世話にあたる人々というのが暗黙のうちに想定される。障害児や障害者の日常生活上の援助を手掛ける人々は、介護を担うと言う事実に違いをもたないにもかかわらず、除外される。イギリスを含む諸外国における理解は、これと明らかに異なる。被介護者の年齢や障害の由来は問題にされない。介護者の範囲を日本ように狭く理解するやり方は政策側にとって財政的にうま味のある話である。

(2)   族介護者 −この言葉はイギリスではこれと言った影響力を持たない。それは、在宅介護者は家族構成員によって占められるわけではないからだ。調べによると、在宅介護者の7人に1人は友人もしくは隣人である。また、3人に2人は、被介護者と別の家に住みながら介護を担う人々である。こういう事実に即して考えると適切出ないと思われる。

(3)   扶養義務者 −扶養義務者の範囲はイギリスにおいて狭い。利用者負担の導入と負担額の引き上げは、イギリス政府の基本的な方針であり、地方自治体の多くはこれに従って利用者負担を導入している。しかし、この対象は、サービスを受ける本人であって、その家族ではない。在宅介護者は、費用負担の拒否を申し出ることもできる。これは、被介護者と同居する在宅介護者も同じ扱いである。費用の負担は、サービスを直接に受ける被介護者の義務である。これは、わが国のおける、同居の配偶者及び子も加えて、利用料の一部を負担させるやり方に比べると、明らかに狭いことが分かる。これが、イギリス、北欧諸国(デンマーク・フィンランド・ノルウェー・スウェーデン)やアイルランドの法的な特徴である。

ここで、ロンドン・サットン自治区に少しふれたい。

ここでは、在宅介護者は児童であったり、成人であったり、親もしくは親戚、友人、隣人であったりもする、と定義している。この地区は自治区の在宅介護者支援計画の発足において、先駆的な地区として全国的に有名な自治体として知られている。それは、1985年にさかのぼる。そして、在宅介護者の登録制度、在宅介護者憲章の制定についても同じことが言える。

 次に在宅介護者が抱える負担について述べたい。これは、日本も、イギリスを含む諸外国にも同様に言えることである。まず1つに、金銭的負担。介護に押されて仕事に支障がくることがあるにもかかわらず、公的な手当ての額は少ない。2つ目に実際的で、日常的な負担。これは、日々の介護作業に向き合うことから生ずる。3つ目は、情的な負担である。介護者は、被介護者と向き合うことと引き換えに、自信の社会生活の一部もしくは全部を犠牲にする。

 

おわりに

 わが国にはまだまだ多くの問題があると思われる。介助者の手を助けるためにと機器が開発され、進歩を遂げているように思われるが、諸外国の例を見ると、日本はますますの考慮が必要だということが分かる。

 現在では、日本にも多くの介護団体が存在することは承知のことである。その1つを紹介しておく。私が取り上げたのは、「全国介護支援ネットワーク」と言う団体である。この団体は、各都道府県において活動されている会員企業と共に、行政・地域医療福祉機関・大学・研究機関・関連組織等と連携し、より良い社会基盤整備のあり方地域に根ざした仕組み作りについて、情報交換・手法の検討・調査・研究を行うと同時に、提言・要望・開発・販売その他営利を目的とした活動を行っている。介護をするということは、大変な仕事だが、少しずつ介護に対する社会的な認識も広まり、様々な情報も数多くなってきている。それを活用し個々の負担を軽減していけば、介護の長続きの秘訣ともなるだろう。あせらずに、あきらめずに、の気持ちが必要である。

 まだ課題となるところは多く残るが、それは日々改善されていくように思われる。今の日本の社会は明らかに段階を踏んで進んでいるように思う。これからの変化に目を向けて、私自身ももっと考えていきたい。

 <参照サイト>

http://www.kaigo-net.org/

http://www.nsknet.or.jp/~morix_am/Regina1.html