113417kobayashia
小林麻紀「栃木県の市町村合併」
1.このテーマを調べるにあたって
以前、マスメディアで、岩舟町の合併構想における住民投票の結果を扱ったものを目にした。その時に初めて岩舟町や周辺の市町村が合併の意向にあることを知り、なぜ合併が行われようとしているのか、合併のメリットは何か、今栃木県南部の市町村の合併に向けた動きはどの様な現状なのか、そもそも合併とは何かを調べてみようと思った。
2.栃木県内の合併状況
全国で見てみると、平成11年3月31日に3232あった市町村は平成18年3月31日には1821になっており、7年間でおよそ半数近くになっている。栃木県内を見てみても、平成11年に49あった市町村は平成23年には26の市町村(14市12町)へと再編された。
[合併の概要][i]
平成17年には、黒磯市、西那須野町、塩原町が新設合併して那須塩原市、佐野市、田沼町、葛生町が新設合併して佐野市、氏家町、喜連川町が新設合併してさくら市ができ、湯津上村、黒羽町が大田原市に編入合併して大田原市ができ、南那須町、烏山町が新設合併して那須烏山市ができ馬頭町、小川町が新設合併して那珂川町ができた。平成18年には粟野町が鹿沼市に編入合併し、南河内町、石橋町、国分寺町が新設合併して下野市ができ、日光市、今市市、足尾町、栗山村、藤原町が合併して日光市になった。平成19年には、上河内町と河内町が宇都宮市と編入合併した。平成21年には二宮町が真岡市に編入合併した。平成22年には栃木市、大平町、都賀町、藤岡町の新設合併で栃木市になり、平成23年には西方町がその栃木市に編入合併した。
3.なぜ今、市町村合併?〜平成の大合併〜[ii]
では、なぜいま市町村合併が各地で進められているのだろうか。その理由は以下のように挙げられる。初めに、地方分権により市町村の役割がより重要になったことだ。平成12年4月に地方分権一括法が施行されて地方分権が進められ、環境・福祉などを担う市町村の役割が重要視されてきた。次は、少子高齢社会に対応できるまちづくりをするためだ。医療、福祉の需要が増大する中、市町村が提供するサービス水準の確保が求められる。三つ目に、広域的な行政需要が増加することが予想されるからだ。交通網の発達や情報ネットワークの整備により人々の生活圏は市町村区域を越えて拡大している。それに合わせた行政需要が必要になるだろう。最後に、構造改革推進への対処が必要である事だ。国・地方を通じ厳しいいまの財政状況では国に援助を期待するよりも市町村が自立して行財政基盤を強化することが大切。
4.メリット、デメリット
メリットとしては、住民の利便性・サービスの高度化、多様化重点的な投資による基盤整備の推進・広域的観点に立ったまちづくりと施策展開・行財政の効率化・地域のイメージアップと地域活力の増進・住民参加によるまちづくりの進展が挙げられる。デメリットとしては、税金や料金の値上がり、行政サービスの低下・役所が遠くなる事による不便
・中心部だけよくなって周辺部が取り残される可能性・地域コミュニティー(歴史、文化、伝統)の喪失が無きにしも非ずということが挙げられる。
5.岩舟町の、合併への動向
[岩舟町の概要]
岩舟町は、栃木県南西部に位置する、下都賀郡に含まれる町である。人口は約二万人。
財政面でこれから先の生存が危ぶまれる為、合併に積極的な姿勢を示してきている。
[これまでの経緯][iii]
・2003年−5月には岩舟町、大平町、藤岡町の3町による合併協議会が設置されたが、事務所の位置などを理由に合意に至らず翌年3月に協議会は廃止された。
・2007年7月9日−栃木地区1市5町による合併に向けた栃木地区広域行政首長懇談会が設置される
・2007年11月13日−県市町村合併推進協議会で栃木地区1市5町による合併、それに小山地区1市1町を加えた2市6町での合併の二案のうち1市5町での合併を先行することを決定。
・2008年7月27日‐合併先を問う住民投票により、これまで町が進めてきた「1市5町での合併」を上回って「1市1町での合併」が選択された為、栃木地区1市5町での合併構想から離脱。
・2008年後半〜2011年‐佐野市との1市1町合併協議会が設置→廃止、栃木市・岩舟町合併協議会設置議案の可決→否決、前町長のリコール→新町長の就任、岩舟町の中の佐野派と栃木派の対立などの紆余曲折。
・2011年4月8日‐栃木市・岩舟町合併協議会が設置される。
・2011年8月28日‐住民投票。投票は三択で、「栃木市と合併する」が6485、「佐野市と合併する」が5037、「合併しない」が280票となる。これを受け、佐野派の茂呂町長は佐野市との合併協議会の廃止(10月31日付)を表明し、辞任をほのめかす。
・2011年9月22日‐町長は栃木市との合併を進める考えを表明。
・2011年11月21日‐茂呂町長、辞職。
・2011年12月20日‐町長選挙と町議会議員補欠選挙がおこなわれ、町議選は栃木市との合併を推進する住民団体「岩舟町を考える会」副会長の市村隆、町議補選は同会幹事の鈴木孝雄の一人ずつしか立候補の届け出がなかったために両者の無投票・初当選が決まった。
6.考察
合併は、それに伴い様々な議会などの組織が関与するものであり、住民にとっては大きな問題なのだということがわかった。だからこの岩舟町のように合併までに長い期間がかかってしまうことは仕方がないことかもしれないと思う。だが、実際に、町にとって良い決断とは何なのだろう?県や町は、住民に判断をゆだねているような姿勢に見えるが、果たしてそれでよいのかという疑問も生じた。