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針生綾子「震災における金銭面での支援と
1.テーマ設定の動機
2011年3月の震災後も何度か仙台に行っているが、そこで仙台在住の親戚から、震災について様々な話を聞いた。その中でも、義援金など役所が絡むことについての話に興味をもったので、
2.義援金の手続き・種類について
まず、義援金の手続きが大変であるという話を聞いたので、どのような手順を踏むのかまとめてみる。義援金の配分は、日本赤十字社など4団体と岩手、宮城など15都道府県から構成される「義援金配分割合決定委員会」が設置され、死亡・行方不明者1 人につき35 万円を遺族に、また全壊被害に一戸あたり35 万円を配る方針が出された。これをもとに、各都道府県に配分され、県に寄せられた義援金を上乗せするなどして市町村から被災者に渡される。(2011年4月8日時点)[1]基本的に、義援金の配布には「申請書」と「身分証明書の写し」を必要とする。それも、義援金の種類ごとにそれぞれ書類を用意しなければならない。
項目は大きく分けて3つあり、1つ目は人的被害に対するものである。これは死亡・行方不明者のいる世帯に配布される。2つ目は住家被害に対するものである。これは自宅の損害状況によって配布されるものである。3つ目は高齢者や子供の支援に対するものである。これは世帯に未成年者や重度障害児・者などがいて、かつ、住家に半壊以上の被害があった世帯に配布されるものや、両親を失った未成年者に配布されるものなどがある。[2]この3つの中でもさらに細かく項目は分かれており、それぞれの申請には書類一式が必要である。
また、住家被害に対する義援金の申請には、住居の被害認定も必要であり、これは自治体職員が調査し、その結果を罹災証明書にして交付する。しかし、甚大な被害を受け、混乱したさなかで被災自治体のみで適切かつ迅速な調査や手続きの実施は困難である。そこで全国的な応援の強化が行われたが、それでも
3.義援金のシステムについて思うこと
このことに対して私は、もう少し柔軟な考え方をしたほうがよかったのではないかと考える。たとえば、確定分だけでも先に配布をする、役所内の人員配置を適切に行うなどである。この震災では、被害の大きかった人が多く、また、逃げるのに精いっぱいで、所持金があまりない人もいたと考えられるので義援金の配布は可能な限り早くすべきではなかったかと思う。先立つものがなくては何もできないのは明白であるからだ。また、住居の被害認定には航空写真等も利用して、少ない人員で素早く行うとよいのではないかと思う。この調査も重要であるが、人員が足りない中で、最新の技術を利用しないのは効率が悪いのではないかと思う。
さらに、
4.
被災者生活再建支援制度では、
大規模半壊・半壊して住宅をやむを得ず解体した世帯・敷地に被害が生じ、その住宅をやむを得ず解体した世帯が対象となる。[5]津波の被害に注意が行きがちだが、この震災では地震の被害も大きく、住居が壊れてしまった世帯も多々ある。
5.その他支援について思うこと
このように数多くの支援があるのはよいのですが、これは同時に申請の複雑さと、受付側の負担を増大させてしまうのではないかとも思う。件数が増えるほど全体の進度が遅くなるだろうし、分かりづらい制度を、大震災という精神面で落着けない状況下でしっかりと活用するには大変な労力を使うことになるだろう。
また、先の見え辛い制度では、予定を立てることもままならない。これでは何もできずに時間だけが過ぎていくことになるだろう。この推測から、私は制度をもう少しわかりやすくした方がよいのではないかと思う。素早い対応とわかりやすいシステムならば、被災者の不安を少しでも軽減することができるだろうし、受付も素早くなるので、被災者の手元によりはやくお金が渡されるのではないかと考える。給付が早くなることで、被災者の精神的負担と傷は大きく、それがもとで病気になったり、亡くなっている人もいるのだから、それらを少しでも解消できるならば、とても意味のあることだと思う。
この未曾有の大災害を受けて、日本は制度の簡素化など数多くの調整を行い、非常時における役所人員の配置と対応を考え直すべきであるように思う。災害時にはやはり、政治・政府と自治体の対応でその後の復興スピードが左右されてしまう。政府が曖昧な態度をとりもたつくほどに、地方自治体は動きにくくなり、地方自治体が動かなければ、被災者への直接的な支援はかなり減ってしまう。そうすると、モチベーションも下がり、復興への意欲がどんどん削がれていくことになりかねない。地震大国といわれる日本で天災である地震は避けられないのだから、大きな力をもつ、政府・自治体が日ごろから備えておいてもよいのではないかと思う。
[1] 国立国会図書館HP (2011年5月30日現在)
「被災者生活支援に関する制度の現状と課題 ―東日本大震災における対応と課題―」http://www.ndl.go.jp/jp/data/publication/issue/pdf/0712.pdf
[2]
http://www.city.sendai.jp/hisaishien/1-3-8gienkin.html
[3]
http://www.city.sendai.jp/report/2011/1198475_1413.html
[4]
http://www.city.sendai.jp/hisaishien/1keizai.html
[5]
http://www.city.sendai.jp/hisaishien/1-3-1saiken.html