120123fusegim

 

伏木麻友「家庭用風力発電と今後のエネルギー問題」

                       

3.11の福島の原発事故から、安心安全な再生エネルギーに注目が集まっている。ここでは、一般家庭でも使える風力発電について考察していきたい。

 

1.風力発電とは

風力発電とは、再生可能エネルギーの一種である。自然の風の力によって風車のプロペラを回し、電気を生みだそうという発電方法である。日本における再生可能エネルギーといえば太陽光発電だが、2011124日に行われた第177回通常国会では、「電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法」が可決された[1]ため、風力発電の開発も進められると思われる。

 

また、風力エネルギーは受風面積に比例し、風速の3乗に比例する性質を持つ。[2]このため、太陽光よりもエネルギー変換効率が高い発電方法なのである。

 

日本各地には多くの風力発電機が設置されている一方で、一般家庭の屋根に電気を自給自足できるような太陽光パネルがあるのと同様に、風力発電にも小型で一般家庭に設置できるようなものもあるようだ。

 

2.風力発電はなぜ普及しないか

前述した通り、風力発電には太陽光発電に負けないくらいの多くのメリットがある。では、どうして風力発電は普及していかないのだろうか。まず風力発電のデメリットから普及しない原因を探っていく。

 

まず考えられるのは、風力の不安定性である。風力発電は一度回り始めれば微風でも回っていられるという特徴があるが、止まっている状態から回り出すには一定以上の風力が必要となる。逆に、風が強すぎる場合はブレーキをかけて回転数を制限しなければ発電機がオーバーヒートを起こし発火する可能性がある。[3]このように、風力発電は太陽光発電と違って夜間の発電ができるというメリットはあるが、地域によっては風が弱過ぎて発電できなかったり、強すぎてブレーキを掛けた結果、発電効率が落ちるということが起こってしまうのだ。

 

意外と問題となるのは、風力発電の落雷による事故である。落雷の被害を受けた風力発電機の修理費はかなり高額になる。日本の年間の落雷の被害件数は23件にものぼり、これは風力発電を実施している他の国々に比べても高い数字である。今後、日本に風力発電を普及していく上で、落雷への対応は大きな壁となる。[4]

 

風力発電機に鳥が接触する事故、いわゆるバードストライクは風力発電においては有名な課題だろう。バードストライクにおいて問題となるのは、絶滅危惧種に指定されている鳥である。どうやら同様にして絶滅危惧種に指定されているコウモリ等も被害にあっているようだ。[5]これらの野生動物が風力発電によって数を減らしてしまうのはとても悲しいことだ。この問題についても早急に対策がとられるべきである。

 

3.進化し続ける風力発電

日本でも多くの企業が、風力発電を日本に普及していこうと研究を続けている。ここでは、そのひとつ、株式会社シグナスミルの開発した小型風力発電機「シグナスミル」を例に挙げる。[6]

 

シグナスミルは、まず従来の風力発電機とは全く異なるその形に特徴がある。普通の風力発電機が一定方向から風を受け、発電を行うのに対し、シグナスミルはプロペラが発電機を囲むように取り付けられ、全方向からの風に対応することができる。こうして日本の季節風にも対応した作りとなっているのだ。このシグナスミルの形状は、町の景観に溶け込みやすく、景観を壊しにくいという点もある。

 

また、シグナスミルはその構造に太陽光発電を有したものになっている。風力は常に一定ではないため、シグナスミルのシステムが消費する電力を発電量を越えることができなければせっかくの充電された電力を消費してしまう。そこで、システムが消費する最低限の電力を賄うために太陽光パネルと連動したハイブリット構造となっているのだ。

他にも、シグナスミルには回転数が低いため騒音が少ない、微風でも回転を始めることができるなど、風力発電の弱点のいくつかを克服したものとなっている。

 

風力発電の開発を行う企業はここだけではない。今後も多くの風力発電が開発され、日本の風力発電を推し進めていくと思われる。

 

4.今後の日本と風力発電

1で述べた通り、「電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法」が可決されたことにより、今まで太陽光発電に偏りがちだった日本の電力事情は少しずつ変わっていくはずだ。

 

私が考える今後の日本の自然エネルギーの未来像は、太陽光発電を支柱として、各種再生可能エネルギーでエネルギー不足を補う形が望ましいのではないかと思う。前述の法律で買い取りが行われる自然エネルギーは風力のほかにも、水力、地熱、バイオマスなどのエネルギーが挙げられている。地熱や水力に関しては発電が行える地域が限定されることも考えると、各エネルギーを各地域にあった形で発電していくのがいいと私は考える。

 



[1] 株式会社日本ビジネス出版「風力発電などの全量買取制度」(20121月現在、以下同)

http://www.kankyo-business.jp/energy/feedintariff.html

[2] ゼファー株式会社「小型風力発電のゼファー株式会社」

http://www.zephyreco.co.jp/

[3] 斎さん「すごい家庭用風力発電!!: シルバー斎さんの「セカンドライフ」体験記!!」

http://saisan.cocolog-nifty.com/blog2/2010/05/post-cf3c.html

 

[4] 「落雷対策.com

http://xn--het624ek9f58t.com/

[5] 「風力発電とバードストライク 追記あり - ならなしとり」

http://blog.goo.ne.jp/micropterusandsalmo/e/66dc39f2673d7631f90f2c5813a8b2fe

[6] 株式会社シグナスミル「::: CYGNUS MILL :::」

http://www.cygnusmill.co.jp/index.html