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中平智也「現在の奨学金制度と実態」

 

・テーマの選択理由

私がこのテーマを選択したのは、私が奨学生であり、その制度を詳しく知らないことと、奨学金の未返済のことについて取り上げられることが増えており、なぜこのような状況になっているか現状を理解したいと思ったからである。

 

・日本学生支援機構のしくみ

まず、奨学金制度とは、能力のある学生が金銭的、経済的理由で進学、修学が難しい場合、金銭の給与、貸与を行う制度である。

特に、日本学生支援機構は大学生が借りること主だった団体である。

(*2)日本学生支援機構には、奨学金の種類が2種類あり、第1種奨学金と第2種奨学金の2つに分かれており、第1種奨学金は無利息で借りることができ、第2種奨学金は利息つきの奨学金である。「日本学生支援機構」は高校卒業見込みで進学する希望がある人つまり大学進学希望者に貸すことを原則としている。基本的に奨学生は全額返還が義務付けられているが、例外として返還免除となる人もいる。主だった例は死亡した場合や大学院に進学し、在学中に特に優れた業績を上げた人などが返還免除となる。

 

・現在の問題点

(*1)平成21年度末に発表された未返還の奨学金は777億円にも膨らんでいる。

そのため、第1種奨学金の貸与条件を満たしていても、同機構の原資不足により第2種奨学金の貸与にならざるを得ない人もいる。しかし、条件は満たしているのに第1種を借りられず、第2種の利息を含んだ奨学金を借りてしまうのは返済額が明らかに変わってしまうので不公平なのは事実である。

 リーマンショック以降、長引く不況のためもあり、奨学金を借りようと思う保護者が増加傾向にある。しかし、前述したように原資不足は解消するわけではないので、同機構の原資不足は進む一方に考えられる。

 (*2)不況のために奨学生が就職できず、アルバイトや派遣の給与では奨学金の返還が満足いかない人が増えていて返したくても返せない人が増加傾向にある。さらに、その一部の中には就職難は国策の問題だから自分には非がないと思い込んで返済をする必要がないという理由で払わないという人がいる。これは、言い方を変えると借金を返さないと宣言しているようなものである。現在の社会状況を理由に返済をできないと思い込んでいる人が増加傾向にあるようだ。

 

・現在の日本学生支援機構の対応

 (*3)先に挙げた問題点において同機構が現時点で取っている対応のまず1つ目は、最大の原因である原資不足の点においては文部科学省が同機構への政府貸与金を増額するなどして、こうした事態を解消する方針であるそうだ。

 2つ目の対応は、奨学金の貸与条件の緩和である。不況のため、奨学金貸与希望者は増加の傾向にあるため、それを考えた対応であると思われる。今春の国公立大学の新入生からは年収951万円以下のサラリーマン世帯か、465万円以下の自営業などの世帯で、高2、3年当時の平均成績が5段階評価の3.5以上を満たしているなら必ず第1種を受けられるようにするようだ。大学2年制以降も無利子を受けるための条件を今後5年で大学の成績が上位4割であればよいものに緩和されるそうだ。

 3つ目の対応は、返還が満足にいかない人は所得が充分でないこと証明することで10年間返還額を半額にすることができる制度を昨年から導入した。返済期間は延びるが低所得でも、確実に返還をしてもらうための制度である。

 4つ目は、対応というより手段の1つだと思われるが奨学金の未返還に対しての法的手段を強化するなどの方針を進めているが、これ以上未返還者が増えれば、奨学金制度のそのもののありかたを見直す意見もでているようだ。

 

・意見、感想(まとめ)

今回、奨学金の現状を調べてみて私が思ったことは、現在の日本の社会状況からの影響があると考える。現在、就職難のため学習の延長が進み、さらに、リーマンショック以降不況が悪化し、大学に進学したいがお金が満足にないので、奨学金貸与希望者は増加する傾向が強まっている一方、同機構の原資不足が奨学金の問題になっていると思う。

借りる側からしたら貸与条件の緩和は現在の社会状況においては救いの種になると思う。しかし、日本学生支援機構側としては規制の緩和と奨学金貸与希望者の増加により多くの財源が必要となってしまう。加えて、返還が満足にいかない人、未返還者の増加により777億円の未返還もあり、苦しくなる一方だと思われる。文部科学省がいくら政府貸与金を増額しても奨学生は増える一方、返還は満足にいかないので私は原資は減る一方だと考える。未返還者は、住所が分からなくなった人もいて、返還を促すこともできない状態にある人もいる。

 未返還金が増えるのは、奨学生自身に問題があり、確実な返還方法を作ることは出来ないと私は考える。奨学生それぞれが自分は奨学金という借金をつくって学習している、もしくは、したという自覚を持つことが必要だと思う。奨学金は将来使うであろう人たちのためにも返還しなければならない。それが、将来の日本の産業などの発展にもつながると思う。

 奨学生が増えることは現在の日本の状況からしてみると仕方がないことだし、悪いことではない。しかし、奨学金制度は循環することで成り立つので、不況による財源不足は仕方がないが返すことが絶対条件だと考える。日本のためにも返還は絶対しなければならない。

(*1)MSN 産経ニュース

http://sankei.jp.msn.com/life/education/101003/edc1010032126002-n1.htm

(*2)独立行政法人日本学生支援機構−JASSO

http://www.jasso.go.jp/

(*3)どんぐり倶楽部オンライン・記事データベース

http://dataonline.sblo.jp/article/41488901.html