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村上澪生「普天間基地移設問題の解決のために」
昨年から話題になることの多い沖縄県の普天間基地移設問題について、前々から日本とアメリカとの同盟関係について疑問があり研究したいと考えており、いい機会だと思いこの問題を取り上げることにした。
この問題は、移設に関する賛否が大きく分かれている。賛成側の意見として、建設工事の受注増が期待されること、既に経済振興策として九州・沖縄サミットや沖縄科学技術大学院大学・国立沖縄工業専門学校の設立を行っていることなど、移設による経済効果を期待する意見や、アジアで紛争が起きた際(紛争が予想される)各地点からの距離の面で優位に立つことができる、という意見がある。一方、辺野古の埋め立てによる自然破壊や基地移設の財政負担が増えること、航空機の航続距離が延びたことにより第三海兵隊遠征軍の沖縄常駐の必要性が低いと考えられていることを反対の理由として挙げている。また、国道沿いに基地があることで渋滞を引き起こしていることや、基地が広すぎて用地確保ができていないという沖縄県の地域振興の妨げになっていること、訓練の際に使用される薬品などで汚染された跡地利用の問題も反対理由である。
そもそも、アメリカはなぜこのようなさまざまな問題を抱える沖縄という土地に基地を置いているのだろうか。理由はいくつかある。第一に、沖縄返還の際に縮小されたものの、日米安全保障条約により当時の名残として現在まで存在してきていること、二つ目に沖縄のある位置にアメリカの基地があれば、ロシア・中国・朝鮮半島・さらには東南アジアへのけん制やもし紛争などが起きたとき即座に対応できること、三つ目に、いわゆる「思いやり予算」で日本がアメリカ軍に必要以上の生活水準を保障してきたことが挙げられる。
これらを踏まえて、最善と考えて制作されたのが辺野古への移設案である。この、普天間基地移設問題に対する日本の方針は全く定まっていない。昨年中に方針を示す予定が5月に先送りになってしまった件についてはアメリカ側からの理解は得たと報じられている。しかし、鳩山首相は県外・国外移設を行うと発言したものの、そのめどは立っていないどころか立たない可能性すら浮上している。今では名護市長選の結果町という状態である。下地島などの孤島への移設も唱えられているが、15日の自民党の谷垣総裁をアメリカの上院議員のダニエル・イノウエ氏との会談では、この案はアメリカに間違ったメッセージを伝えてしまうとして懸念されている。首相以外が打ち出した方針の一つとして岡田外相が嘉手納基地との統合案を提案していたが、住民の強い反対により断念された。また、国民新党の下地幹朗政調会長は嘉手納基地で行われている一部訓練を関西国際空港で行うことを提案している。
このように、国内でも複数の意見や対応に分かれており、日本国内での足並みは揃わない。この日米関係が悪化するのではないかと日々報道されているという状況がある一方で、日本の対中関係が改善されつつあるというアメリカからすれば何とも複雑な事態が起きている。鳩山首相は対米・対中関係をどのように維持していくかという決断も迫られている。この普天間基地移設問題について韓国の柳明桓外相は「沖縄の基地は朝鮮半島有事に在韓米軍の後方基地として重要な役割がある。大きな関心を持っており、円満に解決されることを望む。(※引用)」とコメントしている。北朝鮮が韓国との休戦協定を平和協定に変更することを提案しており、韓国のこれからの対応に影響する可能性も否定できないだろう。実際に研究してみると、施設をどこに移すか(国外・県外・現行案のどれを選択するか)ということも問題であるのだが、それ以上に沖縄県内だけで、戦後日米間で取り決められた日米地位協定や跡地利用の問題、住民投票がほとんど反映されていないこと、この「100年に一度」といわれる不況の影響を受け雇用対策が進んでいないことなど、さまざまな問題が複雑に絡み合っており、この問題解決ができないままに今に至ってしまいこのような問題を引き起こしていることが分かった。また、この問題は韓国外相がコメントを出しているように、他国の関心事でもある。この普天間基地移設問題が起きた原因は、両国の立場が終戦直後とは異なり日本が徐々に交渉できるようになったこともあるだろう。だが、ここまで複雑になってしまった現状の根底にあるのは、住民投票の軽視とも取れる自治体などの認識や日米地位協定の見直しの遅れなどの県政や国政の対応の遅れにあるのではないだろうか。基地問題という難しい問題でありこれから時間をかけていくべきことではあるが、この県政などの対応の遅れを取り戻さずして早期の問題解決はできないと考える。そのために、まずは「なぜ辺野古か」という理由を、この沖縄という場所に米軍基地があるという事実だけで近隣の国々にプレッシャーをかけていることにより日本が守られているとまでは言えないが、少なくともそれは日本の自衛隊で実現することは不可能に近いことや雇用対策・経済刺激にもなりうることを含め、現地の人々に明確に伝わるようまた一から説明し理解を得ることが最優先である。それだけでは理解が得られないのであれば、アメリカの要望でもあるので基地の場所は変えないことは前提とし、住民の生活不安を解決するための要望を取り入れた妥協案を作成する。それがアメリカの協力なしには実現不可能であるならば、そこを交渉し、かなえるということが国と県・市の役割ではないだろうか。この問題を研究してみて、何をするにしても理解を得ることは容易ではないがそのために何ができるかということを考えることが重要なのだと思った。
参考
「辺野古への移設が最善という姿勢は崩さず」Yahoo!ニュース1月15日配信「先送り」米側が理解
http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-155685-storytopic-53.html
なぜ沖縄に基地があるのか
・NHK週刊こどもニュース「09/11/07放送 どうなる?普天間基地」
http://www.nhk.or.jp/kdns/hatena/09/1107.html
・Fe-MAIL 普天間基地移設問題
http://www.fe-mail.co.jp/lifestyle/obaka2/91203.cfm
・訓練など一部施設を関空に1/15配信 毎日新聞
http://mainichi.jp/select/seiji/news/20100115k0000m010126000c.html?inb=yt
※韓国外相「普天間の円満解決を」天皇訪韓は日本の判断 - 47NEWS
http://www.47news.jp/CN/201001/CN2010011401000625.html