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平田龍司「奄美群島の少子・高齢化問題とその対策」

 

 まず、私がこのテーマを設定した理由から述べたいと思う。私の地元である奄美大島は合計特殊出生率が日本一高いと言われているのにも関わらず、少子・高齢化が大きな問題となっている。しかし、私自身、ただ少子・高齢化問題のことを耳にしたことがあるだけで、鹿児島県あるいは奄美群島自身がどのような対策を取っているのか、ということまでは知らなかった。そのため、この授業を良い機会に「奄美群島の少子・高齢化問題とその対策」というテーマで調べてみようと思い、このテーマを設定した。

 

1、          鹿児島県奄美市・奄美諸島の概要

   奄美市は2006320日に名瀬市、住用村、笠利町が合併し、人口が49,617人(200510月の国勢調査による)として誕生した。奄美市は鹿児島と沖縄のほぼ中間地点に位置する奄美群島の中心都市で、豊かな自然と、島唄や八月踊りなどの古くから伝わってきた文化を持っている。奄美群島の高齢化率は27.3%であり、鹿児島県平均より3%上回っている。また、高齢者人口(平成169月時点)は、10万人当たりの100歳以上の高齢者の比率は240.25人と多くの比率を占めている。上でも述べたように、奄美大島の合計特殊出生率は日本一高いといわれている。日本には約2000ほど市町村があるが、その中で、出生率トップ20の中に奄美諸島の市町村が7つも入っている。それに対して、人口あたり100歳以上の高齢者が全国平均の4倍になっている。

   このようなことの背景には、奄美群島の持つ自然環境の豊かさや食文化、個性的な地域文化が存在している。そのようなことから。奄美は群島の自立的発展の促進を

  目的とした『奄美長寿・子宝プロジェクト』を展開している。

http://www.mlit.go.jp/kokudokeikaku/souhatu/h18seika/11chiiki/11_naikaku_12honpen7.pdf#search=’奄美

  http://www.amami-museum.org/info/kodakara3.pdf#search’奄美 

 

2、          少子・高齢化のために生じる問題

 少子・高齢化問題のために生じる問題の例として、実際に私が知っていること・調べたことを挙げたいと思う。まず、高校の合併問題。この問題は私が高校を卒業してから知ったことである。奄美大島には、大島北高校・大島工業高校・大島高校・奄美高校・古仁屋高校の5つの高校がある。現在の計画では、大島高校と奄美高校が合併、大島工業高校と大島北高校が合併という形で話が進んでいるようである。高校同士の合併が起こる理由として、少子化による子供の数の減少で、定員割れが生じ、このままでは高校の現状を維持していくのが困難であるということが挙げられる。

 また、老人医療が高くなるという問題も生じる。これは、当然のことで、高齢者率が高くなることで老人医療は高くなる。

 こういった問題に対して奄美群島は県と協力していろいろな対策を行っている。そのことを次で述べたいと思う。

 

3、          県・奄美群島の少子・高齢化に対する対策

 奄美群島の市町村は県と協力していろいろな対策を行っている。まず、調べていった中で私が興味を持った対策を挙げたいと思う。

 はじめに、「鹿児島子育てパスポート事業」について説明したいと思う。「鹿児島子育てパスポート事業」の目的は、市町村と共同で、子育て家庭を援助したり、子育て家庭の負担感を軽減していくことを目的としている。対象者は鹿児島県内に在住する妊娠中の方及び18歳未満の子供がいる世帯となっている。仕組みは、事業に協力している企業や店舗が、パスポートを提示した対象世帯に割引や独自の優待サービスを提供するという仕組みになっている。ここで、「鹿児島子育てパスポート事業」の奄美市の例を二つほど挙げたいと思う。

まず、奄美市には「鳥料理と地鶏の鳥しん」という店があるが、ここは、事業対象者に対して地鶏スープ、または焼き鳥を45本サービスしている。

ほかにも、「居酒屋大吉」という居酒屋では、事業対象者に対して、子供一人につきジュース一本といったサービスを行っている。

このように、小さなサービスではあるが、こういった小さな取り組みが今後につながってくるのだと思う。

 次に、「鹿児島出会いサポート事業」について説明したいと思う。まず、概要として、若者に自然な出会いの場を提供し、結婚のきっかけづくりを支援するとともに、地域全体で結婚を応援しよう、というのが概要である。企画として、スポーツイベントやセミナーパーティーなどの幅広い企画がなされている。ここで、イベント内容の例を二つほど挙げたいと思う。

 まず、「島人(しまんちゅ)懇親会」について。この懇親会は、即興演劇を通じて、参加者の表現力・コミュニケーション能力を高めた後にパーティーで交流をする、という面白いもので、奄美群島の一つである徳之島町で開かれた懇親会である。

次に、「星Full島の天の川」について。これは、沖永良部島の和泊町で開かれたイベントである。沖永良部島の特色を生かし、タラソセラピー体験、天の川観察など、23日のスローライフの時間を利用し、男女に出会いの場を提供した。

 この二つのイベントは、参加者数が共に30人を超えており、共に2組のカップルを出している。

 このように、少子化を防ごうと独特な対策を行っているわけだが、私が冬休みに帰省した際に、地元の子持ちの方、または独身の方にこのような対策を知っているか、あるいは利用しているかを聞いたところ、全員「知らない」と答えた。このことから、上で述べたような対策が、まだ地域全体に浸透していないのではないか?と私は考える。やはり、こういった対策は地域によって格差が生じるものなのだろうか。

http://www.pref.kagoshima.jp/__filemst__/35448/16amami090101.pdf

 次に、高齢化に対する対策を述べていきたいと思う。

 まずは、福祉の充実という点から述べたいと思う。奄美群島は、出生率と高齢化率が高いことに注目しつつ奄美の環境の良さにも注目しながら環境整備に推進している。

 高齢者福祉については、保険・福祉・医療部門との連携をはかりつつ地域で高齢者を支えあう体制づくりをしている。また、高齢者の技能・技術や豊富な経験を積極的に活用するために、シルバー人材センターや老人クラブなど、高齢者団体等の支援に努めている。

 二つ目に保険・医療の点から述べていきたいと思う。まず、市民の健康づくりにおいて、高齢者だけでなく、全市民を対象に、安心して暮らせる街づくり進めている。また、診療所においても市民の健康管理および増進に努めている。さらに、老人等の在宅療養者の生活を支援し、病気の予防、健康管理などの増進に努めるために、訪問看護も推進している。

 介護保険においても給付費の適正化を図り、安定した運営に努めており、持続してサービスが提供できる体制を整えている。

http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-2116-storytopic-11.html

 

4、意見・感想(まとめ)

   私が調べていく中で思ったことは、少子・高齢化問題や、出生率問題は結局は子育てする気になる風土・土地柄が関係しているのではないかということである。東京は所得が多いにも関わらず、出生率は低い。奄美群島や沖縄は所得が低いのに出生率は高い。こうしてみると、この問題と所得とは、一概には言えないが関係ないのではないか?と私は思う。奄美群島や沖縄県の合計特殊出生率が全国に比べ高いのは、やはり安心して暮らすことができ、安心して子育てすることができる環境があってこそではないであろうか。また、高齢者が多いことの一つの理由として、自然の豊かさや固有の食文化があるからだと思う。豊かな自然や固有の食文化は、健康寿命をのばすのにふさわしいのとともに、精神的にも癒しを与える、健康づくりや癒しに最適なものであると思う。奄美群島の長寿・子宝の特徴はこのような群島特有の資源を背景に形成されてきたものであると思う。

   また、現在は、奄美群島のこのような背景から、鹿児島県において、群島全体を少子・高齢化に対応したモデルとして、長寿・癒し等の資源を活用した産業・観光の振興を進め、問題を解決していこうという動きがなされている。

   このような、すばらしい環境下にある奄美群島を発展させていくためにも、少しずつでも少子・高齢化問題に対して対策を取り、「長寿・子宝の島」を広めていくべきであると私は思う。