081027gen

 

<追加経済対策の主な項目>

―生活者対策―

     所得税・個人住民税の定額減税2兆円規模で実施

     住宅ローン減税の延長・拡充

     保育園定員増のための「安心こども基金」の創設

―金融、企業活力向上対策―

     公的資金で金融機関に資本注入する金融機能強化法の復活

     破たんした生命保険会社の契約者を保護するための公的支援を延長

     中小企業の資金繰り支援

     企業の省エネ設備投資や研究開発を促す減税

     証券優遇税制の延長・拡充

地方対策

     地域経済活性化のための臨時交付金創設

     高速道路料金の値下げ

     コメ減反に協力した農家に対する支援拡充

臨時交付金は3,000億円規模とする案があり、農業や環境対策といった公共事業に充てることを念頭に建設国債で賄うことも検討。これに対し、地方自治体の共同出資で設立され、自治体への低利融資などを行っている「地方公営企業等金融機構」の金利変動準備金を取り崩して活用すべきだという主張もあり、さらに調整する。▽二兆円規模の定額減税をはじめ、財源には特別会計の剰余金など「霞が関の埋蔵金」も活用。対策に伴う赤字国債の増発は避けたい意向だが、公共事業や減税に頼った景気刺激策には「ばらまき」批判も出そうだ」

081023下野「選挙にらみ地方重視」)

 

 

たとえば、5,000万円の借金を抱える家庭の引き出しから、100万円の預金通帳が出てきた。▽借金返済に使えば、残高が減って将来の返済が少しは楽になる。それが望ましいが、諸物価が上がり、切りつめ生活も苦しくなった。この際、返済をさぼって生活費に回そうか・・・・・。▽通帳にあたるのが「財政投融資特別会計」の金利変動準備金。政府系金融機関や独立行政法人に資金を貸し付ける特会だ。特会が調達する金利を、融資した金利が下廻る「逆ザヤ」になった時の損失に備え、積み立ててきた。・・・・▽埋蔵金の流用も、国債の追加発行も、負担を将来へ先送りする点ではまったく変わらない。準備金を減税に流用しても、あるいは流用せず国債返済に使って減税のため国債を発行しても、国債残高は同じだからだ。・・・・・▽今月実施した世論調査でも、「景気対策のため赤字国債を発行して大型の補正予算を編成すべきだ」という意見に「反対」が56%「賛成」242倍以上だ。借金頼みのバラマキ財政のツケは、いずれ自らに跳ね返ってくると見抜いているのだ」

081022朝日「社説 減税財源 埋蔵金でも国債でも同じ」)

 

 

「新総合経済対策の目玉として、新たな「埋蔵金」から数千億円の地方自治体向け特例交付金を配る構想が自民党内で浮かんでいる。自治体が共同設立した「地方公営企業等金融機構」の準備金の一部を取り崩して財源にする考え。しかし、同機構を所管する総務省が強く抵抗しており、調整は難航しそうだ」・・・・▽最大7,000億円を捻出できるとの見方もあり、例えば、自治体が原油高対策などに使った分を国が穴埋めする仕組みなどが検討されている」「定額減税の実施方式について、公明党は「納税者全員」を主張。しかし、自民党内では「バラマキ批判」が強まるとして「高齢者や子育て世帯に絞るべきだ」との意見がある。高所得者を対象にせず、低所得者には「給付金」を支給することなども検討され、与党内で調整がついていない」

081022朝日「埋蔵金活用 地方向けも」

 

 

「少子高齢化で膨らむ社会保障の財源をどうするのか。景気対策は大事だが、国債の垂れ流しは困る。そんな不安が国民の間に漂うなか、麻生首相が注目すべき発言をした。▽月末にまとめる新総合経済対策に、消費税の引き上げを含む中期の税体系プログラムを盛り込むよう与党に指示したのだ。・・・・▽なにしろ、選挙の前に増税方針を打ち出すのはタブーといわれてきた。それを破って、負担増を真正面に掲げ、国民に信と問うという決意表明になるからだ。・・・▽勇気をもって財源を語ろうというのなら結構だが、その割に新総合経済対策には定額減税をはじめ、高速道路料金の引き下げなど「バラマキ色」の濃い施策が並びそうだ。来春には国民年金の国庫負担割合を引き上げるための財源も必要になる。・・・・・▽増税の時期と引き上げ率などを具体的な行程表にして総選挙に臨み、勝てばただちにそれを法律で定めると約束することだ。景気回復の足取りによっては実施時期などを見直せる柔軟条項を組み込んでもいい」

081025朝日「社説 消費税アップ 麻生首相は本気を示せ」)

 

 

「麻生首相が23日突如打ち出した「過去最大の住宅ローン減税」に、住宅業界の期待は高まる。・・・・▽昨年夏施行の改正建築基準法で建築確認が厳しくなって以降、建設・住宅業界は低迷が続く。・・・・▽これまで最大の住宅ローン減税は、小渕政権で決め、99年〜01年前半に実施された。ローン残高の限度額は5,000万円で、対象期間は15年、最大控除額は計5875万円だった。▽国交省は今回、これと同程度の減税なら、住宅着工戸数は約8万戸増(07年比7%)になると試算。関連業界も含めて約4兆円の波及効果があり、国内経済の成長を約08%押し上げ、約20万人の雇用を作り出すという。・・・・▽景気減速で税収減が予想され、所得税・住民税の定額減税も約2兆円規模で年度内に実施することが決まっている。住宅ローン減税の拡大が加われば、税収減を補うために国債発行を増やさなければならない可能性もある」

(*住宅ローン減税:住宅購入や増改築に伴い住宅ローンを組んだ際、ローン残高の一部を所得税から税額控除(還付)する仕組み。08年末に切れる現行制度は、10年以上の住宅ローンを組んだ場合、年末の残高2,000万円以下の部分を対象に16年目は1%710年目は05%控除。床面積50平方b以上)などが条件。毎年の控除額を少なくし、期間を15年にすることもできる。ともに最大控除額は総額160万円)

「住宅ローン減税とともに、首相は2309年度に実施する道路特定財源の一般財源化に伴い、国の財源約33兆円のうち1兆円を地方に配分する考えを打ち出した。これまでも地方自治体の道路整備促進のために7,000億円弱の交付金を配っているが、規模を拡大し、幅広い政策に使えるよう改める方向だ。・・・・▽道路特定財源は、ガソリンなどにかけられる税金を国や地方が道路整備だけに使う制度。「無駄な公共事業の温床」との批判が強まり、今春には福田前首相がさまざまな政策に使える一般財源化の方針を打ち出した。具体的な使い道として地域医療の充実や環境対策などを挙げ、「生活者財源」と呼んだ」

081025朝日「バラマキ追加、大丈夫?」)