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「国交省道路局。ガソリン税など道路整備にしか使えない約3兆円の道路特定財源を握り、全国の道路整備や高速道路の建設計画を担う。東大や京大の理系学部を出て「技官」として採用された官僚が牛耳る。霞が関で「最も強固な組織力」(国交省幹部)と言われる官僚集団だ」
「「うちは道路の権限を握るから政治家に強いが、予算を査定する財務省に弱い。政治家は財務省に強く、予算をつけろと言える。三者はグー、チョキ、パーの関係だ」。「道路族」議員に密着することで予算削減を掲げる財務省に対抗してきた」
「自民党結党の55年以降、自民党中心の政権が続く。官僚にとって自民党を支えることは政策を進めるため、身に染みついた習慣だ。だが、昨夏の参院選で与党が大敗し、野党が過半数を占めた」
(2008年10月15日付朝日新聞「離れる『政』官僚漂流」)
<想定される追加対策>
○自社株買いの規制緩和→個々の企業の株価防衛:1日当たりの購入株数を直近4週間の平均取引量の25%までとする制限を撤廃。年内限定。
○定額減税の規模、財源の具体化→家計の消費拡大:所得税・個人住民税の一定額を減税。非課税世帯には特別給付金の交付も検討。
○住宅ローン減税の延長・拡充→家計の消費拡大:2008年末に切れる減税制度の期間延長や減税幅の拡充。
○設備投資の優遇税制→企業の投資意欲を刺激:特別償却などによる法人税の軽減など。省エネ投資への重点支援も検討。
○証券優遇税制の延長・拡充→金融市場の活性化:現行の軽減税率を延長。一定額まで非課税とする案も検討。
○金融機能強化法の復活→地域金融の安定化→地域の中小金融機関に公的資金を資本注入するため、期限切れした同法を復活。
○公共事業の積み増し→地域活性化・雇用拡大:縮減傾向にあった社会資本整備向けの財政出動を拡大。
○高速道路料金の引き下げ拡充→燃油高騰対策・物流活性化:料金引き下げの対象路線や対象者を拡充。1年間を重点期間とする案も。
(2008年10月11日付日本経済新聞「政府・与党、追加対策急ぐ」)
「危機のきっかけは、米国の低所得者向け高金利住宅ローン(サブプライムローン)の焦げ付き。最初は低利、数年後に金利が急上昇する。低所得者の支払い能力から見て、住宅価格上昇が前提になる。米投資銀行は同ローンを集めて証券化し、さまざまな金融商品に組み込み、欧米中心に世界に売りさばいた。「証券化しリスク分散すれば、個別ローンが焦げ付いても問題ない」との宣伝付きで。▽ところが、米住宅バブルが破裂すると、すべては水泡に帰した。同ローンは大半が不良債権化し、証券化して組み込んだ金融商品も紙くずになった。国際通貨基金(IMF)によると、同ローン問題に伴う世界の金融機関の損失は増え続け、7日発表では、1兆4,500億j(約145兆円)に達した。90年代の日本の金融危機で処理した損失額約100兆円を上回っている。▽冷戦終了後、米国の一極集中経済を支えてきた産業の代表は金融。個人は、住宅や株価の上昇で得た含み益を担保に、借金して消費に励んできた。今回の金融危機は、この米経済の強さの源泉を崩壊させた。金融機関に投入する公的資金は、イラクで使う戦費とあわせて、財政赤字をさらに膨らませる」
(2008年10月12日付毎日新聞「米一極集中経済の崩壊」)
「全衆院議員のクビをいっぺんに切るという最も強い権力の象徴として、首相の「伝家の宝刀」になっており、政治情勢を見定めて一番有利な時期を選ぶことも可能です。参院に解散がないのは、長期的な視野から議論する役割があるためで、解散中に緊急の事態が起きても、参院が「緊急集会」という形で国会の機能を代行します」「まず首相が閣議で解散を諮り、閣議書に全閣僚の署名を集めて決定します。署名を拒否した閣僚は、首相が罷免して兼任することができます。・・・・・・▽解散詔書は天皇陛下が署名し、・・・。詔書を読み上げた瞬間に、全衆院議員が地位を失います。総選挙は解散の日から40日以内に行う必要があり、衆院で審議中の法案は全部廃案になります。参院も同時に閉会となり、審議中の法案は廃案にするのが慣例です」
(2008年10月16日付読売新聞「衆院解散の意味は」)
「今、「権力」は市場から政治へと移りつつある。▽冷戦終結後の20年間は、市場の力が異常なほど強く、何かを決める力は政治でなく市場にあった。97年のアジア通貨危機も、2000年代初頭のITバブルもそうだ。市場はバブルを作ってはそれを乗り越えてやってきた。▽しかし、今回のサブプライム・バブルで潮目が変わった。浮き沈みを繰り返し、5,6年に1回の頻度で生活は吹き飛ぶ「荒っぽい資本主義」に、社会がついていけなくなった。・・・▽そうなれば、グローバルにつながっていた市場が切断される可能性だって出てくる。各国の利害や政治力の違いが際だってくるため、70年代の石油危機対策としてのサミット発足や、85年のドル高是正のプラザ合意のように、かつて可能だった政府間の結束もどんどん難しくなるだろう。▽大恐慌に見舞われた30年代の前半、世界の一部ではファシズムが台頭した。歴史をそのまま繰り返すとは思わないが、政治的、軍事的な冒険主義の出現に、世界が警戒しておかないといけない」
(2008年10月13日付読売新聞「主役 市場から政治へ 佐々木敦氏」)