080121suzukit

鈴木 卓「政治とカネの問題についての追求」

 

 2007年は政治家の金銭に関する話題でにぎわった。しかし、連日のようにメディアで報道されていたのが嘘のようにいつのまにか沈静化してしまった。そこで、改めてこの問題についての追求をレポートにしようと思う。

 

 この問題を追及するにあたり、実際に政治家がどのくらいの収入を得ているのか、どのくらいの支出をしているのかを知る必要がある。

 収入として、政治家は国から給料として一律で2200万円をもらっており、これに講演料やテレビ番組の出演料などを合わせて普段の生活費としている。政治活動を行うための資金は別にあり、支援団体・所属する党からもらっている。その他の収入には企業や個人からの寄付がある。

 支出としては、一番に秘書やスタッフの給料がある。秘書の給料は3人分までは国が出してくれるが、それ以外の秘書やスタッフの給料は自分で払う必要がある。他にも、集会を開いた時の会場費、ポスターやビラなどを作成するための宣伝費、事務所で使う文具やコピー機などの雑貨費、国会で質問したり法案を出したりするために必要な調査を行うための費用などがある。

 上記の事を考えると政治家は一般市民から比べて非常に優遇されていると思われる。それにも関わらず、どうして政治家が金銭トラブルに巻き込まれるのか。おそらく、これは政治資金の不透明さに加えて罰則の軽さが問題だと考えられる。たとえば、役職に就く政治家がスキャンダルを起こしたとしても引責辞任はするが国会議員は辞めない。離党、議員辞職でけじめをとったとされ、それ以上追求されない。挙句の果てに、問題を起して辞職したとしても退職金として多額の金銭を得るなど明らかに罰則が甘いと思われる。これが一般企業であれば即クビに、警察沙汰になってもおかしくはない。こんなことではこれからも不正が続けられていくに違いないと思う。

 

 そもそも、政治資金の流れが不透明にならないように資金の使い道を監視する「政治資金規正法」が存在しているのになぜ不正が続くのか。考えるにあたって、政治資金規正法そのものについて知る必要がある。

 政治資金規正法は政治資金による政治腐敗の防止を図るために昭和23年に議員立法によって成立した法律であり、規正の対象は政治団体と公職の候補者・政治家である。

政治団体とは政治的な目的のために設立された団体のことであり、自由に設立できるが設立の届出をしない限り、寄付又は支出することはできない。政治団体の種類には政党、政治資金団体(政党のために資金を援助することを目的とし政党が指定したもの)、その他に後援会などがある。

 政治団体の会計責任者は、当該政治団体の収入・支出及び資産等の状況について翌年の3月末までに報告しなければならない。寄付に関しては年間5万円を超えるものについて寄付者の氏名等を、支出は1件当たり1円以上のものについての収支報告書への支出を受けた者の氏名等の明細の記載および領収書等の写しの添付の義務付けがある。資産等については土地、建物、建物所有のための地上権又は土地賃借権、100万円超の動産、預貯金(普通預金等を除く)、金銭信託、有価証券、出資による権利、100万円超の貸付金、100万円超の敷金、100万円超の施設利用権、100万円超の借入金を記載しなければならない。このとき、「登録政治資金監査人」の政治資金監査を受ける必要がある。

 今回の政治資金規正法は改正により、経常経費1件当たり1円以上のものについての報告が義務付けられたが、以前は5万円以上のものに限り詳細の報告が必要とされていた。つまりは、5万円未満のものであれば項目毎に合計額さえ記入していればよく、どのくらい使おうが内訳を報告する必要がなかったわけである。そのため、実体のない事務所費や異常に高い光熱費といった問題に発展してしまっている。それ以前に、事務所費の問題を挙げられると計上ミスとの一言で済まされてしまっていいのだろうか。仮にも、国の未来を担っているはずの人たちであるのだから、自分達の身辺のことすらきちんとできないで国を動かすことなんてできるのだろうか。近年の政治家のあり方を見ていると、彼らが国のためでなく、自分の為に、大金を得るための手段として政治家としての立場をもとめているように感じられる。

 

 次に、政治資金規正法で定められている罰則について述べたいと思う。政治資金規正法における収支報告や寄付制限等の履行を担保するための主な罰則には以下の4つが挙げられる。

@     無届団体の寄付の受領、支出の禁止違反・・・5年以下の禁錮、100万円以下の罰則

A     収支報告書の不記載、虚偽記載・・・5年以下の禁錮、100万円以下の罰則

B     寄付の量的制限違反・・・1年以下の禁錮、50万円以下の罰金

C     寄付の質的制限違反・・・3年以下の禁錮、50万円以下の罰金

(寄付の量的、質的制限違反による寄付にかかる財産上の利益については没収又は追徴する)

 何千万、何億円と国民の税金を不正に横領したとしても、罰則が100万円以下で済んでしまう。不正に対する罰則の内容が明らかに甘すぎると思うし、こんな内容の罰則では不正が抑制できるとはどうしても考えられない。不正が起こらないことを目的としているならば、政治家としての資格を剥奪するような内容の罰則であってもいいと思う。むしろ、違反を犯しても政治家としての活動が続けられること事態がおかしいものにも感じられる。もし、これが厳しすぎるというならばやましい事があることの証明なのではないだろうか。一体どれほどの政治家が胸を張って全てを公開できるのか、きっと一握り程の数しか居ないのではないかと思う。

 

 これまで調べてきて、どうも政治家は罰せられていない気がしてならない。今までの問題だって全てうやむやされてきている気がする。ナントカ還元水や事務所費などの問題はいつの間に追及が終わってしまったのか、どうして首相が必死になって大臣をかばい続けたのか。政治家だって人間であるのだから、悪いことをしない保証はない。それを、政党としての権威を守るために隠したり、もみ消したりするのは正しい政治のあり方からは遠くはなれていると思う。かといって、次から次に問題を小出しに公表し、国会の進行を遅らせるのもどうだろう。国民のことなどほったらかして、政治家同士が互いに足を引っぱりあう姿を他の国にさらして恥ずかしくはないのか。今、政治の世界は大きな転機を迎えている。長期政権が終わり、新たな政権が誕生するのか。多くの問題を抱える現代政治をこれからどのようにしていくのか、これは政治家だけでなく我々も考えなくてはいけない大きな課題であると思う。

 

<参考資料>

週間こどもニュース

http://www.nhk.or.jp/kdns/nattoku/07/1020.html

衆議院議員 寺田学の情報発信サイト

http://www.manabu.jp/accounting/index02.html

ウィキペデア(Wikipedia

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%A1%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%83%9A%E3%83%BC%E3%82%B8

政治資金規正法の概要

http://www.pref.osaka.jp/senkan/dantai/kiseihou.html

公明党

http://www.komei.or.jp/index.html