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052914B 岩本光央「地方独自による村興しに関する考察」
地域社会:開発から発展へ
開発(外来型開発):他律的
戦後日本で支配的な方法。企業誘致など大資本による開発。地域の盛衰は外来の資本に左右される。
発展(内発的発展):他律型の開発に対抗、市民、住民の主体的なアイデア。
日本における産業構造の変化
1. 農林業から軽工業へ
2. 軽工業から重化学工業へ(産業構造の変化、大資本による開発)
3. 重化学工業から先端技術産業へ(円高による国際競争力の低迷、発展途上国の工業化による産業空洞化―さらに付加価値の高い産業への移行)
現在、産業はより情報化、ソフト化、サービス化、高付加価値化、高加工度化している。
<地方への影響>
・ 大資本による開発の行き詰まり(産業空洞化による)
・ 地方工業の低迷(重化学工業の移行の際に、大資本主導であったことから企業の中枢機能が都市に集中。生産機能を担った地方で発生)
・ 先端技術産業の都市部への集中(ソフトなどの、IT産業が都市部に集中)
地方において、産業構造を変化させ、自立的な地域おこしをすることが急務となっている
内発的発展論
1975年 国連経済特別総会
経済成長優先型に変わる「もう一つの発展」の提起
1. 全人的発展
2. 共生による社会づくり
3. 参加、共同主義、自主管理
4. 地域的発展、地域的共同性の創出―巨大開発、多国籍企業による分業設定、資源吸収、単一文化の押し付けに対抗する。
豊かさの定義の変化
豊かさへの3つのアプローチ(アマルディア・セン)
富裕アプローチ 物質的財貨が指標
効用アプローチ 欲求充足の極大化が指標
潜在能力アプローチ 人間の持つ潜在能力の考慮:選択の自由、選択の機会と条件の整備、潜在能力の実現。
個人:潜在能力の発揮による人間発達の道
地域:内発的発展
この二つの一体的追求が求められる
事例
1. 北海道東川町
写真による町興し
被写体となる地域の自然、市街地景観を生かしている。
国際写真賞の制定、写真甲子園の実施、写真写りの良い景観の維持(市街地の広告規制、緑化事業、市民による花の植栽、学校教育での写真の導入など
経済効果だけでなく、住民の自発的な写真サークルなど、文化的な効果も見られる。
――人口が増加に転じた、住民の町に対する意識向上がみられたなど。
2. 福島県只見町
電源供給基地の挫折
只見川総合開発計画(国、福島県) ダム、山林、地下資源などの開発を目指す。
田子倉ダムなどの建設:人口は約13500人(1959)に達する
ダム完成後 地元に産業が創出されない―人口減少
国や県に依存する体質が改まらない
現在 人口約6000人
3. 埼玉県鷲宮町
文化産業による町興し
ある漫画家が実在の地域をモデルに漫画を書き、それがアニメ化され爆発的な人気を呼んだ。
その漫画のキャラの住まいが神社であり、また巫女である事も手伝って鷲宮神社に参拝するファンが増えた。
そこで町が版権元に許可を取り絵馬や桐箪笥等にキャラをあしらい販売し、公式参拝イベントを開催した。
2007年12月2日のイベント当日には3500人もの人間が詰めかけ、イベント当日から2008年の初詣に掛けての経済効果は概算で2000万を超えたと見らていれる。
また、町は初詣当日の参拝客を例年の9万人から13万人に増えると予想していたものが、実際はそれを遥かに上回る30万人に達した。