061106gensei 講義メモ

 

<中国情勢についての3論文から>:1.「中国の国力いま見劣り」(06523日付日本経済新聞)、2.「米中経済 構造改革の好機」(06531日付)、3.「中国の大復活、『資源』が鍵」から→

 

1.(1)1978(改革・開放政策)2000億jのGDPが、05年には21,700億jに

(2)世界経済の寄与(00-03)に中国は19%、米国は13%。2030年には世界のGDP比に占める比率は30%近くに達すると予測

(3)しかし、中国経済は半世紀前のレベルに戻っただけ。中国の一人当たりGDPは米国の30分の1、日本の28分の1、韓国の11分の104年現在)

(4)高度成長の反面での、環境汚染、資源のボトルネック、人口・社会問題の先鋭化、格差拡大など

(5)経済以外の分野の発展に長い時間がかかるのでは。国防予算は米国の14分の1。中国文化の発信は弱く「入超」。中国の発展は東アジアの発展の一部。

(6)生産の全過程の「川上」(新製品の研究開発)と「川下」(世界市場での流通・販売)で外貨企業に依存。強みは「川中」(労働集約型の加工や組み立て)のみ。輸入依存度が光ファイバー製造装置100%、通信と半導体技術特許69-90%、石油化学工業設備76%、大型機械装備70%。「世界の工場」というよりは「世界の生産作業場」。実物経済国。

(7)21世紀の近隣大国間で起きる戦争は「共倒れ」

 

2.(1)(石油)の「需要側では、86年以降の価格低迷を受け、節約努力が大きく減退」「90年代に入ると、中国を先頭に途上国の需要が急速に伸びはじめ」

  (2)中国や米国は資源浪費型経済

  (3)「原油価格の上昇は、経済成長の観点からは制約条件だが、エネルギー消費を抑制し、節約を推進しようとする立場からは、何よりの好機となる」

  (4)「中国の現状は、60年代の10%成長から4%成長へ移行した、70年代の日本に酷似」(エネルギー制約、若年労働力人口の減少、円高と保護貿易)

  (5)「日本が省エネ技術を自前で開発して4%の安定成長へシフトできたのに対して、中国には自前の技術力が乏しい」

  (6)「米国が供給力の拡大投資へ向かうには、既存の設備を陳腐化させる新技術と規制が必要」

  

3.(1)「グローバリゼーションの進展は東西冷戦が市場経済の勝利に終わり、またIT(情報技術)革命で地球規模での経済活動が容易になったことに起因する」

(2)「技術革新は時に格差拡大をもたらすが、それは気力ある後発国の大躍進に絶好の機会を与える」

(3)「19世紀初めにかけて欧中日はともに人口増に伴い、食料、燃料、建材など生活物資の需要増と、それによる森林破壊、洪水頻発などへの対応を迫られた。これには労働投入と土地利用の改善が必要で、アジアはその方向に進み労働集約・土地節約的な農業がその後も高い比重を占めた」「かつて西欧は、新大陸などの植民地支配や奴隷制度に依存して資源・環境制約をさしあたり突破できた。だが、現在はどうか」

(4)「技術革新の結果、資本集約的産業に代わり、知識集約的産業の比重が増してきた。こうした産業こそが、地球上の新たなフロンティアであるとするならば、人的資本の役割はいやでも高まっていく」

(5)「19世紀には労働節約・資源多用型の西欧と、労働集約・資源節約型のアジアとの大分岐が生じた。現代は地球規模で人的資本集約・資源節約型の発展が望まれる。その先頭集団に中国が入るためには、やはりグローバルな資源・環境制約を克服する技術・制度の整備と、人的資本の質の向上に全力を挙げること」

(6)(日本は)「問題解決に向けて最大限、中国に協力することであり、それは21世紀、日中間の最大のテーマとなる。両国には、ぎくしゃくした関係を続けている暇はない」