061023gensei 講義メモ

―北朝鮮問題―

 

<貨物検査について>(061020日付朝日新聞朝刊より)

 

PSI(大量破壊兵器の拡散防止構想):「大量破壊兵器の拡散を、国際的枠組みを使って水際で阻止する構想。ブッシュ米大統領が03年に提唱、日本を含む90カ国以上が参加・協力している。洋上であれば領海に限らず公海でも各国が連携、国際法や国内法の範囲で関連物資の移転や輸送を阻止する。米国は公海上でも不審船を臨検できる体制の構築を目指しているが、参加国には慎重論が根強い。」

 

■「貨物検査」は国連安保理の北朝鮮制裁決議に盛り込まれた→

船舶の検査とは?→@航空機や偵察衛星などで船舶の動きを監視A武装要員を乗せた海軍や海上警察の艦艇が洋上で質問B不審な場合は停船を求めて乗船検査

 

     日本周辺での米軍支援:「日米防衛協力のための指針」(新ガイドライン1997年策定)。「周辺事態と認定されれば、自衛隊米軍への給与や給水、武器・弾薬を含む物資の輸送など後方地域支援ができる。海自の5隻の補給艦による燃料補給や、日本海側の海自基地での支援が検討されている。▽洋上の船舶監視には、約80機のP3C哨戒機、約100機の哨戒ヘリを保有する海自の航空力が期待される。・・・・▽・・・海自と米海軍がともに装備し、リアルタイムで戦術情報を共有できる「データリンクシステム」の活用が不可欠と、防衛庁の担当者らは考えている」

 

 

■ 田中宇氏による推測:(中国政府は)「日本の安部新首相を中国に来させて日中関係を好転させるために、北朝鮮の核実験を使ったのではないか」「小泉前首相は、中国がどうしても容認できないことであると十分知った上で、あえて靖国参拝を繰り返していたと考える方が自然」「ブッシュ政権は昨年夏から、中国を世界運営に責任を持つ勢力のひとつ(responsible stakeholder)とすることを、対中政策の中心に掲げてきた」「小泉前政権は『そんなシナリオ展開は許さない』とばかり、靖国参拝や、東シナ海油田問題、尖閣諸島、教科書問題など、日中間のあらゆる問題を再燃させ、マスコミを動員して国民を中国嫌いにさせて、日中関係が改善しないように努力してきた」「安部に対して『首相になったらすぐに中国に行きなさい』と命じることができるのは、アメリカだけである」

「北朝鮮の核実験が不可避になった時点で、中国側が金正日に『中国が良いと言ってから実験を実施せよ』と命じる一方で、アメリカに『核実験後の北朝鮮との交渉に中国が責任を持つから、その代わり、日本の安部に、首相になったらすぐに中国に来いと言ってほしい』と求め、かねがね中国に責任を持たせたいと思っていたアメリカは中国の提案に応じ、安部に『もうすぐ北朝鮮が核実験するから、早く中国との関係を改善しなきゃダメだ』と強く言って訪中を実現させ、中国は北朝鮮に『安部が中国を離れたら核実験しても良い』とゴーサインを出し、核実験は安部が北京から離れた半日後に実施された、というのが私の仮説である。」「北朝鮮がどうなるかということ自体より、北朝鮮問題をきっかけにして日米中の三角関係が今後どうなっていくかということの方が重要である」(HP「田中宇の国際ニュース解説」上の田中宇「安部訪中と北朝鮮の核実験」20061017日付より)

 

 

■「金総書記を指導者とする北朝鮮が今後も存続する。金総書記が失脚し、軍部が実権を握る。北朝鮮が崩壊するか民主化され、南北朝鮮が統一されて在韓米軍が中朝国境まで迫る―。▽ありとあらゆるケースを想定した激論の中で、中国が近い将来に起こり得るシナリオの一つとして最も恐れているのは、『核実験の次の手段として、北朝鮮が朝鮮戦争の休戦協定の破棄を宣言することだ』と、この研究者は指摘する。1953年に北朝鮮軍、中国軍、国連軍の間で結ばれた休戦協定を破棄することは、中国が絶対に避けなければいけないと繰り返してきた『戦争』につながりかねない」(061021日付朝日新聞朝刊)

 

 

     田中宇氏による推測:「中国が北朝鮮を批判したり、政権転覆支援を示唆したりする本質的な理由はおそらく、中国が北朝鮮にアドバイスした経済開放政策が進まず、中国が目指してきた『北朝鮮を中国のような社会主義経済に軟着陸させていく』という目標が実現していないからである」「北朝鮮をめぐる行き詰まりは今後も続く可能性が大きいが、アメリカが北朝鮮の問題を中国に任せる傾向はどんどん強まっている。核実験を機に、アメリカ政府からは「中国や日本を含めた東アジア全体とアメリカで、アジア版NATOのような多国間安全保障の枠組みを作るべきだ」という構想が出てきた。」(HP「田中宇の国際ニュース解説」上の田中宇「中国が北朝鮮を政権転覆する?」20061019日付より)

 

     中国式の改革開放を主張する穏健・交渉派と、軍部に色濃い従来の思想重視・強硬派との路線争いで後者が決定的に優位に立ったということだ。米国に金融制裁解除を求める交渉が4月に失敗したのを契機に強硬派が主導権を握り、7月のテポドン連射、そして今回の核実験と強硬一本の道をひた走っている」

パターン@「国連信託統治

パターンA「親中政権の樹立

パターンB「金総書記に異変

(北朝鮮取材班「北朝鮮はこう潰れる」『AERA』No.4920061023日号)