061016gensei 講義メモ

 

―北朝鮮の核実験と国際社会―(061011日付、同12日付朝日新聞朝刊より)

 

■ 国連憲章第7章

 国連安保理が脅威や平和の破壊、侵略行為を認めた場合強制措置をとることができると定めている。強制措置には経済制裁や渡航禁止、武器禁輸などの非軍事措置(41条)のほか、軍事的措置(42条)も含まれ、非軍事的措置では不十分な場合は武力行使も認めている。

 

     6者協議共同声明骨子(059月)

     北朝鮮は、すべての核兵器、既存の核計画を放棄する

     米朝は関係正常化の措置をとる

     日朝は平壌宣言に従って国交正常化のための措置をとる

     6者は経済協力を2国間または多国間で推進する。

     6者は北東アジアの平和と安定に共同で努力する

     6者は意見が一致した事項の実施に向けた措置をとる

 

     第1次朝鮮半島危機

933北朝鮮の核不拡散条約(NPT)脱退をきっかけに起きた。西北部の寧辺にある黒鉛減速実験炉で抽出された使用済み核燃料棒を再処理して兵器用プルトニウムを抽出していた疑い国際原子力機関(IAEA)の査察で明らかになった。米クリントン政権は空爆も検討したとされる。946カーター米元大統領金日成国家主席と会談、北朝鮮は査察継続や核開発の凍結を約束した。9410軽水炉の提供と引き換えに北朝鮮が核開発を放棄するとした米朝枠組み合意に調印した。

 

 

     核開発をめぐる世界の動き

1945.7

米国が世界初の核実験

     8

米、広島・長崎に原爆投下

1949.8

ソ連が初の核実験

1952.10

英国が初の核実験

1957.7

国際原子力機関(IAEA)が発足

1960.2

フランスが初の核実験

1963.8

米英ソ、部分的核実験禁止条約(PTBTに署名

1964.10

中国が初の核実験

1968.7

核不拡散条約(NPTに米英ソなどが署名

1970.3

NPTが発効

1974.5

インドが初の核実験。「平和目的」を強調

1976.6

日本NPT加盟

1985.12

北朝鮮NPT加盟

1989.12

米ソ首脳会談で冷戦終結を宣言

1991.12

ソ連崩壊

1992.3

中国がNPT加盟

     8

フランスがNPT加盟

1993.3

南アが過去の核開発を明らかにし、核廃棄を宣言

1995.5

NPTの無期限延長決定

1996.9

米英中仏ロの核保有国と日本などが包括的核実験禁止条約(CTBTに署名

1998.5

インド、パキスタンが核実験

1999.10

米上院、CTBT批准を否決

2003.1

北朝鮮がNPT脱退を表明

2003.12

リビアが核兵器など大量破壊兵器を開発していた事実を認めた上で、即時無条件の廃棄受け入れ発表

2004.2

パキスタンのカーン博士が中心の「核の闇市場」発覚

2006.7

国連安全保障理事会が、イランにウラン濃縮関連活動の前面停止を求める決議採択

     9

イランのアフマディネジャド大統領がアナン国連事務総長との会談でウラン濃縮活動の停止を拒否

109

北朝鮮が「核実験に成功」と発表

 

 

     北朝鮮の核実験に関する安保理決議草案の主要点

     米国の決議草案の主要点(国連憲章第7章に基づいて)

・北朝鮮は核兵器と核開発計画を撤廃

・国連加盟国は北朝鮮に対する@武器及び関連物資A核または弾道ミサイル関連の物資Bぜいたく品、の供給、売却、移転を防止

・国連加盟国は北朝鮮のミサイル・大量破壊兵器計画、通貨偽造や麻薬などの不法活動に関連する資産の移動を、金融資産の凍結などで防止

           +

     日本提案の追加項目案

・国連加盟国は北朝鮮船舶の入港、同国航空機の発着陸を禁止

・国連加盟国は北朝鮮原産のすべての産品の輸入を防止

・国連加盟国は北朝鮮高官の入国・通過を阻止し、北朝鮮からの入国審査を強化

 

     日本政府が独自に決めた追加制裁

すべての北朝鮮籍船の入港を禁止

北朝鮮からのすべての品目の輸入を禁止

北朝鮮籍を持つ者の入国は原則認めない(北朝鮮当局者以外の在日の再入国は除く)