nakayama050117

中山未希「自衛隊 −イラク派遣−」

 

<レポートの目的>

 イラクで活動する自衛隊の仕組みや理念、実際に行っている活動、自衛隊員やその家族の思いを知る。また自衛隊のイラク派遣に対する自分の考えを導き出す。

 

1.自衛隊の構成

自衛隊は防衛庁に属している。防衛庁の職員は防衛庁長官など上級職以外はほとんどが自衛隊の隊員である。内訳は、自衛官が約26万人、即応予備自衛官が8千人、予備自衛官が5万人、予備自衛官補が700人、その他防衛大学校学生、防衛医科大学校学生、事務次官、非常勤職員などです。

 

自衛官とは、 防衛庁に勤務する職員のうち、制服を着用する者の総称で、陸上・海上・航空の各自衛官に区分される。各自衛隊ごとにたくさんの階級に分かれている。

 

即応自衛官は、普段は社会人としてそれぞれの職業(サラリーマン・自営業者などさまざま)に従事しながら、必要とされる練度を確保するため、訓練(年30日)をします。有事の防衛招集時・大規模な災害発生時には、常備自衛官とともに第1線部隊で活動します。

 

予備自衛官は、普段はそれぞれの職業に従事しながら、訓練招集命令により出頭し、訓練に応じる。(但し、予備自衛官であるため非常勤の特別職国家公務員)しかし、有事の際には、防衛招集により出頭し、後方の警備や後方支援等の任務にあたる。(この場合、予備自衛官から自衛官となる)また、大規模な災害等が発生した時、長官が特に必要と認める場合、災害派遣に派遣されることもある。

 

2.自衛隊の活動

自衛隊とは、自ら他の国に対して戦争をしかける事はしない。万一他の国から侵略などの非常事態が起こった場合には、その攻撃から国を守るために防衛行動をする。

 

今までの活動としては、「地下鉄サリン事件」「阪神大震災」「ロシアタンカー海難油流出災害」などの救出活動がある。

 

最近では、イラク戦争が続くイラクに派遣され、被災者の支援活動を行っている。イラクでの活動には、「人道復興支援活動」と「安全保障支援活動」がある。前者は、@被災者の帰還の援助、A食糧、医療、医薬品その他の生活関連物資の配布、B被災民の収容施設の設置、C医療活動、D被災民の生活若しくはイラクの復興を支援する上で必要な施設・設備の復旧・整備、E自然環境の復旧、F行政事務に関する助言又は指導、G人道的精神に基づいて被災民を救援し若しくは被害を復旧するため、又はイラクの復旧を支援するために実施する輸送、保管、通信、建設、修理、設備、補給、消毒、と多岐にわたっている。後者は、国連加盟国が行う、イラクの国内における安全を回復する活動を支援するために、わが国が実施する医療、輸送、保管、通信、建設、修理、設備、補給、消毒などの活動である。

 

3.自衛隊派遣

自衛隊派遣の是非を論じる前に、日本独自の、国家としての情報を持たないで、自衛隊を戦争地帯に送ることは「国民の安全を守る約束」を放棄するものだと思う。アメリカなら戦争当事国だから分かるが、日本は原則専守防衛なのだ。

先日、日本人が拉致・殺害されるという残虐な事件が起きた。その時も、日本は独自の情報収集ルートを持っていなかったため、アメリカの提供する不確かな情報に国をあげて反応し、家族・国民は振り回された。一時は開放されたと報じたが、その後遺体発見、しかしアジア系ではなかった、など。アメリカ追従政策がこんな緊急事態のときでさえ機能していたことは、一日本国民として情けなく思った。

 

アメリカは、イラク攻撃を「国際貢献のため」と言うが、イラク国民や中東諸国は「アメリカの戦後統治」を国際貢献と思っているのだろうか?米軍はイラク攻撃を続けている。軍事施設の空爆、銃撃戦、ニュースが絶えることはないが、その時ともに報じられるのは、その攻撃による罪の無い大勢の人々の死である。アメリカの「大量化学兵器をイラクが保有している」という大義で始まったこの国同士の戦争は、その大義を失った今、標的をイラク国民にしたものになってしまっている。肉親や大切な人を失ったイラク国民が、アメリカを恨まないはずはない。イラクはますます危険な国になってしまった。

 

至極平和なこの日本から、危険なイラクに派遣される自衛官は、どのような思いでいるのだろうか。

 

元自衛官の話から

 アメリカの「正義なきイラク構造改革」に対する不信と苛立ち不安

 予備自衛官→防衛出動の命令が出れば出頭

 憲法第九条

 極右内閣への不信感

 アルカイダ東京攻撃の恐怖

 日本→国益第一主義→過去の繰り返しでは?

 

 実際今回の自衛隊イラク派遣は違憲だったのではないか「戦闘地域」を「非戦闘地域」に仕立て上げ、強引に出動させた。イラクは危険であるし、日本の防衛活動ではない。(逆にテロの危険は増した。)憲法第九条の本質を捉えるべきであり、裏道を探してはいけない。アメリカの大統領選の両陣営の攻防に一喜一憂しているようでは、近い将来国際社会から大きく非難されるだろう。

今の憲法を解釈すれば、自衛隊のイラク派遣は当然あり得なかったはずである。今のアメリカ追従の姿勢から、平和憲法の真意がゆがめられ、苦しい解釈の下に自衛隊は派遣されていった。自衛隊のイラク派遣は違憲であったと思う。

 

一自衛官の話から

 阪神淡路大震災などの自衛隊の活動に目を向けるべき

殉職自衛官に対する哀悼の言葉が必要。

 中川尋史二等空佐、門屋義廣三等空佐

 望んでイラクへ行く

 イラクの人々を救うために命を賭ける

 プロ市民に対する非難

 

考え 自分の自衛官という仕事に信念と誇りを持っていることがわかる。ほとんどの自衛官がイラクへは仕方なく行っていると思っていたので驚いた。確かに、違憲だなんだという報道が目につき、自衛隊が行っている活動にはあまり目が向けられていないようだ。

また私は、過去、市民によって自衛官が非難されるような事態があったことを初めて知った。私も阪神淡路大震災での自衛隊の活動は少し知っている。父も同じようにボランティアとして活動していたからだ。そう目を向けると自衛隊の活動がまことに多岐にわたることが分かる。自衛隊は素晴らしい活動をたくさんしていると思う。

そして、自衛官の中には、海外派遣を覚悟を決めて入った者と、憲法第九条で守られている日本で派遣はあり得ないと思っていた者とに分かれるのではないか?もちろんどちらが悪いというものではない。先に書いたように、後者でも自衛隊の活動に信念を持って入隊した人はたくさんいるはずだ。しかし、前者のような考えで入隊した人はどれほどいただろう。やはり多くの人は意思とは裏腹に時勢の渦に巻き込まれたのではないだろうか。国は自衛官の声、引いては国民の声を真摯に受け止めて欲しいと願う。

※話の中にある「プロ市民」とは、もともとは鹿島市長・桑原允彦氏の言葉にあったもので、「地

域に根ざし、地域のことに主体的にかかわり責任を果たし続けることを引き受けた人」のことを指した。プロという言葉には、使命を持った個人、という意味が含まれている。しかし現在の用例では、新聞・テレビなどの報道に登場する「市民団体」「市民運動家」を「一般市民を装い、市民活動と称して政治的・営利的な活動を行う者」として、頭に「プロ」の語を付けた批判的な言い換えとして使用されることが多い。その場合、職業的運動家とその周辺の人々、あるいはその組織的集合体を指す。よって、文中のプロ市民とは後者の批判的な意味で使われている。

 

レポート作成を通して、やはりイラクでの自衛隊の実際の活動はあまり感じることは出来なかった。実際は私達が想像するような危険な訓練状況の他にも、現地住民らとの交流・被災者への支援も行っているのだろう。テレビなどでは時々みることがあった。そんな活動をもっと知っていきたい。また知ろうとしたい。そんな状況を見れば、違憲だから、イラクでの自衛隊の活動は間違っている、などといった否定的な違憲だけでなく、自衛隊の活動を素直に評価できる部分も出てくると思った。

しかし、原爆を唯一経験し、戦争の無意味さを一番分かっている我が国には、平和憲法の真意を追求して欲しい。もう一度なにをすべきかを考え、日本に出来ることをしていくべきだと、強く感じている。

 

参考

http://www.jda.go.jp/j/top/goiken/cyu.htm防衛庁

http://www.izu.co.jp/~kurihara/111206.html栗原ひろやす−殉職自衛官に思う

http://www.jda.go.jp/j/defense/jda-sdf/kousei防衛庁・出典「防衛白書」

http://www.okinawa.plo.jda.go.jp/沖縄地方連絡部

http://www.maki-taro.net/diary/2003-b/diary12.htm編集長ヘッドライン日記