041107gen 講義メモ

 

041106付読売新聞朝刊から>:

 

米政府高官「北朝鮮が(完全な核廃棄を前提に凍結段階でエネルギー支援に踏み切るとする)米国の6月提案に前向きの姿勢を示さなければ、圧力強化の具体策を考えざるを得ない」

1段階としては、海上臨検を柱とする大量破壊兵器拡散阻止構想(PSI)の強化を通した北朝鮮の締め上げを考えている。

北朝鮮は「経済制裁は宣戦布告に等しい」と反発している。

核開発を断念していたイラク、ウラン濃縮に乗り出す段階のイランに比べ、北朝鮮の核の脅威はすでに現実のものになっている。

 

イラク再建に失敗すれば、中東は無論、国際社会の平和と安定が損なわれる。世界秩序の゛重し゛としての、超大国・米国の役割も低下しかねない。そうなれば、北東アジアも含め、世界の不安定化につながり、日本自身の安全にも深刻な影響を及ぼす恐れがある。

安易に自衛隊を撤収すれば、日本は、リスクを避け、国際平和秩序を築く責任を果たさない国と見られる。同盟国としての信頼も損ないかねない。

 

「宗教右派」と呼ばれる人たちだ。白人の福音派プロテスタントを中心にした、原理主義的なキリスト教徒のグループで、1970年代後半から人工妊娠中絶、同性結婚反対など倫理的規範に重きを置いて活動し、勢力を伸ばしてきた。

ケイトー研究所上級研究員「米国は特別な国で神に授けられた使命を持つという考えは、アメリカ人の深層心理の核になっている」

 

ドイツ外交評議会研究員「この不安定な世界情勢の中で、米政権が休止することなく機能するというのは、決して悪いことではない。ケリー氏が勝っていれば、政権首脳部や政策スタッフの編成に56カ月は要したろう」

 

ブッシュ大統領が提唱する主な産業関連政策:

・企業の海外業務委託(アウトソーシング)は容認。国内雇用の回復で雇用の海外流出を補う・大型減税の恒久化。株式配当・株式譲渡益への減税継続で市場の活性化図る・年金基金の一部を個人の運用に切り替えるなど、社会保障制度の改革を推進・企業や医療機関に対し、巨額の損害賠償金を課す現行の民事訴訟制度を見直す・石油、天然ガスなど既存エネルギーの開発・供給を強化、原子力発電も推進。戦略石油備蓄は原油高対策に活用しない・京都議定書には反対。省エネ・環境対策として自動車の燃費規制に言及せず。

 

ブッシュ政権の次の四年間は、アメリカ社会の貧富の格差がさらに広がる時代になるだろう。

富の配分に重点を置く民主党に対し、共和党は個人が富を持つことを奨励する。

実際、ブッシュ政権下のアメリカでは資産所有が進んだ。持ち家比率は過去最高の7割に達し、株式を保有する世帯の比率も全世帯の約半分と、過去最高水準に達している。

商務省が毎年行っている調査では、夫婦と子供二人の標準家庭で見た場合、年収が18660ドル(約200万円)以下の貧困層は昨年、総人口の125%と、8人に一人の割合に達した。

その一方で、年収が118000ドル以上の富裕層とされる人々も増え続けており、昨年は全人口の20%に達した。しかも、その20%の人々が、アメリカのすべての所得の498%を占めている。

アメリカの連邦税制は、税収全体のうち個人所得税の割合が80%を突出して高く、法人税と合わせると95%に上る。

 

 

041106付朝日新聞朝刊から>

日米同盟と国際協調主義。予定調和が崩れたこの二つをどう立て直すか。それは日本がかつて解いたことのない応用問題だ。

 

 

041106付産経新聞朝刊から>

保守革命の具体的な施策とまずあげたのは社会保障の民営化、同性結婚の禁止、最高裁判所判事の入れ替え、などだった。

米国の保守主義とは簡単にいえば「人間は自由にしておけば最もうまく機能する」という思考である。人間集団は統治と安全保障の枠組みさえしっかりしていれば、あとは個人の自由な活動に任せ、政府の規制や介入は最小限にすべきだ、という考えなのだ。

 

ブッシュ大統領「米国の敵をせん滅し、米国民を守ることが主要な責務だ」

 

渡辺靖(慶大助教授):(1980年のレーガンの躍進は、)「大きな政府」主導の統制経済と官僚的福祉国家体制による閉塞感の打開、世俗化するキリスト教的価値観の復権、希薄化する愛国心と国家的威信の回復を目指したものであった。

クリントンの課題は、「大きな政府」や「リベラル」の烙印を押されることなく、「伝統的価値」の回復を求める保守陣営にも配慮しながら、分裂した米国を再生することであった。民主党左派と共和党右派を除く民主・共和両党の中道勢力との連携・折衝による政治運営を志向した理由の一つはここにある。

最近の選挙の鍵を握る浮動層や無党派層の特徴の一つは、例えば、価値的には保守だが、経済的にはリベラル(あるいはその逆)といった混交型が多い点といわれる。保守とリベラルの対立は、世論や地域のみならず、一人一人の個人をも分裂させるというわけである。

*著書として「アフター・アメリカ」

 

ブッシュ大統領は就任当初、中国を「戦略的ライバル」と規定、20014月の米中軍用機接触事件で深刻な対立に陥った。それが同年9月の米中枢同時テロ事件後、中国はアフガニスタン攻撃を積極支持、危機を関係改善のバネにしてきた過去の例と同様に、米中関係は一気に好転した。▽しかし中国はイラク戦争には反対し、米国の一国主義を批判、欧州やロシアとの関係を深めた。