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宮田巨樹「アメリカ主義と日本のあり方」

 イラクでは現在もなおテロ活動による死者が増加している。アメリカ軍と比べると戦力が微弱すぎるからこのような方法でしか攻撃不可能なのだろう。そもそも現在のアメリカは世界各国と比べても圧倒的に強い国であり、正面から戦って勝てる国などほぼ皆無であろう。この最強国家が事実上世界の警察として機能してしまっているのが今日の問題である。イラク戦争のきっかけを見るにアメリカが黒(=問題あり)と言えば灰色(=あやしい・不明)くらいまでは黒になっている。

 そんな状態に異論を唱える側の立場がドイツ・フランス・ロシア・中国である。この国々はイラクに対して石油の採掘権を保有していたため今回の戦争で不利益をこうむった側と言える。このように不利益をこうむれば本来は敵対するものである。しかし全く逆に両手を上げて賛同した国が日本である。日本もまたイラクに対して採掘権をもつ国であった。しかしながら政府の考えは常にアメリカ寄りであり権利放棄どころか事実上アメリカに対し数十億ドルの出資をしたのである。しかもここまでやって日本の利益に結びつくかといえば恐らくあまり大きな意味をなさないと思う。イラクの石油権利はアメリカが可能な限り独占しようとするだろうし、まず日本が出てくる隙は無い。悪く言えばこんなことに使う資金があるならば少しでも景気対策にあてたほうが良いのではないかとさえ思う。

 なぜこんなにもアメリカ寄りの立場を取るのだろうか?それは現状日本のアメリカ依存度の高さにあるのではないだろうか。まず日本の防衛思想から言えば、たとえば他国から攻撃を受けた場合に自衛隊は「アメリカ軍が来るまで持ちこたえる」ために存在しているに過ぎない。アメリカと敵対した瞬間から防御力は無いに等しい。兵器の品質は高いが国土面積に対してあまりにも数が少なさ過ぎる。次に貿易面で考える。最近になってBSDの影響で米国産牛肉の輸入が停止した。これだけで国内で牛肉を扱う産業がことごとく打撃を受けてしまっている。仮にアメリカから貿易制裁を行なわれたとしたら食糧価格が暴騰しかねないだろう。輸出もまた対アメリカ貿易は今でも輸出の中心を占めている。様々な制裁措置を取られても強く反発できない弱さはここにある。

 防衛の話はともかく貿易に関しては打開策として他の地域へ目を向けることが考えられる。残念ながらEUは現状を見るかぎり飽和状態に達していて今後の大幅な拡大は期待できない。一方アジアに目を向けると輸出入とも年毎に拡大を重ねている。景気の問題もありここ数年は伸び悩んでいるものの潜在需要は非常に大きなものと思われる。他の市場を開拓することで全体に対するアメリカ依存を少しでも減らす必要があると思う。

 まずアメリカ有りきの日本の状態を少しずつでも変えていかなければいつまでたっても日本はお金があるだけの国、アメリカの51番目の州などという非難から逃れられないのではないかと思う。