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田中宇「アメリカの戦略としてのフセイン拘束」(2003年12月16日)

「独仏やロシアはイラク復興事業の元請けを受注することはできないが、元請け企業からの下請けなら受注できる。また独仏などの企業でアメリカに子会社を持っているところは、子会社を通じた元請け受注も可能で、元請けを制限されても独仏企業にとってほとんど実害はない

「ベーカーの交渉が成功し、独仏やロシアがイラク復興に協力するようになれば、日本の自衛隊派遣もやりやすくなる。今後、欧米間の協調体制が整っていく流れと、日本の自衛隊派遣の流れが合致していくとしたら、自衛隊派遣は対米従属の色彩が弱まり、小泉首相ら派遣推進派にとって有利な展開となる

 

田中宇「ネオコンの表と裏(下)」

「「先制攻撃」「単独派遣」「イラク侵攻」」

謀略と謀略がぶつかりあう複雑な国際政治の世界では、誰がが正しいか軽々に判定できない。「中道派が正しい」「ネオコンは悪い」と簡単に言えるものではない。イスラエルは狡猾で暴虐だが、アラブ諸国や中道派もまた狡猾で暴虐である。そうでなければ、国際政治の戦いに生き抜いていけない。パレスチナ問題をめぐって取りざたされる「人権問題」もまた、国際政治の言論戦争の武器として使われている

 

山内昌之「国際協力の組織化を」(2003年12月17日付朝日新聞朝刊)

「特措法(*イラク復興支援特別措置法)は自衛隊派遣について、人道復興支援と安全確保支援を二つの柱とする」

「すでに日本はテロと対決する当事者なのであり、テロとの戦いから目をそむけることはできない。しかし、国際テロとの対決はアフガニスタンでみられたように、ヨーロッパや周辺イスラム諸国をまきこみながら国際協調のレベルで多角的な努力によって果たされるべきである」「国際協力の組織化がますます必要となる」「この点こそ日本による国際テロとの戦いをイラク復興に結び付ける骨格なのだ。イラク復興と多国籍軍の結成を認めた安保理決議1511を実体化し、これに賛成した仏独ロや中東諸国と、米国との協調を実現するように努力することも、立派なテロとの戦い」

「自衛隊の早期派遣は、日米同盟だけの観点からすれば望ましいにせよ、日本の中東外交や国際協調主義(国連)を含めた対外政策全体の戦略性では問題を残している」

米国のイスラエル寄り政策と、日本のアラブ・イスラエル等距離外交の違い」

日本の中東石油への依存率は86%から90%に達しており、米国の24%と比べ圧倒的に高い。この中東依存は日本の国民生活と産業構造の生命線であり、米国はそれを代替してくれるわけではない」

「現時点での自衛隊派遣は、人道復興援助という日本の主観的意図に反して、米国独自の権益を補完するか支援する国としてイメージされかねない」

「日本はアフガニスタン復興への関与や50億ドルのイラク復興資金の拠出

「将来的に文民を中心とした日本の地域貢献は、日本の中東外交と日米同盟を結びつける蝶番(ちょうつがい)となり、米国と中東の地域住民との関係の緩衝材ともなることが期待」

「イラクを破綻国家にしないためには、周辺の国々と市民の努力が大きな意味をもつ」

「イラク人によるイラク人のための復興をとらえる戦略的思考」

日米同盟・国際協調・中東外交を総合する道」