031201gensei
―足銀の一時国有化―(03年11月30日付朝日新聞朝刊から)
9月中間決算で債務超過
11月29日、首相官邸で金融危機対応会議
預金保険法102条に基づいて一時国有化
初の「特別危機管理銀行」
日本銀行が特別融資(日銀特融)の実施を決定
将来の確実な利益を前提として自己資本に計上している繰り延べ税金資産の全額取り崩しを、9月の金融庁検査で求められた。
足銀は県内で融資シェア5割を占める
預金保護や不良債権の買取りなど、破綻処理に必要な公的資金は、1兆円の見込み
東京三菱銀行や外資系ファンドが、将来買収する方向で検討
足銀の株式は無価値に
不良債権は整理回収機構に売却
政府は一時国有化した旧日本長期信用銀行や旧日本債券信用銀行と同様、早ければ1年以内にも国内外の金融機関などを対象に譲渡先の選定
金融庁「大幅な引き当て不足。3月末の決算は債務超過」(11月27日)
貸出金4兆円のうち半分以上が県内向けの足銀
自治体や取引先企業は700億円を超える出資に応じてきた。
×預金保険法102条第1号措置の「りそな方式」:銀行のそのままの存続が可
05年春のペイオフ全面解禁
(*以下は関連資料として、12月02日の公開講座で用いたメモ)
―足利銀行一時国有化について新聞報道からのメモ―
9月中間決算で債務超過
11月29日、首相官邸で金融危機対応会議
預金保険法102条に基づいて一時国有化
初の「特別危機管理銀行」
日本銀行が特別融資(日銀特融)の実施を決定
将来の確実な利益を前提として自己資本に計上している繰り延べ税金資産の全額取り崩しを、9月の金融庁検査で求められた。
足銀は県内で融資シェア5割を占める
預金保護や不良債権の買取りなど、破綻処理に必要な公的資金は、1兆円の見込み
東京三菱銀行や外資系ファンドが、将来買収する方向で検討
足銀の株式は無価値に
不良債権は整理回収機構に売却
政府は一時国有化した旧日本長期信用銀行や旧日本債券信用銀行と同様、早ければ1年以内にも国内外の金融機関などを対象に譲渡先の選定
金融庁「大幅な引き当て不足。3月末の決算は債務超過」(11月27日)
貸出金4兆円のうち半分以上が県内向けの足銀
自治体や取引先企業は700億円を超える出資に応じてきた。
×預金保険法102条第1号措置の「りそな方式」:銀行のそのままの存続が可
05年春のペイオフ全面解禁
社説「バブル期の不動産融資が次々に焦げ付いたことに加え、観光など地元経済の不振もあって経営が悪化し、2回も公的資金の注入を受けていた」
金融危機対応会議が開かれたのは、今年5月のりそなに続いて2度目
「県をはじめ広く出資を募りながら、一気に債務超過まで転落したのはなぜか。放漫経営を早期是正などで早めに防げなかったのか。よく分からない点も多い」
未解決だった地域金融機関の経営問題は、各地で「火薬庫」(金融庁幹部)となっており/////
足銀は県内の貸出残高の5割を占めるガリバー。「製造業から観光、流通にいたるまで関係は広く、深い」
「経営不振が表面化した99年と02年に増資をし、主に県内から約1万5千件、727億円をかき集めた。企業だけでなく個人も多い」
「かつて『地銀の雄』と呼ばれた足利銀。だが、バブル期には東京や海外で不動産融資にのめり込んで傷を負い、その後は温泉街など地域経済の停滞が追い打ちをかけた」
「景気に明るさがみえる半面、疲弊する地方経済は政権のアキレス腱。都銀のりそな銀行で株主責任を問わなかったのに、地銀の足銀が破綻処理になったことも、党内にくすぶる『首相は地方軽視』との不満に火をつけそうだ」
「金融機関が破綻した場合、現在のペイオフのルールでは、普通預金は全額保護されるが、定期預金は1千万円までしか保証されない」*預金保険法102条という例外的な規定により、破綻して公的資金を注入する場合にも、預金を全額保護すると定め、足銀はその対象となるため、預金は全額保護される。
「地域経済と一緒に地盤沈下する地方金融機関の苦境ぶりを印象づけた」
足銀の自己資本に占める「繰り延べ税金資産」の割合は184%(帝国データバンク調べ)で地銀64行のなかで断トツ
「監査法人などから減額を求められ、過小資本に陥る銀行が今後も続く可能性は高い」
「堅実経営の『地域一番行』が多い全国地方銀行協会加盟の地銀は長い間、全国64行体制を堅持し、都銀や長信銀、第2地銀が経験した淘汰の波とは無縁だった」
「不振の温泉街やゴルフ場への融資が焦げ付き、地元の有力企業が海外に工場を移していく。足利銀行を栃木県を襲った不況と産業構造の変化は全国共通の現象」
「地価も都心部では下落幅が縮小しているが、地方では逆に拡大している」
「再編を一挙に進めて地域金融機関の体力増強を図ろうと、金融庁は今年1月、合併した金融機関に公的資金を投入する金融機関等組織再編成促進特別措置法を施行した。▽銀行に加え、信金、新組など国内の預金を取り扱う金融機関は約700に上る。実態は数字以上に過剰な状態だ」(*03年9月現在で、金融機関数は信用金庫321、信用組合189、地方銀行64、第2地方銀行51、新規参入銀・銀行持ち株会社16、都銀・長信銀・信託銀13)「だが、新法を使い合併したのは、03年4月に茨城県の旧関東銀行と旧つくば銀行が合併してできた関東つくば銀行だけ」
玉木了氏(帝国データバンク 玉木・宇都宮支店長):01年には宇都宮信金と5信組が破綻。当時は県の緊急補正予算編成や、国民生活金融公庫などの政府系金融機関が県内の中小・零細企業に徹底した支援を実施
米田軍平氏(オンブズパーソン栃木・米田代表):「県が足銀の融資に協力したことで、県内企業や県民は安心して増資に応じた。破綻処理で株式の価値がなくなれば、協力した企業や個人に対し、県はどう対応するのか。議会も出資に賛同しているので県と同様に責任がある。▽足銀の持ち株会社を第三者が監視する『経営諮問委員会』に、福田昭夫知事は須藤揮一郎副知事を派遣しているが、その副知事が(銀行経営の)状況を把握しきれておらず、委員会も全く機能していなかった」
(03年11月30日付朝日新聞朝刊)
「足銀はバブル経済期に、不動産や観光・レジャー関連産業を中心に過剰な融資を実行。その後の景気低迷を受け多額の不良債権を抱え込んだ。政府が1998,99ねの二度にわたって計1,350円の公的資金を投入し経営を支援してきたが、思うように業績は回復しなかった」
「ペイオフ」とは、金融機関が破綻したときに、預金等の払い戻しを預金者一人当たり 元本1千万円とその利息を上限として保証する制度(預金保険制度)
県内の経済五団体:県経済同友会、県中小企業団体中央会、県商工会議所連合会、県商工連合会、県経営者協会
「同行は不良債権処理で目減りした自己資本増強のため、公的資金投入のほかに、1999年に優先株で428億円、2002年には普通株で299億円の第三者割当増資を行っており、県内の自治体や企業など1万5,000人以上の法人・個人が協力した」*ザ・フォウルビ、福田屋百貨店、国学院大学栃木学園、足利工業大
(03年11月29日付下野新聞)
「受け皿への資金援助などで総額1兆円超の公的資金が投入される見通し」
「決算について、中央青山監査法人が、将来の税還付を見込んだ繰り延べ税金資産1200億円の計上を全く認めず、債務超過に陥った。自己資本比率はマイナス3.7%になる計算。満額認められれば資産超過になっていた」
「監査法人は、繰り延べ税金資産が認められない理由として、4%台という自己資本比率の低さや収益面で一部過大な見積もりをしていることなどを挙げたという」
「政府が過去に投入した計1350億円の公的資金と、県と12市が出資した計10億2,000万円の公金もほぼ棄損する」
「足銀は03年3月期決算で、710億円の最終赤字を計上。二期連続の大幅赤字で、単体の自己資本比率は4・54%まで落ち込んでいた」
「27日午後から29日未明まで、繰り延べ税資産の認否をめぐり銀行首脳と監査法人のすさまじい応酬が展開された」
「万が一、足銀が破たんすれば、県民経済への打撃は先の北海道拓殖銀行破たんの比ではない。だからこそ厳しい経済・財政の最中、県や十二市、県内企業は骨身を削り増資を支援してきたはずだ」
「バブルの呪縛(じゅばく)から逃れられず、足利銀行は力尽きた」
「83年度に2兆120億円だった貸出金残高は、92年度には4兆9,569億円となり、二倍以上になった。▽89年12月に3万8,915円の最高値をつけた平均株価が下落し、バブル経済の崩壊が始まる。だが、拡大路線は93年ごろまで続いた」「2002年3月期までの12年間で、9,409億円の不良債権を直接処理する羽目になった」
「足銀は、1兆円を超す新たな公的資金を投入される事態に至ったことについて、さらなる説明責任から逃れることはできない」
監査法人は中央青山監査法人
「足銀は9月中間決算で1,200億円の繰り延べ税金資産の計上を見込んでおり、監査に当たっていた中央青山監査法人サイドも、おおむね認める方向だったという」「監査法人の突然の離反」
宇都宮市内の公認会計士「こんな監査を認めたら、だれも会計士など信用しなくなる。認めた金融庁も同罪。何がグローバルスタンダードだ。今回の監査は世界に対して大恥をさらした。信用は地に落ちた」
「6億2,000万円の増資に協力した県内自治体の責任」
「度重なる増資協力、大量の足銀株保有・・・・。これらが無価値に近い状態になれば、各企業は多額の減損処理を迫られる。倒産や雇用問題への波及、不安心理の増幅が懸案される中・・・・」
「今回の預金保険法に基づく公的資金再投入で生じる新たな損失は、全金融機関が納付する負担金で原則穴埋めすることになり、他行の財務内容にもしわ寄せが及ぶ」
「健全性基準を満たすとの『お墨付き』を二回も与えて貸し付けたお金が踏み倒され、国民の税金で損失をかぶる事態になったのは、行政の失態であることは明らかだ」
「これまでに金融機関の破たん処理で確定した国民負担額は10兆円を超える。今回の処理でさらに数千億円の損失が上積みされるのは避けられない見通し」
「県内の多くの企業が足銀をメーンバンクにしている。さらに同じ企業に同行と他金融機関が融資しているケースも目立つ」「足銀が抜けた大穴を埋める力は県内どの金融機関にもない」
03年3月期末の総資産は5兆2,677億円。従業員数は2,966人。県内に66店、県外に35店の本支店を持ち、県と県内49市町村すべての指定金融機関となっている。預金残高は4兆9,417億円、貸出金残高は4兆148億円
「98年に劣後債で300億円、99年には優先株で1,050億円の公的資金の投入を受けた」
「今年三月には足銀と収益力のある北関東リースなど関連会社五社で『あしぎんフィナンシャルグループ』を設立」
○政府が全株式保有
○経営陣の責任追及
○不良債権の処理
整理回収機構(RCC)や産業再生機構、再生ファンドなどに売却される。03年3月期時点の同行の不良債権(リスク管理債権)残高は約5,300億円