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栃木1区における船田元氏と水島広子氏の政策(以下、敬称略)
―2003年11月2日~11月4日付朝日新聞朝刊(栃木版)から引用―
11月2日付→
Q1:この不況を打開するには、景気対策を考えた財政出動をすべきだと思いますか。それとも財政再建を重視し、歳出を抑えた構造改革を進めるべきだと思いますか。
船田:中長期的には構造改革で官民の役割分担をきちんとして、経済の体質改善を図ることは大賛成。しかし、当面は生活に密着したインフラ整備で景気を下支えすべきだ。
水島:財政健全化を進めるためにも経済再生が再優先の課題。現状において財政の放漫運営を行うことは経済再生を妨げる。安定成長実現まで今の財政規模を維持すべきだ。
Q2:郵政3事業(郵便、郵便貯金、簡易保険)の民営化に賛成ですか、反対ですか。
船田:条件付きで賛成。民間の活力を増し、サービスが創意工夫される可能性がある。郵便事業では、新書を全国均一料金で確実に届けられる事業体であることが不可欠。
水島:3事業の一つである郵便事業については、無条件に民営化を進めることで、例えば過疎地の郵便が切り捨てられるおそれもあり、慎重に対応すべきだと考える。
Q3:道路公団改革が叫ばれる一方、県内では北関東自動車道の早期整備を求める声も少なくありません。それを踏まえ、望ましい道路整備のあり方をどう考えますか。
船田:公団は民営化すべきだ。高速道路料金無料化は渋滞を招き、新規高速道路建設を不可能にするので反対。料金水準を下げることは可能。北関東道は完成させるべきだ。
水島:道路公団を廃止して道路をつくり、利用し、管理することを地域と国民の手に戻すことが必要。道路整備は街づくりへの市民参画と地方分権の徹底が不可欠。
Q4:米同時多発テロ、イラク戦争、北朝鮮の核開発や拉致の問題などが続きました。日本の外交姿勢はどうあるべきだと考えますか。
船田:国際的テロには、各国と連携し撲滅に全力を尽くす。イラク戦争での米英への賛同は正しい。北朝鮮には対話と圧力による外交を展開し、日本の安全を保障すべきだ。
水島:国連中心主義を基本とし、日米関係については、「協力すべきは行い、言うべきは言う」成熟した同盟関係とする。
11月3日付→
Q1:公的年金制度の不安をどう解消しますか。
船田:国民負担率が50%以内に収まるとした上で年金財政制度を見直す。基礎年金の国庫負担をあげ、給付水準を下げ、保険料を上げるなど痛みを分かちあい制度を支える。
水島:政府の年金制度は破綻しつつあり、国民の不安は高まっている。民主党政権になれば新年金制度を創設。信頼と安心を取り戻し、高齢化のピークも乗り越えられる。
Q2:消費税の増税を巡り、議論が活発化しています。どう考えますか。
船田:財政赤字圧縮や社会保障制度の安定には、将来の税率アップは避けられない。しかしまだ一般財源の見直しや無駄の排除などは不十分で、当面の努力をすべきだ。
水島:現状では消費税引き上げに反対。引き上げの議論は、デフレ克服と安定的な経済成長の実現、生活必需品についての特別措置を講じることを前提とすべきだ。
Q3:中小企業の倒産は減らず、雇用情勢も厳しい状態が続いています。どうくい止めますか。
船田:構造改革推進と同時に、効果的で生活に密着したインフラ整備を含む中規模の財政出動を行い、景気の下支えをする。また土地税制緩和で不良債権処理を加速させる。
水島:地方分権と「金融アセスメント法案」で地域経済を活性化。ムダな公共事業をやめ、生活密着型の産業育成などによる雇用創出と同時にワークシェアリングを進める。
Q4:あなたがベンチャー企業の経営者だとしたら、どんな事業を興しますか。
船田:食品の安全に資するため、消費者に生産情報を伝える電子タグを包装紙に埋め込む技術を開発し、その商品化を図りたい。
水島:いくつか考えられるが、例えば女性の健康をトータルに扱えるシステムの開発など。
11月4日付→
Q1:あなたが栃木県知事だとしたら、今後の地方分権の進め方はどうあるべきだと考えますか。
船田:分権の受け皿を作る。地域の独自性を尊重しつつ広域市町村合併を目指す。各自治体職員のスリム化と育成でスキルを高め、国からの権限と税源移譲を強く求める。
水島:18兆円の補助金を廃止し、地方の責任と自覚で使えるようにする。また中央省庁の権限を限定し、自治の確立と住民の行政参加を進める。
Q2:あなたが「この点で栃木に貢献した」と誇れるものは何ですか。
船田:県内各地の公共下水道、地域下水道の整備を強力に後押しし、県民の生活環境の向上に貢献した。
水島:里親問題や教育問題など、地元の実情を中央で取り上げてきた。特に誇れるのは小児医療の問題に焦点を当て、栃木に子ども病院が設立されるきっかけをつくった。
Q3:空き巣や車上狙いなど「身近な犯罪」が増えています。治安回復に向け、何をすべきだと思いますか。
船田:警察官を早期に増員して巡回パトロールをより頻繁にし、不在交番数を減らすことが重要。市民の相談窓口も整備。防犯NPOを育成し地域での治安回復に取り組む。
水島:4年間で警察官を3万人以上増やし、空き交番をなくし、落ち込んだ検挙率を回復する。地域での人の交流を豊かにし、自然な犯罪抑止力をつける。
Q4:冷夏で米の作況は下がり、県内出生の牛からBSE(牛海綿状脳症)が見つかりました。農業振興をどう考えますか。
船田:生産農家と消費者との信頼関係の構築や食の安全獲得が肝心。滞在型・体験型市民農園の設置や食糧自給率の維持、生産情報が細かく伝わるシステム作りを図る。
水島:毎年1兆円以上の予算の大半が農業土木に無駄遣いされている。農家の生産意欲向上のため、農家への直接支援・支払制度をつくり、食糧自給率の向上を図る。
―2003年11月3日付下野新聞から一部引用―
Q:文部科学省が進めてきた週5日制、授業内容の約3割削減などを含む教育改革、いわゆる小中学校の「ゆとり教育」をどう評価しますか、
船田:「評価しておりこのまま続けるべきだ」 ゆとり教育の成果はこれから出てきます。そのためには地域の受け皿をしっかりなすべきです。知識でなく考える力を学力とするなら学力は下がらないはずです。
水島:「失敗であり見直すべきだ」 週5日制は、詰め込み・知識偏重という日本の教育の質的問題を改善することなく、単に教える知識の量を減らすというやり方で、教育施策として問題
Q:衆院議員の定数についてどう考えますか。
船田:「多すぎる」 将来の道州制を考えると、全国を300の自治体にまとめ、そこから1人の議員が選ばれることが望ましい。比例は参院で十分です。
水島:「多すぎる」 政界や官界を改革するためには、官僚制度の無駄を見直すとともに、議員定数も削減する。当面は、衆議院の比例定数を80議席減らすことが目標。
Q:地方交付税、税財源の移譲とともに、2006年度までの3年間に国から地方への補助金(約20兆円)を4兆円程度削減するとした政府の「三位一体改革」方針について賛成ですか、反対ですか。
船田:「賛成」 補助金をいきなりなくすことは、地方自治体の人材が十分育っていないことを考えると、あまりに性急過ぎると思います。
水島:「反対」 政府の対応は改革でなく小手先の改善にすぎない。国と地方の上下関係のもととなり、不要な事業に使われてきた補助金を原則廃止しなければ改革にならない。
Q:県都・宇都宮市への新交通システム導入については、県政界でも早期導入派と慎重派とに分かれて議論が高まっています。これをどう考えますか。
船田:「早期に導入すべきだ」 宇都宮の中心市街地の落ち込みは一日も放置できません。その活性化の起爆剤となる新交通システムは早期に導入すべきです。
水島:「どちらともいえない」 まず街づくりの全体的なプランがあった上での新交通システムであるべきだ。そのために街づくりへの市民参画と権限や財源を含めた地方分権の徹底が不可欠。