行政学のキーワード(10)
国庫の現状:
国に所属する財産には、現金、有価証券、動産、不動産等があるが、国民経済や金融との関連で特に重要な現金(国庫金)を経理する仕組みを通常国庫制度と呼ぶ。国庫制度については、会計法第34条、日本銀行法第35条、予算決算及び会計令第106条、日本銀行国庫金取扱規程等に詳細な規定が設けられ、国庫統一原則と預金制度の二原則によって構成されている。
国庫統一原則:
近代国家が政治的統一を達成し、会計制度の整備がなされると、国家の財政活動を統制し明白なものとするため統一的な予算制度が実施されるに至るが、同時にその現金の出納も統一的な国庫で経理されるようになる。このようにすべての国庫金(歳入、歳出金のみならず、保管金、供託金等の歳入歳出外現金をも含む。)の受払いは、国庫を通じなければならないとする原則を「国庫統一原則」という。我が国では、日本銀行法第35条、会計法第34条第1項がこの主義をとることを明言し、あらゆる種類の国庫金を日本銀行に集中してその出納事務を取り扱わせることとして日本銀行を最終的かつ総括的な現金出納機関としている。
預金制度:
現在我が国では、日本銀行が受け入れた国庫金は国の預金とされ、国庫金の支払は、原則として、日本銀行を支払人として振り出した小切手により、国の預金から引き落とすことにより行われる仕組みとなっている。これを「預金制度」といい、会計法第34条第2項は、国庫制度の基本が預金制度であることを宣明している。
(いずれも『最新 行政大事典 追録第39〜42合併号』ぎょうせい、pp.21641-21342.より)