行政学のキーワード(7)

 

権威:

服従を強制する現実の力すなわち権力が、社会的承認を獲得して支配の正当性をもつにいたった場合、そこに生じた価値を権威という。権力による支配は、服従者からみれば不本意な関係であり、その意味で権力関係は本来不安定なものである。ところが、権力者側の権力の行使を服従者が正当なものとして承認するならば、その支配と服従の関係は服従者にとって不本意なものではなく、権力関係は安定する。強制力による支配ではなく、服従者の内面的な恭順にもとづく支配が成立するからである。すなわち、権力は正当化されることによって権威に転化し、服従者からの自発的・積極的服従を引き出すことができ、また服従者からの信頼を得ることも可能になる。したがって権力者は、たとえ非合法的手段によって獲得した権力であっても、その正当化につとめ、支配の永続化を図ろうとする、服従者による権力の正当性の是認については、M.ウェーバーの政治社会学に詳しい。(前納弘武、大学教育社編『現代政治学事典』ブレーン出版株式会社、1991年、p.249-250.