行政学のキーワード(5) 明治憲法下の政治機構
「統帥大権」:
陸海軍の最高の指揮権。天皇大権の一つ。統帥権は国務大臣の輔弼の外におかれ、政府も帝国議会も全くこれに関与することができなかった。
「国務大権」:
天皇が総覧した統治権に属する事務のうち統帥事務、皇室事務を除いたものを国務といい、立法・行政・司法の広範な権限を含んでいた。
「皇室大権」:
天皇の機能のうち皇室に関する部分をいい、一般の国務大権から区別し、宮内大臣が輔弼した。「皇室典範」は議会の関与の外にあった。
「内大臣」:
天皇の側近にあって、元老・国務大臣その他と天皇との連絡にあたる。実際政治上重要な役割を果たした。
「元老」:
次期首相の推薦や重要国務についての天皇の諮問にこたえて重要な役割を果たした。黒田清隆・伊藤博文・山県有朋など9名が数えられる。成文法の定めはなく全く慣習法上の制度。
「枢密院」:
天皇の諮問にこたえ、重要国務を審議すると定められた合議体。実際政治上は、政府と議会に対して、天皇大権を擁護する役割を果たした。
「宮内大臣」:
皇室一切の事務を輔弼する。
「軍令機関」:
参謀本部(陸軍)、海軍軍令部の2つの機関があり、天皇の統帥権のもとに軍の統括にあたった。
(『資料政・経2004』(東京学習出版社)p.99.より)