―行政学のキーワード(2)―(主に「資料政経2004」東京学習出版社、を用いて)

 

イギリスの立憲君主制:イギリスの国王は、国の元首で、イギリス国民や連邦を構成する諸国の統一の中心である。法律的には、議会の召集と解散、法律の裁可、文武官の任命など大きな権限をもつが「君臨すれども統治せず」といわれ、すべて大臣の助言による。

 

イギリスの内閣:首相と各省大臣は形式的には国王によって任命されるが、実質的には、下院の多数党の党首が首相となり、諸大臣は原則として議員の中から首相によって選ばれる。閣外大臣は、自己の所管事項討議の場合に限り閣議への出席が認められている。▽内閣は連帯して議会に責任を負う。議会が内閣の不信任決議をした場合には、総辞職するか議会を解散して国民に信を問う。

 

アメリカ大統領の地位と責任:行政権は大統領にゆだねられている。大統領は、議会の制定した法律を執行するだけであり、議会に対して法案を提出したり、解散したりする権限を有しない。議会との関係で、積極的には教書(presidential message)を送って自己の政治政策をのべ、立法措置を要請・勧告するが、消極的には可決された法案を10日以内に署名しないことで拒否し、議会に差し戻す権限をもつ(拒否権)。これは議会の反対党および自党内の反対派が多数を占めている場合に、しばしば行使される。戻された法案は上下両院がそれぞれ3分の2の多数で再び可決すれば、大統領の署名なしで成立する。

 

アメリカ大統領の権限:大統領は国家元首と行政府の最高長官および首相を兼ね、同時に3軍の最高司令官でもある。また慣行上、その所属政党の党首でもある。▽憲法上、大統領に認められている権限は、@行政府の長官A官吏の任免B外交権C軍事権D恩赦権E議会に教書を送るF法律案に対する拒否権G臨時議会の召集H議会の停会権などである。

 

.バーク(1729-97.イギリスの政治家)による政党の定義:「政党とは、ある特定の主義または原則において一致している人々が、その主義または原則に基づいて、国民的利益を増進せんがために協力すべく結合した団体である」(『現在の不満の原因に関する考察』)

 

.ブライス(1838-1922.イギリスの政治家・政治学者)による政党の定義:「いままでに、大規模な自由主義国で政党をもたない国はなかったし、政党なしに代議政治が運営可能であることを示したものは、ひとりもいない。政党は、おびただしい数の投票者の無秩序の中から、秩序を生みだすのである」(『近代民主政治』)

 

日本の議院内閣制:行政権を行使する内閣が国会とくに衆議院の信託の上に成立するしくみ。衆議院で内閣不信任決議が可決されれば、衆議院を解散しない限り総辞職しなければならない。そのねらいは国会を通して間接的ではあるが、行政を民意の下に統制するところにある。しかし、実際には国会の多数党が内閣をつくるため、内閣に対する国会のチェック機能は建前ほどには発揮されていない。