―行政学のキーワード(1)―(主に「資料政経2004」東京学習出版社、を用いて)

 

官房16‐18世紀にドイツ・オーストリアで発達した国家財政に関する学問。今日の財政学および政策学の源流をなす。財政学および行政管理、さらに国民経済政策、すなわち当時の絶対君主の財源たる鉱山・工場・田畑・森林・商業経営の知識をも包含(広辞苑)。

 

自然法:人間の自然(本性)に基づく倫理的な原理。人為的・歴史的な実定法とは異なり、時と所を超越した普遍的な法と考えられている。規範的な意味を持つ点で、叙述的な自然法則から区別される。

 

封建制国家:土地を所有する領主と、これに隷属する農奴とを基本的階級とする国家。中世のヨーロッパ。

絶対主義国家:君主に無制限な権力を付与した国家。17‐18世紀のヨーロッパの国家。

近代市民国家:市民階級(ブルジョアジー)が権力を握り、政治的には民主主義を基本原理とし、経済的には自由な経済活動を基本原則とする。市民革命後の欧米諸国。

 

夜警国家:資本主義の初期に、国家の機能を個人の自由な活動に干渉せず、国防や治安維持など最小限度の警察的任務を負うのみにとどめることを理想とした国家。自由国家ともいう。「夜警国家」はラッサール(19世紀のドイツの社会主義者)が軽蔑的な意味をこめていったことば。

福祉国家:資本主義経済の弊害を調整、解決するために完全雇用や社会保障政策の推進によって、国民の福祉に積極的に奉仕することを理想とする国家。19世紀の消極国家は、20世紀にはいるとじょじょに積極国家へと変貌した。社会国家ともいう。

 

マネタリズム:物価上昇を貨幣供給量の増大の結果と考えるなど、貨幣の重要性に着目した経済理論。ケインズ流の財政・金融政策を批判し、市場メカニズムを優先する発想や貨幣供給量の増加を一定にする政策を主張。しばしばケインズ革命に対する「反革命」とよばれる。

 

立憲主義:権力者の行為をすべて憲法に基づかせる。立憲主義憲法は、成分憲法の形をとっているが、それは、国家は自由な国民の社会契約によって組織され、その社会契約を具体化したものが憲法であるから、契約である以上それを文書の形にすることが望ましいと考えられたから。

 

スタグフレーション:不況下の物価高。景気が後退しても物価は上昇を続けること。第一次石油危機後にあらわれ、先進国共通の悩みとなっている。このスタグフレーションの原因としては、価格や賃金が下方硬直的なために、景気停滞期においても物価は上昇するというコスト・プッシュ・インフレや、石油危機後のように、急激な原油価格の高騰によって石油を使った二次製品の価格が上昇してインフレが発生するとともに、消費者の需要減退と急激な減産によって起こる供給サイドの問題などがある。

 

ワイマール憲法:第1次世界大戦後のドイツ共和国憲法。財産権の限界、国民の”人たるに値する生活”(生存権)、団結権の保障など社会権的基本権を明記した最初の憲法であり、20世紀的憲法の典型とされる。1933年、ナチス・ドイツが成立し、授権法などの制定によってこの憲法は無視され、事実上廃止となった。