第2回 国際社会特別研究レジメ@
参考文献研究
2003(平成15)年5月14日水曜日
横田清編『住民投票T』(公人社、1997年)
・日本で初めての常設型の住民投票条例について(7ページ)
18歳以上の市民10分の1の署名か、市長が特段の事情があると認めたとき、実施
・ 住民投票の法的拘束力について(18〜19ページ)
『群馬バス事件の最高裁判決において、行政庁に尊重義務を課す諮問型審議会の答申を、行政庁が尊重しなければならないのは、「当該行政処分の客観的な適正妥当と公正を担保することを法が所期しているためであると考えられる」』
行政庁の意思決定における公正手続きを問題としているのだから
投票結果を尊重しない場合は「特段な合理的な理由」を必要とし、説明義務
(反論)審議会答申の尊重義務と住民投票の結果のそれとを単純に同一視して賛成できない
・ 新潟県巻町の住民投票関連経費・予算(34ページ)
733万円
・ 経費の内訳(36ページ)
管理執行368万1000円
広報21万9000円
その他の事務273万8000円
計663万8000円
・ 住民投票条例の一般的な内容(88ページ)
1住民の自由な意思が反映されるものであること
2投票結果(有効投票の過半数)を首長は尊重すること(法的拘束しないこと)
3秘密投票で一人一票
4投票資格者
5投票は特定政策についての賛否を問うもの
6投票結果を告示し、市町村議会議長への通知
7公職選挙法には縛られないこと
・ 中海淡水化賛否についての市民投票条例に関して、鳥取県米子市長の住民投票の地方自治法との整合性(103ページ)
1事務が本市の事務であるかどうか
2条例案が法令に違反していないかどうか
・ 宮崎県串間市の住民投票についての経費・予算(135ページ)
約1600万
今井一編著『住民投票』(日経大阪PR、1997年)
・ 地方分権推進委員会での住民投票制度(31ページと103ページ)
第1次勧告で消えた(消極的になった)
第2次勧告では合併に関しての検討
・ 宮崎県串間市の住民投票費用・予算(50ページ)
約1600万円
・ 沖縄県の県民投票経費・予算(52ページ)
約47000万円
・ 岐阜県御嵩町長の御嵩住民投票においての在日外国人に投票権を与えることについての意見
趣旨は理解できるが、朝鮮半島の南北とで見解が異なる、焦点がぼける導入は難しい。法的拘束力がないだけに、この際、形式にこだわり公職選挙法に準じた形で住民投票を実施したい。
・ 宮崎県小林市の住民投票経費・予算(101ページ)
1195万円
新藤宗幸編著『住民投票』(ぎょうせい、1999年)
・ 「紛争解決型」投票と「政策対抗型」投票(11ページ)
紛争解決型・・・自治体の事業をめぐる地域社会の対立が高じた際の解決手段
政策対抗型・・・自治体の立法政策に対抗する政策の提示
・ 大体の住民投票条例の基本となった、高知県窪川町の条例内容(21ページ)
1目的
2何に対しての賛否か
3要件、結果の扱い方
4誰が執行するのか
5期日・投票日と告示
6投票資格者
7投票資格者名簿
8秘密投票
9一人一票
10投票所においての投票
11投票の方式
12効力の決定
13無効投票
14結果の告示
15投票運動
16委任
17投票開票の指示 ※公職選挙法適用外の場合
・ 地方自治法の直接請求の使用度合い(63ページ)
人口30万人以上の自治体では法定収集期間内に必要数の署名を集められた例は一つもない
・ 住民投票に対する3つの評価(103ページ〜)
積極説・・・直接民主制を基本として、すべての案件を住民自身が決定するのが望ましいとする説、すべての案件が住民投票になじむとする
アメリカに由来
中間説・・・間接民主主義を基本として、本来住民の代表である議会が決定するのが望ましいが、議会が本来の機能を果たしていないので、住民投票を行って、住民が直接決定させるべきだとする説
間接民主主義を基本としている
消極説・・・間接民主主義であるので、議会が決定する 議会と行政で話し合っても、結論に至らない重要な案件のみ、住民投票を行うべきだとする説
・ 3つの評価の視点と問題点
消極説・視点・・・住民投票が僅差に終わった場合はどうなるのか
問題点・・・現在の代表機関の判断をどれほど信頼できるものなのか
中間説・問題点・・・議会が本来の機能を果たしていないから、ストレートの住民投票にもって行くのは、議会改革の努力は無用になってしまう。
議会改革の努力の放棄
積極説・問題点・・・1直接民主制の疑問
住民一人一人が政策決定に関わっていく、時間的精神的余力があるか
2住民投票が直接民主制の手段とはなり得ない
住民投票は表決手段でそれ以前の議論がなければいけない
3直接民主制は専門化支配に対する批判と表裏一体
行政主導の住民投票になると、かえって、専門化支配が強まる
・ 常設型の住民投票対象リストについて(188ページ)
1ポジティブリスト・・・住民投票の対象にできる事項を列挙する
2ネガティブリスト・・・対象にできない事項を列挙する
3二つのリストの併用
今井一著『住民投票』(岩波新書、2000年)
・ 住民投票の分類(4ページ)
1条例に基づいて行われる住民投票
2憲法95条に定められている「地方自治特別法」の制定要件としての住民投票
3それ以外の住民投票
@ 町村の分離=時限立法による
A 自治体警察の廃止=時限立法による
B 市町村の合併=首長職権の規則・住民の協定による
C 住民の自主管理の投票
・ 各地の住民投票の費用、予算(14ページ)
沖縄県4億7851万円 巻町664万円
御嵩町532万円 小林市1028万円
名護市2173万円 徳島市4128万円
・ 住民投票結果の法的拘束力について(18ページ)
結果が法的拘束力を与えた場合、その結果が首長の意思と異なる結果になった場合は
首長は自らの意思に反する行政上の行為を強いられることになる。
→これが地方自治法の「首長の職権」に制約を加えることになる
→条例は法律の範囲内で定められるとした、憲法94条の規定に抵触する可能性
・ 沖縄県の県民投票経費・予算(98ページ)
4億7851万2000円
・ 徳島県吉野川河口堰の条例制定(167ページ)
最後に共産党が公明党案に妥協して採決が逆転、採択になった
・ 住民投票が機械性民主主義の否定論に対する反論(184ページ)
1住民投票によって否定されたのは議会や民主主義でなく、民意を反映していなかった「議会意思」
議会の欠陥や弊害が民主主義によって是正された
2選挙において投票した候補者の政策に、有権者はすべてのものについて賛同したわけでない
筑紫哲也編『政治参加する7つの方法』(講談社現代新書 2001年)
・ 御嵩町長の住民投票の要件
1事前に十分な情報公開、情報の提示、判断材料の提供
2住民投票を政争のツールにしてはならない
3住民投票を行うには一定以上の民度のレベルが必要
地方自治職員研修69巻『合併する自治体、しない自治体』
(今川晃、田嶋義介監修、2002年、公職研)
・ 合併の住民投票の内容・埼玉県上尾市(147ページ〜)
行政が合併反対であったため、様々の行政からの情報提供が反対派ばかりのものとなり、反対派が過半数を占めた事例
行政サービスが行き届かなくなるとして、政令市の区割りの存在すら書かれなかった。
地方自治職員研修71巻『自治基本条例・参加条例の考え方・作り方』
(2002年、公職研)
・ 住民投票条例の設計・対象(96ページ〜)
ポジティブリスト・・・条例によって、投票の対象となる事項を列挙
ネガティブリスト・・・投票の対象とならない事項を列挙
・ 滋賀県米原町の永住外国人に投票権を与えた事例
年齢満20年以上の永住外国人で引き続き3ヶ月以上米原町に住所を有するもの
永住外国人・・・出入国管理および難民認定法別表第2の上欄の永住者の在留資格を持って在留するもの
および
日本国との平和条約に基づき日本の国籍を離脱したもの等の出入国管理に関する特例法に定める特別永住者
寄本勝美編著『公共を支える民』(コモンズ、2001年)
・ 議員立法提出権について(75ページ)
地方議会設立当初は国会に準じて議員の議案提出権を1人からも認めていた