修士論文指導レジメ 5月22日(火) 上ノ段 憲治
「サンポート高松」の一部施設オープンとヒアリングから見る今後の課題
21世紀の県都の顔として期待されるサンポート高松の一部施設が今月13日にオープンした。バリアフリー構造のJR高松駅、高松港旅客ターミナルビル、港湾施設、地下駐車場を備えた高松駅前広場、高松港レストハウスの利用が始まり、24日に四国最大級のホテルが開業する予定である。そして、2004年春にシンボルタワー、多目的広場が完成し、一期工事が完了する。
高松市は、宇野−高松連絡船の廃止から13年が経ち、県内の娯楽施設であるレオマワールドの休園、コトデンそごうの破たんなどで県内の経済が低迷する中、その巻き返しとして、大きく期待している。
しかし、一方で、巨大なウォーターフロント開発ということで無駄な公共事業という声も聞かれている。実際、本四三橋時代といわれ大きく期待され、第一に建設された瀬戸大橋は毎年大きな赤字を出し、問題となっている。
このように大きな期待と不安がある中、まず第1期工事のメインとなる施設が完成した。そこで、まちの人々と計画にたずさわっている人にお話を聞き、「サンポート高松」に対する考え、課題を自分なりに考察してみた。
1、知名度の低さ
景観の良さ、海と中心市街地の距離が実際に近いこともあり、ハード面においてはたいへんすばらしい物が完成したと思う。しかし、港町といえば、横浜、神戸といったものが思い浮ぶが高松が出てくることはない。県外にもっと情報発信し、企業誘致や全国から人が集まるようにすれば経済効果が期待できるのではないだろうか。そして、県民にももっと情報発信していく必要がある。計画当初のアンケートでは、県民の知名度が低く、実際ヒアリングした時も計画内容を知らない人が多かった。
2、市民参加の欠如
「サンポート高松」の一期工事は、基本的なインフラ整備と位置付けられている。市民の計画に対する知名度の低さにも現れているように、計画内容の決定プロセスが明確でなく、中央のシンクタンクの意見を聞いてできた面が大きく、ウォーターフロントで珍しいという反面、活性化策としては全国の地方都市と同じように思われる。
まとめ
今回、実際に現場に行って感じた事は、活性化対策としてハード面の整備が先行しており、ソフト面における施策が見られなかった。お話を聞いた時点では、第二期工事をすぐにはじめず、これからソフト面を考えていくとの事であった。第二期工事の土地をフリーマーケットなどのイベントに使用する方向である。
ハード面だけでなくソフト面の充実、例えば観光客や県民の人々が物珍しさで一回訪れるだけでなく、何度も訪れる魅力ある施策を考える必要がある。
市民参加のについては、もっと情報公開や、PRをすすめ、県見の声を聞き、様々なアイデアを出してもらい、まずは県民に使いやすい場所にしなければ、観光客などをひきつけるのは難しいのではないだろうか。
活性化の起爆剤として考えられているだけに、いかにソフト面を充実させるかが今後の第二期工事にも影響を与えるのではないだろうか。多額の予算をつぎ込んで行う再開発だけに、ただの箱ものだけで終えるのではなく、市民が主体となったまちづくりを行う必要がある。
053 高松市 |
●計画提出日(最終変更) 平成11年3月18日
●所在都道府県 香川県
●市町村の概要
本市は,これまで四国における「中枢管理都市」「商業都市」として発展してきた。本市の面積は,194.24Ku,人口は,平成7年国勢調査で331,004人である。人口については,昭和60年頃からほぼ横ばいで推移しているが,世帯数は,増加傾向を維持しており,核家族化の傾向が続いている。また,少子高齢化が進行しており,65歳以上の人口割合は,15%に達している。
本市の昼夜間人口比率は113%,5%通勤圏人口は,約84万人と地域の就業拠点として機能している。また,産業別では卸・小売・飲食業とサービス業への就業比率が極めて高い。
●中心市街地の概要
(1)現状
本市全体の人口がほぼ横這いであるのに対して,中心市街地の人口は平成2年から7年にかけ,-9.3%となっている。また,高齢化比率も22.6%と本市全体を大きく上回っている。
中心市街地の商業活動の状況は,平成6年から9年にかけて,小売業の商店数で-8.1%,従業員数で-2.8%,年間商品販売額で-13.1%となっており,今後さらなる空洞化が強く懸念されている。また,中心市街地の各商店街において,空き店舗の増加,来街者の減少も見られる。
(2)位置及び区域
JR高松駅(サンポート高松内),高松琴平電鉄瓦町駅周辺,中央商店街等を含めた都市計画法上の商業地域。サンポート高松港湾基盤施設整備区域を含める。
(3)面積 約250ha
●基本的な方向
本市の中心市街地は,「商業都市・高松」の伝統と歴史のある中心商業地として,また環瀬戸内交流圏における「中枢管理都市・高松」の拠点,顔として広域的な役割が期待されている。また,都心は市民の財産でもあり,人々が集まり,地域文化を表現・創造し,情報を発信・交流していく場であり,人々が自己表現する場である。こうした視点から,中心市街地を様々な活動・交流の中心として位置付け,そうした活動を支える商業機能,業務機能,文化機能,居住機能,生活サービス機能など複合化した機能集積を進め,地域経済の活力増進と市街地環境の改善等を目指した一体的,総合的な取り組みを進める。
基本コンセプト:心ときめく生活文化交流都心「ハート・オブ・高松」
具体的には,次の3点を中心市街地活性化の一体的推進の目標とする。
@瀬戸の都・高松にふさわしい中心市街地の形成:広域的な期待にこたえる
A豊かで魅力的な都市基盤及び都市空間の形成:多様な人々の居住と交流を育む基盤の構築
B中心市街地における商業機能の再編とプロモーション:商業機能の強化と新たなサービスの提供
●計画の特徴
計画策定に当たり,助役を長に庁内全部局にわたる組織として,庁内検討委員会を設置し,検討を進めた。また,学識経験者,地域住民,商工会議所,商業者,消費者,高齢者,中心市街地の企業に勤めている者,学生など幅広い層の代表で組織する外部の検討委員会も設置し,意見を求めた。
本計画には,市街地の整備改善事業として,大規模開発案件である「サンポート高松総合整備事業」を位置付けるとともに,市街地の整備改善と商業の活性化を一体的に推進する事業として,高松丸亀町商店街の地元商業者が主体的に取り組んでいる「高松丸亀町商店街市街地再開発事業」,「丸亀町商店街市街地再開発ビルの取得及び管理・運営事業」を位置付けている。
また,ソフト事業の重要性を念頭に置き,中心市街地ショッピングバスモデル事業など,多くの事業を位置付けている。
サンポート高松(高松港頭地区)総合整備事業 |
【事業主体】 国、県、高松市
【位 置】 高松港頭地区(JR高松駅を中心とする約42haの地域)
【総事業費】 約1,000億円(基盤整備事業)
【事業の概要】
21世紀に向けて、香川県・高松市が、四国及び環瀬戸内交流圏の中で主要な役割を果たし、さらに発展していくため、国際化、情報化に対応した新しい都市拠点の創造、四国の玄関にふさわしい海陸交通のターミナル機能の強化、美しい瀬戸内海や高松城址の景観を生かしたウォーターフロントの整備など、海と市街地が近接しているという全国的にも貴重な立地特性を活かしながら、新しいまちづくりを推進しています。
【現況・進捗状況及び完成年度】
1.基盤整備、上物施設計画
事業内容 |
完成目標年度 |
整備される施設 | |
基 盤 |
港湾基盤施設 |
平成11年度末 |
浮桟橋 |
平成12年度末 |
港湾緑地(ハーバープロムナード)、臨港道路、バース | ||
平成15年度末 |
港湾緑地(シーフロントプロムナード)、人工海浜 | ||
都市基盤施設 |
平成12年度末 |
駅前広場、同地下駐車場 | |
平成15年度末 |
多目的広場、同地下駐車場 | ||
上物施設整備 (第1期計画) |
平成12年度末 |
JR新高松駅、JRホテル | |
平成15年度末 |
シンボルタワー(国際化と情報化に対応した文化・コンベンション機能、情報発信交流機能、民間業務・商業機能など多様な機能を有する県・高松市のシンボルとなる官民の複合拠点施設)、国の合同庁舎 |