発展途上国援助の現状とは!?

発展途上国への援助という言葉は現在よく耳にします。日本によるその活動は非常に活発であり、金額面で見ると世界第一位という実績をあげています(OECD 1994年の統計による)。実際どのような理念基づき、どのように活動しているか、また問題点と課題についても調べてみました。

その前にまず援助を必要とする現状から認識しておきもしょう。

援助の歴史とは、そもそも冷戦期の東西両陣営による競合地域の取り合いを目的として始まったものですが、今日では相互依存・途上国の経済的自立そのものを目的としとした援助という姿勢に変わってきました。しかし、現状としては左のグラフから分かるようにいまだ先進国と途上国との生活環境の格差は所得・生活環境各面で著しいものなのです。今後物資・技術など各分野でさらなる援助が求められるでしょう。

http://www.jica.go.jp/jica/Index.html

 

では、日本における援助はの仕組みはどのようになっているのでしょうか。JAICAを例にとってみましょう。

援助を行うにあたっては、わが国は相手国からの正式な要請を受けて行う、いわゆる要請主義の立場を原則的にとっています。つまり、まず開発途上国政府から日本政府に対して要請が出され、それに基づく検討、協議を経て実施されるというものです。しかし、最近では相手国側からの要請を待つだけでは積極的な援助が展開できないということから、プロジェクトの発掘段階での協力にも力が入れられるようになってきました。 http://www.jica.go.jp/jica/Index.html

一方的ではなく、「相手のニーズに合わせた援助」ということは金銭面のみの援助やダム建設のような不必要に大規模な援助(要するに量と質のアンバランス)に対してよく 指摘されてきました。しかし、もうそれは考慮されつつあり、これからは上の文中にあるように、いかに積極的に援助を進めていくかということが課題になっているようです。

 

ここで、具体的に国内の機関の紹介をします。

<国内の援助機関とその活動内容>

JAICA(国際協力事業団) 政府開発援助(ODA)のひとつ。1992年6月に発表され た政府開発援助大綱の方針に基づく。2国間贈与(無償資金協力と技術協力)の多くを行っている。

·         海外経済協力基金(OECF) JAICAに対し2国間貸付(有償資金協力、一般的には円借款と呼ばれます)を行っている。

·         ケアジャパン CAREという世界規模での途上国援助を行なうNGOの日本版。経済発展・生活環境改善のために、貧困や女性の権利問題を考慮し、教育・財政面の補助を実施している。

·         国連世界食糧計画日本事務所 国際連合の機関。食糧を開発途上国の社会経済開発および緊急食糧援助に役立てることを目的とした唯一の国際機関。

·         インターナショナル システム エンジニアリング 日本に基盤を置く国際コンサルティング会社(民間)。先進国及び途上国に対し日本政府や民間の出資者・後継者が事業を行なう際にサポートをする。

 

このように、政府組織・民間組織を問わず、また複数の団体・組織が提携して活動している事が分かります。

以上から援助においての途上国に対する姿勢 をみてきましたが、では国内での援助とい うことに対する意識はどのようなものなのでしょうか。国会異議員を対象としたアンケートをもとに調べてみました。

 

1.NGO(市民団体)への所属状況 . 所属する議員の年齢

http://www.joicfp.or.jp/9f/home/survey/form.htm

上の二つの円グラフは1999年1月21日〜2月9日に実施されたジョイセフ(家族計画国際協力財団)による国会議員へのアンケート調査です。1のグラフによると「所属している」は全体の三割にも満たないのが現状です。2のグラフについては、国会を構成する議員の年齢層の各割合を考慮するとどの年代も比較的均等に分布しています。援助への関心が年齢層を問わず浸透しているといってよいでしょう。しかし、 実際に行動に移すというところまでは至らないといった態度が見られるのです。

1.    

3.途上国援助に関わる機関認知度

また、このグラフによると各機関に対して「まあ知っている」・「あまりしらない」が多数を占め、国会議員全体としての認知度は高いとは言えません。 草の根レベルの協力や政府組織と民間組織の相互協力が求められている一方で、国民の代表である国会議員の援助に対するこの関心の低さがあります。これは私たちにも当てはまることではないでしょうか。専門家に任せておけば、自分はなにもしなくても大丈夫だろうという気持ちが少なからずあるのだと思います。国際化とかグローバル化という言葉が氾濫している現在、途上国への援助についても身近なことのように感じてしまいます。しかし、当たり前のようにあるだけにそのことについて自分の頭で考え、問題意識を持つことを怠ってしまいがちになるのではないでしょうか。

まとめ

私は国際学部の学生であるということもあって発展途上国と日本との関わりや援助の在り方については興味を持ってきたつもりでいました。しかし、理論上だけで「援助とはこうあるべきだ。」という事しか学んでいなかったので、今回日本の援助の実態・援助に対する姿勢をわずかながら知る事ができたことは、新たな側面からこのテーマを考えるきっかけとなりました。

 

2000年6月29日

国際学部 国際社会学科

000137 轟 暁子